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世界を変えた17の方程式(ネタ)

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はじめに

下のツイートが元ネタです。(一部誤っているであろう箇所を修正しております。)
知らないものがあっても、こんな分野があるんだなぁぐらいの気持ちで見ていきましょう!
世の中、知らないものだらけですな。

ピタゴラスの定理

『直角三角形において、直角をはさむ2辺の長さの二乗の和は、斜辺の長さの二乗に等しい』

a^2+b^2=c^2

image.png

土木・建築・ロボティクス・・・などあらゆるところで、ピタゴラスの定理を基礎とした三角測量が使われています。
https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20200902_01

また数学的には、のちに無理数の発見につながります。

当時、無理数はピタゴラス学派の信念と矛盾していたため、その発見者であるヒッパソスは処刑されたと伝えられています。
かわいそうですね。

対数

『積の対数は和に、商の対数は差に、べき乗の対数は係数倍になる』

\displaylines{
\log_a xy=\log_a x+\log_a y \\
\log_a \frac{x}{y}=\log_a x-\log_a y \\
\log_a x^n = n\log_a x
}

掛け算・割り算が足し算・引き算になり、高速に計算することが可能になりました。
当時の大航海時代において、桁数の大きい天文学に関連する計算が多かったことから、非常に重用されたようです。

その後、計算尺などの計算器具にも応用され、電卓が発明されるまで科学の発展を支え続けました。計算が速くなると、全人類の知的活動の効率が一気に高まるので、すごい変革ですね!

成田收. 対数の誕生・成長・発展. 市民の数学「対数」, 2005
https://qiita.com/yaju/items/af46fd43bb790b1a2f3a

微分積分学の基本定理

『微分と積分は互いに逆演算の関係にあり、連続関数の定積分はその原始関数の差で表される』

\displaylines{
f(x)=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}\int^x_a f(t)\mathrm dt \\
\int^b_a f(x)\mathrm dx=F(b)-F(a)
}
  • $F(x)$は$f(x)$の原始関数(不定積分)

解析的な微分積分学の成立においては、ライプニッツの功績が大きい
ニュートンは微分積分の考えを物理学に導入し、その後の物理学に大きな影響を与えた。
幾何学からの脱却、図から数式へ移行できたことで、直感に頼りすぎない高次な理論構築が可能になったと考えています。

万有引力の法則

『質量を持つ二つの物体の間に働く引力は、質量の積に比例し、距離の二乗に反比例する』

F=G\frac{m_1m_2}{r^2}
  • $F$ は引力
  • $G$ は万有引力定数
  • $m_1$ と $m_2$ は二つの物体の質量
  • $r$ は二つの物体間の距離
  • 万有引力定数$G=6.67\times10^{-11}\mathrm{m^3s^{-2}kg^{-1}}$
  • 地球質量$M=5.97\times10^{24}\mathrm{kg}$
  • 地球半径$R=6.36\times10^6\mathrm m$
  • 太陽質量$M_s=1.99\times10^{30}\mathrm{kg}$
  • 地球の公転半径$R_E=1.50\times10^{11}\mathrm m$

以上から、

  • 第一宇宙速度$7.91\mathrm{km/s}$
  • 第二宇宙速度$11.2\mathrm{km/s}$(地球脱出速度)
  • 第三宇宙速度$16.7\mathrm{km/s}$(太陽系脱出速度)

を求めることができます。

映画「トップガン マーヴェリック」において、主人公マーヴェリックが前人未到のマッハ10(=3.40km/s)を目指していたことを思い出すと、かなり速いですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%80%9F%E5%BA%A6

波動方程式

\frac{\partial^2u(\boldsymbol r, t)}{\partial t^2}=c^2\Delta u(\boldsymbol r, t)
  • $u(\boldsymbol r, t)$ は、座標 $\boldsymbol r$ における時刻 $t$ での波の振幅
  • $c$ は波の伝播速度
  • $\Delta$ はラプラシアン(空間二階偏微分演算子)

とうとう?微分方程式が出てきましたね。
電磁界解析などをやる数少ない人多くの人にとってもシミュレータでポンがほとんどなので、方程式という形で意識することはあまりないと思っています。

自分の職場まわりで微分方程式を扱っているのは、アクチュエータまわりの古典制御やってる人しかみないですね...

