#注意書き
個人的まとめです。思い込みや勘違いが含まれてる可能性があります。
頭の中の整理も含めて書いてみます。
Rover L1,Base L1+L2で3倍速録画
#忙しい人のために、先に結論
製品名 | 利用可能範囲 | 精度 | 種類 | LTEとかPC | FIXまでの時間 | 価格帯 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C94-M8P | 1Km | 1cm級 | RTK | x | 10分程度 | 5万円程度 | 内蔵LoRa回線が使えるが約200m程度 |
トラ技のRTKキット | 1Km | 1cm級 | RTK | ○ | 10分程度 | 5万円程度 | WiFi,LTE,PCが必要 |
2周波受信機 | 10Km | 1cm級 | RTK | ○ | 約1分 | 30万円程度x2 | WiFi,LTEが必要 |
#GPS測位の種類と課題
#電波の種類
大雑把に言ってL1,L2,L5という3種類がある。ちなみにL3は核爆発検知用,L4は電離層の研究用です。(GPSも軍事技術とはいえ、おっかねえなぁ・・)
海外フォーラムからの拾い物。
http://insidegnss.com/auto/popupimage/GLONASS%20spectrum%200408.jpg
##L1
カーナビやスマホなどの一般的なGPSといったら、このL1しか使わない方式。
放送されている中身は人工衛星の軌道データで、衛星の軌道位置から現在地を計算できるようなデータが放送されている。
##L2
電離層遅延の計算に必要なデータが放送されているだけなので、測位にはL1も必要。
現状ではプロの測量士が使っているような高価なもの(数十万円台)じゃないと、L1とL2を両方受信できない。
##L5
新しい人工衛星に搭載されている方式。QZSSは今年の4月から開始。
ここ数年の受信機しか対応しておらず、周波数も違うのでアンテナの対応も必要。
アジア通販で買える某大手の測量用GPS(10万円台)は対応していました。
##L6
日本のGPS衛星「みちびき」に搭載されている方式。
cm級の補強する信号。
http://qzss.go.jp/overview/services/sv06_clas.html
だが周波数が違うのと、現状では日本独自方式のようなので、アンテナと受信機は専用のものが必要。
ざっくり調べてみたけれどまだ実験用レベルらしく、両方揃えると200諭吉さんほどの模様。
###まとめ
一言で言えば値段次第。
L1+L2ならば、アジア諸国が開発バブルになってるおかげで、ネット通販とかで買えば安いけども。それでもフル装備にしようとしたら30万近くする。
値段的に考えても、一般人に普及するわけないよね・・。
低価格な受信環境が整わないと、今後も普及は難しいと思われる。
#測位する方式いろいろ
###Single
いわゆるカーナビなどに使われてる方式。精度は10m程度。
安価なアンテナ1個だけで済むし、受信機も数千円程度のモジュール1個で済むのがポイント。
###DGPS
基地局で観測したGPSの情報と、基地局の位置情報を移動局に送ることで、移動局の位置情報を計算する方式。精度は1m程度。
同じシステムが2台+通信回線が必要。今はRTKがあるので使われてないと思う。
###RTK
前記のDGPSの応用技術。必要なシステムはほぼ同じだけど、受信機によってはアンロック(オプション料金)が必要だったり、色々条件があったりする。
原理の詳細は専門文献に譲るとして、大雑把に言うと本来のGPS計算のほかに別の計算式を解くことで、より高精度な位置がわかるというもの。
ただし計算式の原理的な都合により、少々時間がかかる。
L1+L2同士の場合であれば1分以内ぐらいが通常だけど、L1同士だと現状では運が悪ければ10分程度かかる。
計算中をFloat解、計算が解けた場合をFIX解と呼ぶ。
##PPP
DGPSやRTKは原理的に基地局と移動局の2セットが必要だし、通信回線も不可欠なので設備や通信回線の維持などが高コストになりがち。
一方、PPPは単独で起動時に10〜20分くらい測量し続けることで、cm級を実現できるという方式。
いったん起動してしまえば、衛星を一定数見失わない限り精度は継続できる。
ただし高精度の補正情報が必須のため、現状ではネットから拾ってくる以外には方法がない。
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/qzss/news/2014/140909.html
https://www.ipa.go.jp/files/000050351.pdf
###ざっくりまとめると
DGPSのメリットは無いけどPPPは一般人じゃ使えないぽい。現状ではRTKしか選択肢が無い。
RTKだと通信回線が必須になるけれど、wifiも届かないような距離になると、日本の電波法的には3GとかLTEを使う以外には、選択肢がない。
####有効範囲
L1の一周波RTKの場合、ネットにある文献では1−2kmぐらいが限界らしい。
L1+L2のRTKの場合だと、10km超えるとFIX解が得られても間違いが多い。自分が実験した限りでは約14kmでFIXしても誤差4cm程度あるので、一周波RTKのほうがずっとマシなレベルでした。
#GPSあるあるFAQ
###なんで誤差があるの?
いろいろ要因はあるけど、自分が理解しているのは、おおまかに2つ。
1.電離層の影響。
地表から10−50kmぐらいを電離層という。太陽風と地球の地磁気の影響で365日ずっと電子レンジが稼働してるような状態になっている。国際線飛行機などの無線は、この層の反射を利用している。
しかしGPSの電波の場合、電離層を通過する際にわずかに遅延するため、その遅延が誤差の原因。
対策としてL2があるのだけど、電子回路が複雑になるため高コストだし、精度も完璧とは言えないのが現状。
2.建物などの反射(マルチパス)や、木の陰などで衛星自体がアンテナから見て隠れてしまう状況。
特に木の陰は、半端なく電波の減衰があります。
###PPPって個人で使えないの?
https://ssl.tksc.jaxa.jp/madoca/public/public_application_en.html
JAXAの申し込み要項の詳細が全てです。
###FIXしないんだけど?
FIXすることをお祈りいたします。