はじめに
AWS Certified AI Practitioner (AIF-C01) ベータ版にトライし、無事合格することができました。試験の概略や試験対策などを書いていこうと思います。
ベータ版のタイミングで合格すると、下記のような「EARLY ADOPTER」バッジがもらえますよ。
試験概略
AWS Certified AI Practitioner試験の説明サイト
概要項目 | 概要 |
---|---|
試験時間 | 120分 |
問題数 | 85問 |
合格スコア | 700点(1000点満点) |
受験費用 | 10,000円 |
受験方法 | ・Pearson VUE テストセンター ・オンライン監督付き試験 |
言語 | 英語、日本語 |
試験概要はこのようになっています。注意すべきは問題数、85問あります。これはベータ版の扱いで、本試験ではプラクティショナー試験同様に50問となります。120分の時間で85問を解くには、1問あたり85秒程度で解いていく必要があります。
出題形式
出題形式は以下となっていますが、これまでのAWS認定試験とは出題形式が変わっています。今後はこの形式が採用されるのだと思います。回答方法で戸惑うことはなかったです。
- 択一選択問題: 正しい選択肢が 1 つ、誤った選択肢 (不正解) が 3 つ提示
される。 - 複数選択問題: 5 つ以上の選択肢のうち、正解が 2 つ以上ある。設問に対する
点数を得るには、正解をすべて選択する必要がある。 - 順序付け: 指定されたタスクを完了することを目的とした 3~5 つの答えの
リストが提示される。設問に対する点数を得るには、正解を選択し、正しい
順序に並べる必要がある。 - 内容一致: 3~7 つのプロンプトのリストと一致する答えのリストが提示
される。設問に対する点数を得るには、すべてのペアを正しく一致させる
必要がある。 - 導入事例: 1 つのシナリオに、そのシナリオに関する設問が 2 つ以上含まれて
いる。導入事例の各設問のシナリオは同じである。導入事例の各設問は個別に
採点される。導入事例では正解した設問ごとに点数が得られる。
[AWS Certified AI Practitioner (AIF-C01) 試験ガイド 抜粋]
試験範囲と重み設定
- 第 1 分野: AI と ML の基礎 (採点対象コンテンツの 20%)
- 第 2 分野: 生成 AI の基礎 (採点対象コンテンツの 24%)
- 第 3 分野: 基盤モデルの応用 (採点対象コンテンツの 28%)
- 第 4 分野: 責任ある AI に関するガイドライン (採点対象コンテンツの 14%)
- 第 5 分野: AI ソリューションのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス
(採点対象コンテンツの 14%)
後述しますが、ML Machine Learning、機械学習が試験範囲となっています。
AWSのMLサービスが出題範囲となっているため、単に生成AIを知っているだけでは合格は厳しいです。
AWSのMLサービスとしては、SageMaker、Amazon Transcribe、
Amazon Translate、Amazon Comprehend、Amazon Lex、Amazon Polly
などがあります。
ただ、以下は試験範囲外とされています、どこまでMLを学習すればよいのか?の参考になると思います。
- AI/ML モデルまたはアルゴリズムの開発またはコーディング
- データエンジニアリング手法や特徴量エンジニアリング手法の実装
- ハイパーパラメータのチューニングまたはモデル最適化の実行
- AI/ML パイプラインまたはインフラストラクチャの構築とデプロイ
- AI/ML モデルの数学的または統計的分析の実施
- AI/ML システムのセキュリティまたはコンプライアンスプロトコルの実装
- AI/ML ソリューションのガバナンスフレームワークとポリシーの開発と実装
受験対象者について
出題範囲を理解する
この試験を受験してみた感想として、プラクティショナーレベル??? でした。プラクティショナーという割には結構難しい!!
恐らく、AI=生成系AIという風潮とプラクティショナーというAWS認定試験としての名称(試験ランク)から、多くの人は生成AIの入門的な試験範囲が出題されると思うのではないでしょうか。このため、仕事や勉強などで生成系AIを利用している人などで、腕試しに受験してみようかな…と思う人もそれなりにいるのでは…
しかし、実際には生成系AIだけでなく機械学習 MLが出題範囲に含まれており、そのあたりをよく調べずに受験した人などは面食らうのではないかと思います。
AI=生成系AIではない!
AIといえば生成系AIを連想することが当たり前の現状において、多数のAIサービスを保有するAWSとしてのスタンスを感じる内容(出題範囲)だったというのが感想です。
たしかに、試験タイトルはAIであり、Generative AIではないですからね。
受験する意味
繰り返しになりますが、AI=生成系AIではないということ。そして、同時にベータ版がリリースされた「AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate」認定試験の流れを汲んだ試験であると強く感じます。(AWS Certified Machine Learning Engineer Associateも受験しました)
Amazon Bedrockで生成系AIを利用している人、システムインテグレーションを行っている人にとって受験意義を考えるならば、AWSが生成系AIにて打ち出したいポイントを体得できるところだと感じています。
前述の、「試験範囲と重み設定」をもう一度見ていただきたいですが、第4分野と第5分野はAIについてのセキュリティやコンプライアンスに関連する内容となっています。出題量も約30%であり、それなりの出題規模となっています。
- 第 4 分野: 責任ある AI に関するガイドライン (採点対象コンテンツの 14%)
- 第 5 分野: AI ソリューションのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス
(採点対象コンテンツの 14%)
この、AIに対するAWSのスタンスを学習できることが、この認定試験の意義なのかなと私は感じています。これは、Amazon Bedrockを選択することの意義にもつながってくると思います。
学習方法
私の学習方法は以下の通りです。
- 「AWS Certified Machine Learning - Specialty」認定向けの学習:主にSkill Builder
- (試験範囲 第4、5分野を意識しながら)各種AI/MLサービスのドキュメントを読む:各AI/MLサービスの名称と用途を理解する
- 試験範囲第2分野である、生成系AIの理解:生成系AIの各種用語や意味を理解する
特に、試験範囲の第4、5分野、セキュリティやコンプライアンスを意識しながら各種AWS AI/MLサービスのドキュメントを読んでおくのは重要だと感じています。私は割と普段読み飛ばしがちなので…
さいごに
生成系AIを使っているから受験してみよう、ではかなり厳しい試験レベルです。AWSのAI/MLサービス全般の概要理解がとても重要です。
ただ、AWS認定試験でAI関連の試験は以下の3つがありますが「AI」と名がついているのは本試験のみです。
- AWS Certified Machine Learning - Specialty
- AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(ベータ版)
- AWS Certified AI Practitioner(ベータ版)
名称を「Machine Learning Practitioner」とはせずに、「AI Practitioner」としたあたりに、AWSとしての葛藤を感じたりもします。生成系AIを出題範囲とした認定試験というのは始まったばかりなので、AWSも模索中なのだろうと思います。…ベータ版が外れて本試験になった際には出題のレベル感がまた変わるかもしれません。
ただ、「AWS Certified Machine Learning - Specialty」を保有している人、MLを利用している人などは取り組みやすいと思います。AWSとしてのAIに求める事項、重要と考えていることを学ぶ意図で受験してみるのはとても良いのではないでしょうか。