マーケティングの役割とエンジニアの役割の関係性
はじめに
IT業界のマーケティングを考えていく上で顧客以外に意識しなければいけない存在があります。それがエンジニアです。IT企業でのマーケターとエンジニアには共通点があります。その共通点を理解してお互いに協業していくことでより良いサービスや製品の実現につながります。まずはそれぞれの役割を理解した上で、目指すべき共通のゴールについて考えていきましょう。
IT業界におけるマーケターとエンジニアの役割
マーケティングの役割
IT業界におけるマーケティングの役割とは、「製品やサービスの価値を顧客に届ける」ことです。マーケティングの役割は宣伝やイベントを行うことだけではありません。顧客に製品やサービスの価値を理解してもらい、それを届け、実際に価値を感じてもらうところまでがマーケティングの役割です。
IT業界と一言で言っても、扱っている製品やサービスは様々です。しかし、どのような製品やサービスであったとしても、マーケティングはその製品やサービスの価値を顧客に届けることが役割であるという点に変わりはありません。
エンジニアの役割
IT業界におけるエンジニアの役割とは、単に「技術を使って製品やサービスを開発する」ことではありません。製品やサービスに顧客が求める価値を作り込むのがエンジニアの役割です。
本当に優秀なエンジニアは単に技術に詳しいだけでなく、顧客が求める価値をしっかりととらえ、どのように製品やサービスとして実装できるかを設計できます。
製品やサービスに価値を作り込んでいくのがエンジニアの役割で、顧客にその価値を伝え、価値を手に入れる動機付けをし、実際に価値を顧客に届けるのがマーケティングの役割です。方向は違うだけで、顧客と製品やサービスの間の価値のやり取りを行っているのが、マーケターとエンジニアです。
マーケターとエンジニアが一緒になって顧客に価値を届けるための関係性を作り上げていくことが重要になってくるでしょう。
マーケター、エンジニア間のコミュニケーション
皆さんは日常的にコミュニケーションをとって情報交換を十分にしていますでしょうか。
製品のコンセプトや機能をまとめられた資料からのみ情報を得ているケースあります。そのような状況では、エンジニアがどのような意図で製品やサービスの機能を作っているかを見落としてしまう可能性があります。
お互いに顧客への価値を届けるために、お互いの「意図」を理解する必要があります。
マーケターとエンジニアでは関心事に違いがあります。その違いを理解した上でお互いの理解に繋げていきましょう。
お互いの関心事の違い
一般的にマーケターの関心事は「売上」にあり、エンジニアの関心事は製品やサービスの「質」とそれを作るための「効率」にあります。表面的な視点からお互いの役割を見れば、お互い「関心のないことをやっている人たち」という認識を持ってしまうかもしれません。
しかし、この関心事について一歩踏み込んで考えれば、マーケターが考える「売上」は顧客に製品やサービスの価値を届けたことに対する対価であり、エンジニアの考える「質」は顧客が求める価値を製品やサービスとしてどれくらい実現できているかであり、「効率」は価値を提供するためのコストを抑える努力です。つまり、別のものを見ているようで、お互い顧客にとっての価値に関心を持っているのです。
そこに気づかず誤解してしまうと、お互い「興味ないことをしている人」という結果になってしまうのです。逆にいえば、お互いの役割を理解し興味を持つことができれば、マーケターとエンジニアの距離感は縮めることができます。
マーケターとエンジニアが「顧客が求める価値」という同じ関心事を持っていることを理解してもらえれば、相互理解も深まります。
参考文献
新村剛史(2022) . 『現場の事例で学ぶ!IT企業のためのBtoBマーケティング 技術・製品・サービスの魅力を確実に伝える方法』 . 翔泳社