はじめに
これは、自分のチームでクラウドを対応することになった自身の経験をもとにしています。
最終的にクラウドアーキテクトチームを組織するまでの試行錯誤を共有できればと思います
自分のチーム/組織でクラウドを対応することになったリーダー、管理職の方々への参考に!
なお、本投稿ではIaaSクラウドを基本とし、AWSを前提にしています。
AWSを使い始める
個人でAWSを利用するのはとても簡単です。一方で、会社組織でAWSの利用を開始する場合、それなりにハードルがあります。今回は会社組織(所属する部門、部署)でAWS利用を行う場合の準備について書いていきます。
予算確保
まずは利用料の確保すなわち予算が必要ですが、以前触れたように従量課金であるため、どの程度確保すればよいか、最初勘所がない場合は悩みどころです。(なお、慣れてきたら慣れてきたで、メンバーがアレもコレも試したくなるため、コストが増加します…)
AWSであれば、AWS Pricing Calculatorと呼ばれる費用算出ツールがありますので、まずは使ってみたいAWSサービスの費用算出を行い、ある程度の余裕を見て予算を確保することになると思います。
契約
予算確保と並行して、どのようにAWS環境を確保するのかを考える必要があります。
方法は下記の2つです。
- 直接契約
- 請求代行サービス(AWSリセール)
直接契約
AWSと直接契約を行います。基本的には米国ドルでの請求となり、クレジットカードを利用して支払いを行います。
クレジットカードを利用する点で、組織によっては利用が難しい場合があるかもしれません。
(私は自社内でその支払い制度を探し当てるのに非常に苦労しました…)
なお、請求額によってはAWSから請求書を電子送付してもらい、AWS口座へ入金する方法もあるようです。ただ、まずは試しに使ってみるという始め方の場合はそれほどの費用にはならないはずですので、やはり基本はクレジットカード利用となると思います。
(「アカウント・請求関連のご質問 」より抜粋)
Q. クレジットカード以外の支払方法はありますか?
AWS のご請求は基本的にクレジットカード決済となりますが、請求額が大きい場合はクレジットカードの与信枠を超えてしまうケースも多いことから、利用料金が大きいお客様( おおよそ月額 2,000 ドル程度 )には AWS から請求書を電子送付、お客様より AWS 口座へ入金いただく仕組みをご用意しております。
その場合のお支払いは送金となり、送金にかかる手数料はお客様負担となりますのでご留意ください。
上記条件を満たしていない場合は、通常送金をご利用いただけませんが、特別な事情で送金をご希望の場合は、日本担当チームまでご相談ください。
また、AWS のパートナー経由でサービスご利用いただくことも可能です。パートナー経由のご利用についてご質問がある場合も、日本担当チームまでご連絡ください。
※「お問い合わせの種類*」で”セールスサポート”をご選択ください。
なお、お支払い方法のページでは「銀行口座」も表示されていますが、アメリカに所在地のある銀行の口座が必要な他、ご利用にあたり一定の条件がございます。詳細は画面上の「利用規約」をご確認ください。
下記も参考になると思います
請求代行サービス(AWSリセール)
直接契約の他に検討できるのが、請求代行サービスです。請求代行サービスは、AWSへの支払いを代行してくれる業者を介して利用料を支払うサービスです。直接契約にはないメリットとして…
- 円建て支払い
- 直接契約よりも安くなる場合がある
- 直接契約にはないオプション(保険など)が用意されている場合がある
円建て支払い
殆どの場合円での支払いとなります。会社組織(所属する部門、部署)によっては円支払いのみという場合もあると思いますので、そのような場合には請求代行サービスを利用した方が良いでしょう。なお、円建てにするにあたり、各業者により為替レートの適用ルールを設けています。一定期間の平均レートを採用している場合が多いのではないかと思います。
直接契約よりも安くなる場合がある
独自に割引プログラムを用意している請求代行業者もありますので利用方法によっては直接契約よりも安くなる場合があります。AWSが各サービスの料金ページで公開している料金よりも高額になることは少ないと思います。また、高額になる場合は付加価値を付けてくれている場合がありますので、金額だけでなく内容を確認することが重要ですね。
直接契約にはないオプション(保険など)が用意されている場合がある
その他、様々なオプションが用意されている場合があります。万一の場合の保険であったりサポートの充実などです。
ただし、以下のようなデメリットもあります
- 利用できないサービスがある(場合がある)
ありがちなのは以下のサービスではないかと思います。
AWS Organizations、AWS Control Tower 、AWS Budgets、etc…
利用制約のない請求代行サービスもありますので、制限事項の有無は事前に確認するのが良いでしょう。
また、AWSに関するサポートや問い合わせは、請求代行サービス業者に対して行うことになります。その面でも信頼できそうな事業者を選定するのが良いでしょう。
参考
一度契約したAWS環境を他の請求代行サービス業者に移管することも可能です
予算確保のおまけ(為替レート)
2023年2月現在、この2年とちょっとを思い返すと円安に非常に苦労しました…
(AIチャットに2020年から2023年までの四半期ごとのドル円レートを出力してもらいました)
四半期 | ドル円レート平均値 |
---|---|
2020年第1四半期 | 109.34 |
2020年第2四半期 | 107.47 |
2020年第3四半期 | 105.88 |
2020年第4四半期 | 104.17 |
2021年第1四半期 | 103.76 |
2021年第2四半期 | 108.86 |
2021年第3四半期 | 110.29 |
2021年第4四半期 | 113.54 |
2022年第1四半期 | 115.32 |
2022年第2四半期 | 117.46 |
2022年第3四半期 | 120.15 |
2022年第4四半期 | 123.78 |
2023年第1四半期 | 126.41 |
2021年までは比較的安定しており、予算確保の際に私は1ドル110円で計算を行っていました。それが2022年になり、毎日為替レートをチェックする日々が訪れようとは…
皆様、十分に余裕を見た為替レート予測による予算確保を行ってください!
(…言うのは簡単なんですけどね)
最後に
今回は、AWSの利用を開始する際の契約や予算・お金周りの内容を書きました。リーダー/管理職の立場では、やはりこのあたりが気になるポイントではないかと思います。
この1年は、急激な円安もありSNSなどで様々な物のコストが話題になりました。クラウドやサブスクリプション関連のコスト変動も例外ではなく、苦労をされた現場も多かったと思います。ではオンプレミスが良いかと言えば、部材ひっ迫によるサーバやネットワーク機材の納期問題や電気料金の高騰などもあり…クラウドはこれからも有力な選択肢の一つであることに変わりはないと考えています。