はじめに
少し前に、アジャイル開発の特徴を体験してもらうために、紙ひこうきワークショップを実施しました。
コロナ前はよく実施していましたが、コロナ禍だったということもありオフラインで集まることが少なくなっていたので、個人的にも久しぶりの実施になりました。
アジャイル開発について知らなかったり、知識としては知っているけど実践したことがない方にアジャイル開発の特徴を知ってもらうためには、座学よりもやはり体験として理解してもらうことが印象にも残り効果的ではないかと思っています。
ですので、これから周囲や社内にアジャイル開発を広げていくぞ!という方の参考になればと思い、実施の流れや、注意点、参加者のコメントなどを共有します!
そもそもアジャイル開発ってなに?
「計画→実装→テスト」といったプロセスを、1週間~1ヶ月の短い期間ごとに繰り返し、動くソフトウェアを作っていく開発手法で、以下のような特徴があります。
- 反復的なアプローチ
- 短い期間に区切り開発を繰り返すことで、早期に価値を提供し、フィードバックを得ることができます。
- 顧客との関与
- 動くソフトウェアをもとに、顧客やステークホルダーからの定期的なフィードバックやレビューを行い、要求変更や変化に対して素早く対応することができます。
- 自己組織化されたチーム
- チームは自身でタスクを管理し、作業の見積もりや進捗管理を行い、チームで協力してプロジェクトを推進します。
- シンプルで柔軟なプロセス、持続的な改善
- 必要最小限の文書化とルールにとどめ、チームの経験をもとに期間ごとにふりかえりを行いプロセスを改善していきます。
これらの特徴を体験として理解するためのワークショップとして有名な紙ひこうきワークショップについて実際に実施しましたので、流れを共有します。
紙ひこうきワークショップとは
概要
チームごとに、以下のルールを満たす紙ひこうきをたくさん作ろうというシンプルなワークショップです。
ルール
・A4用紙の1/4だけを使います。
・紙ヒコーキは先端が丸まっている必要があります。
・鋭い先端を切り取るのにはさみを使ってください。
・飛ばすのに成功した紙ヒコーキの数をカウントしてください。
・テストエリアでしか飛ばせません。
・3メートル飛ばさなければいけません。
・1機につき1回しか飛ばせません。
・各チームメンバーは1つの紙を連続して折ることはできません。一度折ったら他のメンバーに紙を渡してください。
・各スプリント終了時の仕掛品は破棄しなければなりません。
事前準備
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チーム分け
- 3~4名が適切。わいわい盛り上がりやすいように少人数がおすすめです。
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チームごとに利用するリソースの準備
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テストエリア
- 3mのテストエリアをチームごとに用意
進め方
実施前は、計画の時間が短いと思い少し延ばそうと思いましたが、変更しないのがおすすめです。理由は、事前にしっかりと計画しても思い通りの結果が出るわけではなく、やってみることで初めてわかる部分もあるという気づきにもつながるからです。
実施結果
今回は3チームに分けて実施しました。結果は以下のとおりです。
どのチームも回数を重ねるごとに、成功する紙ひこうきの数が増え、予測の精度が向上し、無駄になる数(3m飛ばなかった。または、仕掛品)も減るという結果になりました。
参加者のコメント
こちらが参加者のコメントです。
- 知識では知っているが、ワークショップを通して短く繰り返していくアジャイル開発のプロセスを体感することができた。
- はじめから正確に予測することはやっぱり難しいと感じた。まずは、考えすぎず実践してみることが見積もり、計画の精度を上げるのに役立つことがわかった。
- 普段実施しているアジャイル・スクラムの各プロセスをわかりやすく体感できてよい。実際にアジャイル・スクラムを実施している上で今回参加したが、学びが多かった。
- このワークショップは以前にも実施したことがあるが、完了しなかったタスクがこのワークショップでいう仕掛品のことであり、実際の開発と結びつけることができ、感覚的にもより深く理解できた。
さいごに
今回は紙ひこうきを飛ばすということが目的でしたが、実際の開発も同じように計画→実施→ふりかえりを短期間で繰り返していきます。そのサイクルを体験できると言う点ですごくわかりやすく、お題もとっつきやすく参加者もリラックスして楽しめるワークショップなので、個人的にもおすすめです。
また、紙ひこうきワークショップは、これからアジャイル開発について理解したい方向けというイメージを持っていましたが、すでに実践している方にも学びがあると言うところが一番の気づきでした。
広めのスペースが用意できる場合は、最近はみんなでリアルで会うことも増えてきたと思いますので、ぜひ実施してみてください!
参考
- アジャイルソフトウェア開発宣言
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紙ヒコーキワークショップをやりました
- 実施時の画像があり、わかりやすいです!