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13章 DALL-E 2の内部モデルの解説

Last updated at Posted at 2025-01-08

13章 DALL-E 2の内部モデルの解説

目標

  • テキストから画像を生成するOpenAIの大規模言語モデル「DALL-E 2」の内部構造を調べる
  • マルチモーダル学習の仕組みを理解する

13.1 マルチモーダル学習とは?

マルチモーダル学習とは、異なる種類のデータ(例:テキストと画像)の間で変換を行う生成モデルを訓練する手法です。

テキストからの画像生成

テキストプロンプトから画像を生成するタスクでは、与えられた文章を高品質な画像へ変換することが目的です。モデルは以下の課題に取り組む必要があります:

  • テキストと画像の橋渡し
    2つの領域間の共有表現を学習し、情報の欠落なく変換を行う。
  • 新しい概念とスタイルの理解
    見たことのない概念やスタイルを適切に結びつける。
  • 文脈の理解
    単語が文脈で持つ意味を学び、それを画像に正確に反映する。

13.2 DALL-E 2の内部構造

DALL-Eは、2021年2月にリリースされ、進化版のDALL-E 2は2022年4月に登場しました。以下では、そのアーキテクチャを解説します。

13.2.1 アーキテクチャの概要

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DALL-E 2の処理フローは以下の通りです:

  1. テキストエンコーダ
    テキストプロンプトを埋め込みベクトルに変換します
  2. ブライア(Prior)
    テキスト埋め込みを画像埋め込みに変換します
  3. デコーダ
    画像埋め込みを条件として画像を生成します

13.2.2 テキストエンコーダ

目的: テキストプロンプトを潜在空間の埋め込みベクトルに変換する。
これにより、ベクトルを基にさらなる操作が可能になります。

DALL-E 2では、CLIP(Contrastive Language-Image Pre-training)というモデルを使用しています。

CLIPの特徴:

  • テキスト埋め込みを、対応する画像埋め込みにできるだけ近づけるように訓練
  • テキストが持つ豊富な概念を理解可能

13.2.3 ブライア(Prior)

目的: テキスト埋め込みを、対応する画像埋め込みに変換する。

ブライアの実装には2つのアプローチが試されました:

  1. 自己回帰モデル

    • CLIPの埋め込みペアを逐次的に変換
    • 欠点:計算効率が悪い
  2. 拡散モデル(採用)

    • ノイズ除去過程を利用して、効率的に画像埋め込みを生成

拡散ブライアの仕組み

  1. 訓練プロセス

    • CLIPで生成したテキストと画像の埋め込みを結合
    • 画像埋め込みにランダムノイズを付加
    • 拡散モデルがノイズを取り除き、元の画像埋め込みを予測
  2. 生成プロセス

    • ランダムノイズを徐々に除去して画像埋め込みを生成。

13.2.4 デコーダ

目的: ブライアが出力した画像埋め込みを基に、最終的な画像を生成します。

DALL-E 2のデコーダ部分では、GLIDEという技術が活用されています。

GLIDEの特徴:

  • テキストプロンプトを基に、写実的な画像を生成可能
  • CLIPを使用せず、生のテキストプロンプトから学習

13.2.5 DALL-E 2のユースケース

  1. 画像のバリエーション生成
    ランダムノイズを変えることで、多様な画像バリエーションが得られる

  2. ブライアの重要性

    • ブライアがないと、情報が欠落した画像しか生成されない
    • ブライアを使うことで、正確で詳細な画像が得られる

13.2.6 制限

  • モデルが訓練されたデータ範囲外の概念やスタイルを扱う場合、生成精度が低下する可能性があります

まとめ

DALL-E 2は、テキストから画像を生成する際に以下の手法を駆使しています:

  1. 訓練済みのCLIPモデルを使用し、テキスト埋め込みを生成
  2. 拡散モデル(ブライア)を使い、画像埋め込みに変換
  3. GLIDEスタイルのデコーダを用いて、最終的な画像を生成

DALL-E 2は、テキストからの画像生成だけでなく、画像バリエーション生成やその他の応用にも対応可能です。


参考文献

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