はじめに
今回、【ServiceNow】のSPM(Service Portfolio Management)について、実際の案件を通じて得た知識と経験を共有するために本記事を作成しました。
この記事の目的は、難解に思われがちなSPMとAPMの概念を、実際のプロジェクトで得た具体的な知見を交えて、わかりやすく解説することです。これにより、読者の皆様がSPMの基本を理解し、実践に役立てていただくことを目指しています。
SPMとは
SPMは、ServiceNowが提供する戦略的ポートフォリオ管理の機能群です。一般的にPPM(Project Portfolio Management)ツールと呼ばれる分野に属し、プロジェクト管理や企業戦略デザインを支援するツールです。
SPMは、事業規模や売上規模が大きい企業ほどその恩恵を得やすい機能です。日本国内では、参天製薬、富士通、三井倉庫などの大手企業が導入しており、個人的な感覚では、年間売上2,000億円以上の企業において導入のメリットが大きくなる印象があります。
なぜSPM・PPMが必要か
SPMが企業に求められる理由は主に以下の3点です:
- プロジェクト管理の単一ツール化とデジタル化
- 世界的に知名度の高いSaaS(ServiceNow)の機能であり、サイロ化を防ぎ世界標準に準拠
- プロジェクト管理の品質標準化
これらの特徴により、SPMは他のプロジェクト管理ツールと比較して、より包括的で統合された管理を可能にします。
SPMの実現したい世界観
SPMは、企業戦略に基づいたプロジェクト企画やIT投資・統廃合のプランニングから、企画立案、開発・導入プロジェクトの組成、Go-Live、そして運用までを一つのプラットフォーム内で完結させることを目指しています。これにより、顧客に一貫した価値提供(バリューストリーム)の実現を可能にします。
つまり、SPMは戦略と実行の一貫性を保ち、無駄のない企業活動を推進する戦略系のツールなのです。
SPMが提供する機能と価値
- 需要管理
- プロジェクト管理
- リソース管理
- 財務管理
- ポートフォリオ管理
特に、需要管理とプロジェクト管理がSPMの中心的な機能となります。
SPMの基礎概念と導入メリット
- アイデアからデマンド、プロジェクトへの昇格プロセスにより、現場の意見を効果的に吸い上げることができます。
- プロジェクト→プログラム→ポートフォリオの階層構造(PMBOK準拠)により、プロジェクト活動を俯瞰的に把握できます。
- 投資評価と管理会計の機能があり、正確なデータ入力により適切な管理が可能です。
SPMの競合と市場での位置づけ
SPMの主な競合には、Planview、Monday、Wrike、Asanaなどがあります。
2024年度のランキングでは、Forrester社の調査でServiceNowのSPMがトップリーダーに位置付けられています。
一方、Gartner社の調査では12位となっています。
顧客Demoにて評価されている主要機能
1. デマンドワークベンチ:需要の一覧と評価を可視化
2. バブルチャート分析:プロジェクトの価値とリスクを図示(APM)
3. PMOダッシュボード:プロジェクト全体の状況を一目で把握
これらの機能により、戦略的な意思決定と効率的なプロジェクト管理が可能になります。
まとめ
SPMは、大規模な企業向けの強力なポートフォリオ管理ツールです。戦略立案から実行まで一貫した管理を提供し、企業の経営効率を向上させる可能性を秘めています。導入を検討する際は、自社の規模や需要に合わせて慎重に評価することをお勧めします。
SPMについてより詳しく知りたい方は、ServiceNowの公式サイトや、プロジェクトマネジメント協会(PMI)のリソースを参照することをお勧めします。