80年代の高校生時代に使っていた昭和なラジカセのナショナルのRX-C50を修理してみました。ネットで検索して見るとカラーバリエーションもあったようで、結構売れた機種だったのかもしれません。一回り小さいC45や、一回り大きいC60という製品もあったようです。
故障箇所はSELECTORのスイッチが折れてしまっているのと、カセットのヘッドが上がったままで、ハブが回りっぱなしでイジェクトが効かない状態でした。
ネットで修理の情報がないか調べて見たのですが、めぼしいものは見つかりませんでした。
この機種は裏に長いビス5本と短いビスで裏蓋が留めてあります。これを外すと裏蓋がとれます。電池ボックスとの接続はワイヤーや半田付けではなく分解する事を考えた設計になっています。昔の製品は修理する事を考えて分解ができるようにしてありましたが、最近は使い捨てで修理などしないため接着してあったりして分解できないものが多いです。昔はメーカーの修理拠点も全国津々浦々にありましたが、今はほとんどなくなってしまいました。
長いビスは前面のパネルまで届いていて、前面のパネルも外せるようになります。
前面パネルのはずし方はまずカセットの部分を上にずらすと外れます。次にボリュームとトーンコントロールのスライダーを外して、前面パネルの上下中心に弱いはめ込みがあるので、それを外すと全部外れます。
前面のパネルを外すとレベルメーターの基板が出てくるので2つのビスで外せます。またチューナーのホイールはバリコンにネジ止めされているのでそれを外して、黒い枠をとめているネジを外すと外れます。
裏の基板に接続されているケーブルコネクタを全部外します。
これでカセットのメカが外せます。
これは表面のパネルを外した状態で、右側のホイールとカウンターがゴムベルトでつながっています。
カセットのヘッドが上がりっぱなしなのは、ゴムベルトが外れていたためでした。
初期のカセットはヘッドの上下が、ボタンの力をそのまま伝えていたのですが、この頃になるとメカでヘッドの上下をコントロールするようになりました。
裏の下の基板はかなり固いですが基板が引き抜けます。
前面のマイクのケーブルが引っ掛けてるのを外します。後は縦に入っている基板がネジ止め2箇所で外せます。
右側の真ん中に水平にある部品はスイッチのようで、本体にレバーがついていて、それを受けています。元に戻すときにちょっと面倒です。
バーアンテナもバリコンも結構よさそうな部品が使われています。
とりあえずSELECTORのスイッチのプラ部品を外して組み立てなおしました。何か変わりになりそうなレバーを探して見たいと思います。
ラジオには以下のICが使われています。
メーカー | 型番 | 概要 |
---|---|---|
Panasonic | AN7213 | FM Front-end Circuit for Radio |
Panasonic | AN7220 | AM Tuner, FM-AM IF Amplifier Circuit |
70年代のラジオはトランジスターで作られていましたが、80年代にはいるとICが使われるようになりました。ICといっても昨今のDSPラジオとは違い、アナログ回路がそのまま入ったものでした。
レベルメータはステレオのように見えますがモノです。また2ウエイのように見えますが、上部の開口部はバスレフのダクトで、フルレンジ1本のようです。音はいいので大目に見てください。平和な時代でしたね。
結構大きな音にしてもちゃんと鳴ります。高域もはっきりしてバランスも良いです。
久しぶりに使ってみると、スライダーの左右別のボリュームは不便です。当時スタジオのミキサーみたいでスライダーがかっこよく見えたのかもしれませんね。
ラジオの周波数もちょっと見にくいです。デザイン重視だったのかもしれないです。
ライン入力でたまに右側がちゃんと出ない事があります。どうもSELECTORの接触が悪いみたいで、何度かがちゃがちゃすると直ります。そのうち接点復活剤を入手してかけて見たいと思います。
この機種はライン入力をスピーカーで聞く事ができて、iPhone3G(Wolfson)をつないで聞いています。結構良い音でなっています。将来こんな使い方をしてるとは高校生の自分は考えてもいなかったでしょう。
iPhone3Gには自作のトーンジェネレータアプリが入れてあり、チェックに使ってみました。
位相差180でsin波を入れるとレベルメーターが消えます。
昔録音したカセットを聞いてみたところ回転速度が遅いようです。もうカセットを聞く事はないとおもうので、そのままにしておきます。