先日以下のイベントにお声がけいただき、LT登壇をさせていただきました。
今回はエンジニアリングマネジメントという括りでもあり、我々ARIで行っている若手技術者育成の取組みをご紹介させていただきました。
登壇資料はこちらで公開しておりますが、サマリーや補足用にこちらの記事を用意しました。
我々が目指す理想の技術者像
ずばり「事業をエンジニアリングできる技術者」です。
ベストセラーとなった「事業をエンジニアリングする技術者たち」で紹介されている「フルサイクルエンジニア」の概念がまさに理想像です。
引用:https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/2019/02/04/171325
事業ドメインに関心を持ち、社会や顧客の課題を解決できること。
技術をビジネス価値を変換できる力の高い技術者を理想とし、そうした技術者を多く輩出できる組織を目指しています。
ちなみにこの本は本当におすすめです。(意外かもですが特に受託をやっている会社の人ほど読むべきだと思っている)
この本について書いた拙記事も紹介させてください。
私が考える若手育成のポイント
以下の3点が重要であると考えています。
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最初の一歩のハードルを下げる
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他者関与の機会を増やす
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(ソフトスキルも)バランスよく学ぶ
1)最初の一歩のハードルを下げる
先輩や上司が背中を見せて技を盗ませて伝えるやり方は私自身とても素敵で憧れますが、令和になって大量の時間投下を前提にした経験を元にしたスキル伝承はもはや現実味がなくなりました。言語化できなければ現実的には技術の伝承はできなくなりつつあるとも言えます。
そのためにも、具体的に手を動かせる環境を用意したり、モブ開発など一緒に実成果物を創るプロセスを共有することで、抽象度を下げた情報提供が必要になってくると考えています。ただその分、学ぶ側の汎用化抽象化能力がこれまで以上に求められる部分はあるかなと思います。
2)他者関与の機会を増やす
かつて自身の人生を振り返って、やる気スイッチが入った時のことを思い出すと、ポジティブな理由もネガティブな理由も両面で、そこには必ず自分に刺激や直接的な言動を与えてくれる誰かがいた気がします。人間とはそういうものではないかなとも思います。自分だけでやる気スイッチを押し続けられる人は少ないのではないでしょうか?
そういう意味で、広く他者と関わっていく機会は、特に若い時代の成長には不可欠です。他人の目線に一喜一憂するというわけではなく、あくまでも刺激に選択肢を増やそうというイメージです。そのためにも、刺激やモチベーションのスイッチを押すのは自分自身でしかありませんが、そのスイッチに触れる機会は沢山用意したいと考えています。
また教えることが最大の学びになるというのはもはや常識となりつつあります。若手こそ他者に教える機会も出来るだけ増やしていけたらと思っています。
3)(ソフトスキルも)バランスよく学ぶ
エンジニアとして、何か1つ強みとなる技術領域を身に付けることが大切なのは間違いありません。
ただその武器を活かすソフトスキルがなければ、事業をエンジニアリングする上では生産性が上がらないことが多い。特にチームにおいてはそうです。
コンセプチュアルスキルの習得は経験も重要で時間がかかります。であれば早いうちから取り掛かっておくに越したことはありません。
ライティング、プレゼンテーション、ファシリテーション、プロジェクトマネジメントなど、ネットにも参考となるコンテンツや学びの機会が多く見つけられます。ただ中々最初の一歩が重たいのが実情です。
最初の一歩のハードルを下げ、他者関与を増やしながら、重要だけど優先ではないことにどう時間を振り向けるか。その環境を整えていきたいと考えています。
「どんな人でも楽しく開発できる仕組み」を求めて
最後に、最近見つけた記事で非常に共感するものがありましたのでご紹介します。
恐らくエンジニアとして突き抜けられたからこそ拓かれた視座であると思いますので、簡単に共感するというのは大変おこがましいのは承知ですが、こちらの記事で名村さんが仰っていることが、自身の理想に非常に近いです。下記に一部引用させていただきます。
ここでいう「一定の環境」を用意することこそが、若手の育成にはとても大切であるのではないかと思います。
なお、ここで言う「環境」とは技術的な環境のみを指すのではなく、組織的文化的制度的なものも含まれると私は理解しています。それらすべてが整って初めて、「どんな人でも楽しく開発できる仕組み」と言えるはずです。もちろん記事にもある通り、「ポテンシャルとやる気がある人」を集められる 採用力 も大前提となるでしょう。
我々に置き換えて言えば、特に技術的な環境整備は大きな課題です。
例えば我々は受託と自社サービス開発をハイブリッドで行っています。特に受託プロジェクトにおいては各種開発環境は顧客の要求に依存することも多く、一定の共通基盤をあまねく整備することは難しいものがあります。また特に我々についていえば、取り扱う技術範囲もアプリケーション開発からビックデータ基盤やコンタクトセンター基盤の構築など多岐に渡ります。こうした中で「一定の環境」を「技術者全員に」用意することは、なかなか難しいのが実情です。
ただそこをクリアすることこそが、大きなブレークスルーのきっかけになると信じています。
その具体策として、現時点で理想とする開発のリファレンスモデルを整備し、各プロジェクトが状況に応じて導入していけるイネーブルメントの施策や、このリファレンスモデルをベースに開発されたサンプルアプリケーションのチュートリアルを整備しハンズオン機会を提供していくことも計画中です。(図はイメージ)
まだまだ道半ばですが、こうした若手エンジニア育成の取組みが、我々のみならずこの業界で解決すべき重要なイシューでもあると信じて、引き続き挑戦を続けていきます。
お知らせ
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最近QiitaさんにOrganizationへの取組みについて取材いただきました。
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