オイラーの公式

『複素数 $e^{(\mathrm i\theta)}$ は、複素平面上で半径1の円周上を角度 $\theta$ だけ反時計回りに回転した点を表す』

\displaylines{
\mathrm e^{\mathrm i\theta}=\cos\theta+\mathrm i\sin\theta \\
\mathrm e^{\mathrm i\pi}+1=0
}

とくに下段の式(オイラーの等式)は、その美しさで有名な式。

自分のセンスを超えた式なので、おとなしく便利なツールとして使っています。
あとに出てくるフーリエ変換と密接に絡んでいます。
虚数単位「i」を見ると、とりあえず波をイメージする体になってしまった。

オイラーの多面体定理

『凸多面体のトポロジカルな不変量を表す、頂点数、辺数、面数の関係式』

V-E+F=2
  • $V$ は頂点(Vertex)の数
  • $E$ は辺(Edge)の数
  • $F$ は面(Face)の数

ヨビノリさんの講座が一番わかりやすい。
オイラーの多面体定理の簡単な証明から、正多面体が5種類(正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体)しかないことの証明までしている。

wikipediaにある、双対グラフを用いた証明も好き。
https://ja.wikipedia.org/wiki/オイラー標数

正規分布

f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}\mathrm e^{-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}}

正規分布が分布の王様といわれるのは、中心極限定理によるものです。
誤解を恐れずに中心極限定理を説明すると、「母集団がどんな分布でも、その標本平均は正規分布に収束する」というものです。

理系では結構有名な中心極限定理ですが、証明は結構難しい(統計検定1級レベル)です。

フーリエ変換

\displaylines{
F(\omega)=\int^{\infty}_{-\infty}f(t)\mathrm e^{\mathrm i\omega t}\mathrm dt \\
f(t)=\frac{1}{2\pi}\int^{\infty}_{-\infty}F(\omega)e^{\mathrm i\omega t}\mathrm dt
}

注目している系の双対性によって、いろんな流派があります。
https://eman-physics.net/math/fourier05.html

ここで示している変換は、時間-角周波数の変換を意識しており、電気回路などで用いられています。また、光を扱う分野とかだと波長-波数で考えたりもします。(ほかにも色んな分野の人が、色んな形で使っています。)

ナビエ・ストークス方程式

\rho\frac{\mathrm d\boldsymbol v}{\mathrm d t}=\rho\left\{\frac{\partial\boldsymbol v}{\partial t}+(\boldsymbol v\cdot\nabla)\boldsymbol v\right\}=-\nabla\boldsymbol p+\mu\Delta\boldsymbol v+\rho\boldsymbol f

非圧縮性流れ($\mathrm{div}\ \boldsymbol v=0$)、かつ粘性率が一定($\mathrm{grad}\ \mu=0$)としている

  • $\rho$ は流体の密度
  • $\boldsymbol v$ は流体の速度場
  • $t$ は時間
  • $\boldsymbol p$ は圧力場
  • $\mu$ は粘性係数
  • $\boldsymbol f$ は流体の質量あたりに作用する外力

流体力学においてニュートンの運動方程式$ma=F$に相当するものです。
左辺である$\rho\frac{\mathrm d\boldsymbol v}{\mathrm d t}$が$ma$に相当し、右辺である$(-\nabla\boldsymbol p+\mu\Delta\boldsymbol v+\rho\boldsymbol f)$が$F$に相当します。
右辺の項について説明すると、$(-\nabla\boldsymbol p)$は付近の流体によって直接受ける力であり、$(\mu\Delta\boldsymbol v)$は付近の流体との摩擦力、$(\rho\boldsymbol f)$は遠隔で受ける外力です。

「高校数学の美しい物語」にあるこちらの記事がわかりやすかったです。

$(\boldsymbol v\cdot\nabla)\boldsymbol v$ <ガンバレ!〆まであとチョット!

