学会の研究会での発表ならば、PowerPointよりもWordでスライドを作りたくなることがあります。この場合、元になる論文/予稿があって、主張のテキスト表現はできているわけです。
そこで、研究会発表のスライドを想定してWordのいいところをあげてみます。
テキストが図を回り込んでくれる
Wordは図の「文字列の折り返し」で、テキストが図を回り込むように設定できます。こんなとき、PowerPointなら手作業で改行します。
やり方は、図を選んで「文字列の折り返し」を設定します。
図と文字列との間隔を「レイアウトの詳細設定」で調整できます。
総スライド数(ページ数)を数えてくれる
各スライドに番号(ページ番号)があると、Q&Aでランダムアクセスしやすいです。また、総スライド数が表示されていると、発表者本人だけでなく座長や聴いてる人たちも安心です。
用意されたフッターのパターンから選ぶ
「表示」-「ヘッダーとフッター」-「フッター」で表示されるドロップダウンから「セマフォ」を選びます。フッターの中央に「4 / 9」などと表示されます。
位置などをカスタマイズする
フッターの左に日付、中央に作者、右にスライド番号の3つをフッターに表示するとすると…。
- 「表示」-「ヘッダーとフッター」-「フッター」で表示されるドロップダウンから「空白(3か所)」を選びます
- フッターにカーソルを置いて、矢印キーなどで3か所目へ移動します
- 「挿入」-「フィールド…」で表示されるダイアログで「分類:」を「(すべてのフィールド)」にし「フィールドの名前」で「Page」を選びます。そのページのページ番号が挿入されます。
- 同様にして「NumPages」を選ぶと総ページ数が挿入されます。
- 区切りとして「 / 」を書き込んだりします。
参考文献を脚注や文末脚注として表示できる
参考文献を脚注で表示することがあります。該当箇所に脚注参照(footnote call)を挿入して、脚注本体をスライド下部に表示する(脚注)か、最後のスライドにまとめて表示(文末脚注)します。
- Wordでは、脚注や文末脚注の参照を挿入する場所にカーソルを置いて「挿入」-「脚注…」を選びます1。脚注や文末脚注は、後から相互に変換できます
- ちなみに、CSS (Cascading Style Sheets)でも脚注を実現できます2
アジェンダ(目次)とアウトライン番号
アジェンダ(目次)
発表の冒頭で「本発表のアジェンダです…」と、アウトラインを紹介することがありますね。
Wordでは目次を自動生成して挿入できます。スライドの構成を変更したら、「フィールドの更新」で目次を更新できます。
アウトライン番号
大きなまとまりの最初にも目次を表示して、そのまとまりの見出しを強調して、「これからココを話します」とやることがあります。今、どこの話をしてるのか、分かっててもらうのが重要なのです。
ここでアウトライン、章節に番号が振ってあると助けになります。PowerPointにはこのようなアウトライン番号の機能がありませんが、Wordにはあります。
スライドを作ってるときも、「表示」-「サイドバー」-「ナビゲーション」で、アウトラインを表示できます。
スライドとしての基本的なスタイル設定
いいところもあるのですが、スライド用の既定値が見当たらないので、次のようなお膳立てが必要です。
用紙サイズをA5横くらいに設定
A5横を基本に4:3や16:9になるように調整すると、見出しなど既定の文字サイズがほどよい大きさだと思います。「ファイル」-「ページ設定」で設定します
「見出し1」でスライドを区切る
「見出し1」をスライドの区切りにしておきます。「見出し1」のスタイルで、「段落」-「段落前で改ページする」に✓を入れます。
余白を小さく、ヘッダー/フッターの位置を調整
PowerPointのスライドに余白はないですよね。Word既定の余白設定はプレゼンとしては広すぎるので調整します。合わせてヘッダーやフッターの位置も移動します。
プレゼンはPDFで
「名前を付けて保存…」または「プリント…」からPDFで保存して、プレゼンはPDFでやります。「スライドショー」はありません。「アニメーション」はありません。「ノート」もありません…
行頭の記号の左側の空白を詰められます
テキストが短いので、行頭は揃ってる方が見やすいと思います。そこで、"「"文字の左側の空白を詰めます。
「フォーマット」-「スタイル…」から「標準」を選んで「変更…」をクリックし、「スタイルの変更」の「書式」から「段落…」-「体裁」タブで「行頭の記号を1/2の幅にする」をチェックします。
-
CSS Generated Content for Paged Media Module 2. Footnotes https://www.w3.org/TR/css-gcpm-3/#footnotes ↩