はじめに
電子回路でパッと時定数の関係が出てこない場合に思い出す方法を紹介する。これらを暗記してないと、LTspiceなどで回路シミュレーションしているときに、検算がパッとできないので、だいぶ個人的な備忘録です。
インピーダンスから思い出す方法
インダクタとキャパシタのインピーダンスは、jωL, -j/ωC と書けることを覚えていると、周波数ωの次元は[1/s]であり、jは純虚数(無次元)、インピーダンスは抵抗Rの次元なので、
j\omega L = R \rightarrow \frac{L}{R} \propto \frac{1}{\omega} ~~ [{\rm s}]
\frac{j}{\omega C} = R \rightarrow RC \propto \frac{1}{\omega} ~~ [{\rm s}]
となるので、L/R, RC が秒[s]の次元を持つ。
次に、この2つを掛け合わせて、
\frac{L}{R} \times RC = LC ~ [{\rm s}^2] \rightarrow \sqrt{LC} ~~ [{\rm s}]
となるので、$\sqrt{LC}$ も秒[s]の次元を持つことになる。
まとめると、
\frac{L}{R},~~~RC,~~~\sqrt{LC}
の3つは時間の次元をもつ。この3つの中だと、Rだけが分母と分子にそれぞれ登場している。つまり、LとCは、大きくなると時間も長くなる。Rは、Cとカップルすると時間と正の相関をするが、Lとカップルすると負の相関になる。
(注) RCを2乗して、L/Rで割るとか、次元だけであれば3つ以外の作り方もできるので、あくまで上の3つの場合に限った話ではある)。
ちゃんと次元解析する方法
ワットの単位は、単位時間あたりの仕事量で、電流と電圧をかけたら電力になるから、、とちゃんと計算すればもちろん時間の次元になる量をだすことができる。
など参照されたい。
共振回路の例
おまけとして、共振回路のQ値の例も考えてみる。
直列共振回路のQ値は、
Q = \frac{\omega_0 L}{R} = \frac{1}{\omega_0 CR} = \frac{1}{R} \sqrt{\frac{L}{C}}
であり、並列共振回路のQ値は、
Q = \omega_0 CR = \frac{R}{\omega_0 L} = R \sqrt{\frac{C}{L}}
である。詳細は、Q値と周波数特性を学ぶ を参照ください。
ここでは、L/R と RC が同じ次元であることから、割り算すれば無次元になることを用いて、sqrt{L/C}が抵抗の次元であることを確認しよう。
\frac{\frac{L}{R}}{RC} = \frac{\frac{L}{C}}{R^2} [{\rm no~dimension}] \rightarrow \sqrt{\frac{L}{C}} ~~ [{\rm \Omega}]