マクスウェル方程式

\displaylines{
\mathrm{div}\boldsymbol E=\frac{\rho}{\epsilon_0} \\
\mathrm{div}\boldsymbol B=0 \\
\mathrm{rot}\boldsymbol E=-\frac{\partial \boldsymbol B}{\partial t} \\
\mathrm{rot}\boldsymbol B=\mu_0(\boldsymbol J+\epsilon_0\frac{\partial\boldsymbol  E}{\partial t})
}
  • $\boldsymbol E$ は電場
  • $\rho$ は電荷密度
  • $\epsilon_0$ は真空の誘電率
  • $\boldsymbol B$ は磁束密度
  • $\mu_0$ は真空の透磁率
  • $\boldsymbol J$ は電流密度
  1. 電場に関するガウスの法則(電荷の存在)
  2. 磁場に関するガウスの法則(磁気単極子の否定)
  3. ファラデーの電磁誘導の法則(磁場の変化によって電場が生じる)
  4. アンペールの法則(電場の変化および電流によって磁場が生じる)

熱力学第2法則

『孤立系において、自然な過程ではエントロピーは常に増大するか、せいぜい一定にとどまる』

\Delta S\geq0

エントロピー増大則、クラジウスの原理、カラテオドリの原理など同値な表現がたくさん存在します。

また、熱力学第2法則をミクロな基礎方程式(ニュートンの運動方程式やシュレーディンガー方程式)から導き出すことは未だできておらず、人類の重要課題の一つとなっています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/時間の矢
https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2018/06/73-06reviews2.pdf

質量とエネルギーの等価性

『物体の静止質量に内在するエネルギー量は膨大である』

E=m\mathrm c^2
  • $E$ はエネルギー
  • $m$ は静止質量
  • $\mathrm c$ は光の速度

特殊相対性理論の帰結として、かの有名な$E=mc^2$が得られます。

  • 特殊相対性原理
    • すべての慣性系において物理法則は同じ形で成り立つ
  • 光速度不変の原理
    • 真空中の光の速さは、光源の運動状態に関係なく一定である

これらの原理から、以下のような内容が導かれます:
時間の相対性: 高速で移動する物体では時間の進み方が遅くなる。
長さの収縮: 高速で移動する物体は進行方向に縮む。
質量とエネルギーの等価性: アインシュタインの有名な式 E = mc² で表される。
光速度の限界: 物質の速度は光速を超えることができない

シュレディンガー方程式

\def\bra#1{\mathinner{\left\langle{#1}\right|}}
\def\ket#1{\mathinner{\left|{#1}\right\rangle}}
\mathrm i\hbar \frac{\partial}{\partial t}\ket{\psi(\boldsymbol r, t)}= \hat H \ket{\psi(\boldsymbol r, t)}
  • $\mathrm i$ は虚数単位
  • $\hbar$ はディラック定数
  • $\ket{\psi(\boldsymbol r, t)}$ は、座標 $\boldsymbol r$ における時刻 $t$ での状態ベクトル
  • $\hat H$ は系のハミルトニアン

虚数単位「i」があるっていうことは、波っぽいなにかを表している?
はい、波っぽい何かを表しています。

シュレディンガーの猫でおなじみ、よくわからないものとして有名な量子力学さんですね。よくわからなくても、量子力学コーチングとかにひっかからないでね。約束だよ。

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平均情報量

H=-\sum p(x)\log p(x)

情報理論の基礎ですね。
通信・計測・計算分野(データの圧縮・解凍、コーデック、通信量、推定理論...)で広く使用されています。

量子エントロピーとして拡張することが可能で、量子通信・量子計測・量子計算分野でも広く用いられています。物理と情報の交差点ですね。

ロジスティック写像

x_{t+1}=kx_t(1-x_t)

カオスみたいな挙動は一番扱いたくない(モノづくりでは)。

ブラック・ショールズ方程式

rC=\frac{\partial C}{\partial t}+rS_t\frac{\partial C}{\partial S_t}+\frac{1}{2}\sigma^2S_t^2\frac{\partial^2 C}{\partial S_t^2}
  • $C=c(t,S_t)$は、時刻$t$において株価が$S_t$の場合のコール価値の確率過程
  • $r$は、基礎収益率
  • $\sigma$は、ボラティリティ

むかしむかし、ショールズやマートンが設立した、金融工学の理論を実践する夢のようなヘッジファンド(LCTM)があったとさ。
でも彼らがノーベル賞を受賞した直後に、アジア通貨危機で破綻したんだとさ...

おわりに

本当はすべてに詳細な解説を入れるぞと気合入れていたのですが、頭が足らなかったのでコメントを入れる感じでお茶を濁そうと思います。

「この方程式が入っていない!」「こんなのあるんだぁ」などなど色々な意見があると思いますが、皆様の知的好奇心をくすぐることができたら幸いです。

それではいい日を!

この記事書くのに無駄に時間をかけまくった...合掌

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