PCLCM(PC Lifecycle Management)
PCLCMは、PC(パーソナルコンピュータ)のライフサイクル全体を管理するプロセスを指します。企業がPC資産を効率的かつコスト効果的に運用・管理するために、調達から廃棄までの各段階を体系的に管理します。ServiceNowのハードウェア資産管理(HAM)モジュールは、PCLCMの支援ツールです。
想定業務
PCLCMでは以下の業務を行います。
- 調達
- キッティング
- 運用保守
- 廃棄
上記業務をServiceNowのベストプラクティスに整合する形でスイムレーン形式に整理すると、以下の流れになります。
今回はこの中で運用保守の一部業務にあたる棚卸業務にフォーカスします。
棚卸とは
棚卸は、PCLCMの「運用・保守」フェーズにおける重要な業務であり、PC資産の実在性と記録の正確性を確認します。簡潔に言えば、年次や月次で「このPCをまだ所有していますか?」といった確認を通じて、野良PCや野良スマホを減らす運用業務の一環です。棚卸の目的と作業の流れは以下の通りです。
棚卸の目的
- 実在性の確認:PCが物理的に存在するか検証。
- 記録の正確性:資産情報(例:状態、場所、割り当て先)が実態と一致するか確認。
- 紛失・盗難の検出:登録資産が見つからない場合を特定。
- コンプライアンス対応:監査や財務報告のための正確な資産データ確保。
棚卸の主要作業
1. 準備:
対象PCのリストを抽出(例:alm_assetからModel Category = Computer)。
例:ServiceNowレポートでState = In StockまたはIn UseのPCをエクスポート。
担当者割り当て、スケジュール設定、従業員への通知。
2. 物理確認:
在庫品(In Stock):倉庫でバーコードスキャン(例:ServiceNowモバイルアプリ)。
非在庫品(In Use/Assigned):従業員の自己申告や現地確認。
例:新入社員のPCをシリアル番号報告。
3. 情報更新:
確認結果に基づき資産レコードを更新。
例:状態(State:In Stock→In Use)、場所(location)、割り当て先(assigned_to)。
紛失PCをMissingに変更、破損PCをPending Repairに。
4. 検証・レポート:
不一致(例:紛失PC)を特定、調査タスクを生成。
棚卸レポートを作成(例:確認済みPC数、紛失数)。
例:ServiceNowダッシュボードで進捗を可視化。
ServiceNowのAgent アプリ
上記の棚卸業務の一部(実際の資産の物理的な確認と所有者情報の更新、更新情報の反映確認)は、ServiceNowのHAMおよびAgentアプリで標準サポートされています。具体的なデモを以下に記載しています。イメージをつかんでいただけると幸いです。
まとめ
資産の照合から更新まで、モバイルアプリを使用してネイティブに実現できます。実際の業務では、ServiceNowを使用して棚卸資産の選定や資産保持者への通知などを実現できると考えられます。また、日次バッチや月次バッチもスケジュールジョブで実行できます。棚卸の進捗状況をレポート作成することも可能です。より詳細な手順が必要な場合は、タスクを割り当てて指示を記載するか、サーベイ形式で情報を提供することも考慮されます。総じて、このように標準機能を活用して、典型的な業務を半自動または全自動化していくことがServiceNowの強みであり、その目的の一つであるハイパーオートメーション(高度自動化)だと考えています。