はじめに
クラウドAI by ナレコム Advent Calendar 2022 の8日目です。
ナレッジコミュニケーションでは通常AWSやAzureを利用し、中でもAIやデータパイプラインを中心としたサービス提供を行っております。
私は東アフリカのウガンダに来ており、ウガンダでAIをする方法について記載します。
なお、アフリカの中でも南アフリカのような発展した場所やジブチのような特殊な国もあるので地域によって異なると思いますのでご了承ください。
ジブチってどんな国と思った人は)「アフリカの「若者の失業率60%」の国に行ったら、「日本人はよく働く」の意味がようやくわかった が非常に興味深いです。
ウガンダだとPCはWindowsを使っている人が多くマイクロソフトは知っている人が多いですが、Amazon(通販)はアフリカでは唯一エジプトのみで提供されており知っている人は少ないです。
また企業が自社の業務システムをデータセンターに置くといったことも少ないものの、少数ながら国内にいくつかのデータセンターがあるようです。
ウガンダにも数多くのサービスがあり、サービス提供を行っている会社が多く利用しているのはDigitalOcean デジタルオーシャンです。
私はウガンダに行くことが決まって初めて知った会社ですが、いくつかのウガンダのスタートアップに話を聞くとDigitalOceanを使っている会社が多いです。
DigitalOceanはどんなサービスか
2011年に設立されたアメリカのクラウドインフラストラクチャプロバイダーです。2011年というとAWSが日本リージョンを立ち上げた年です。
Qiitaにもタグがあり、いろいろな人が記事を上げています。ただ、AWS 33,631記事・Azure 6,519記事と比べて78記事のみと非常に少ないです。(2022年12月現在)
特徴は前佛さんがインフラエンジニア勉強会「hbstudy」の中で発表した資料が非常にわかりやすいです。 今日から始めるDigitalOcean
DigitalOceanの特徴は月の金額の上限設定が決まっているところです。
一番安いサーバであれば月$4で利用することができます。 DigitalOceanのホームページにも他のクラウドとの料金比較を出しており、転送量も含めると圧倒的なコストパフォーマンスになっています。どのサーバにも1,000GBの転送量が含まれており、超えた時も非常に安価です。
ウガンダのように経済的に豊かでない国では、上限が決まっており安価で金額リスクも低いからこそ多くのサービスで利用されているのです。
DigitalOceanにあるサービス
サービス自体は非常にシンプルで、管理ツールを除けばCompute・Storage・Networking・Databaseの4つのみ提供されています。
2022年6月には企業買収を行いComputeの中にサーバレスサービスが追加されています。
また、リージョンも限定的でアメリカ(3箇所)・オランダ・シンガポール・イギリス・ドイツ・カナダ・インド・オーストラリアの8カ国でのみ提供されています。
DigitalOceanでAIをするには
2022年12月現在DigitalOceanはGPUを提供しておりません。2021年の公式コミュニティでもサポートしていないとなっておりました。
そのため、GPUを使わないければ実行できないような処理がある場合はDigitalOceanのみで完結することは難しいです。
GPUがないとできない場合は
- ローカルマシンやローカルサーバでGPU処理のみ実施
- その処理のみAWSやAzure、GCPを使う
- GPUを使わないでも出来る処理に置き換える
といった方法が考えられます。
日本の感覚であれば数ドルであれば気軽に使えますが、ウガンダでは影響が大きいのでできるだけ3を考える必要があります。
無料で使えるSaaSが多いこともあり、Googleを使っているユーザーは多いのでコストも考えると以下の方法がウガンダでAIをするベストプラクティスと考えます。なお、AIということでPythonを前提としております。
- Google Colabで処理を作成
- TPUやGPUは使わない
- Google Colabで動くなら、DigitalOceanでも動く可能性が高い
- DigitalOceanのサーバレスサービス Functionに実装
- 0円から使え、90,000GiB秒分の無料枠がある
- 固定料金がなく従量課金
- 例えば、1GB Memory×20秒の処理だと45,000回まで無料で実行できる
- 回数などに応じて通常の仮想サーバ Dropletsを活用する
まとめ
日本にいるときにも予算などを考えてリソースを使っていましたが、ウガンダでは人件費が安いことやサービスから稼ぐことが難しいなど何倍もシビアにリソースを考えて使う必要があります。
人件費も何倍も違うため、日本なら人件費かけてやるよりはマシンリソースを使って解決しようとなるケースでも、なるべく固定費がかからなくてマンパワーで解決しようとなります。
日本やアメリカでは体験できない貴重な目線でクラウドサービスを見ることができました。