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Oracle Linux KVMの仮想サーバー環境でハード・パーティショニングが認められている件

Last updated at Posted at 2020-02-20

TL;DR

  • ハード・パーティショニングが可能なx86系 仮想サーバー環境として、Oracle Linux KVMが追加された(2019年10月)
  • Xenベース+独自管理ツールのOracle VM Server for x86とは異なり、KVMはVMware vSphereに次ぐデファクトなので導入ハードルは低い
  • oVirtをベースにした仮想環境管理ツールOracle Linux Virtualization Managerも2019年6月にリリースされた

仮想環境におけるOracleライセンス問題

みなさんも、ご存じのように仮想サーバー環境でOracle製品を利用するときは悩ましいライセンス問題がつきまとう。

Oracle製品を仮想サーバー環境で使用するときは、ゲストOSに割り当てたコア数とは関係なく、サーバーの全プロセッサがカウント対象になる。

ライセンスの詳細は、日本オラクル社もしくは代理店に問い合わせてほしい。

いまどきのIntel Xeon/AMD EPYCプロセッサは、最低でも8物理コア程度は搭載している。課金単位がプロセッサのStandard Editionならば問題ないが、コア数単位のEnterprise Editionでは深刻な問題だ。

さらにクラスタ構成の仮想サーバー環境では、クラスタを構成する全物理サーバーのコア数が対象になる。また近年の仮想サーバーソフトウェアはクラスター越しにライブマイグレーションできるので、その場合にはライブマイグレーション可能なすべての物理サーバーが対象になる。

そのためネットワークを分離し、ライブマイグレーションの範囲を狭めることで、ライセンスの最適化を計るなどの涙ぐましい努力が必要だ。

オンプレミスにおける解決策

オンプレミスにおける解決策としては以下の選択肢がある。クラウドも解決策の一つだが、話が広がるので言及しない。

  1. Oracle ExadataやOracle Database Applianceでキャパシティ・オン・デマンド(CoD)を利用する
  2. Oracle VM Server for x86などのハード・パーティショニングが認められる仮想サーバーソフトを使用する
  3. できるだけコア数の少ない物理サーバーを使用する(仮想化不使用)

この中では1がベストプラクティスだと思うが、それぞれの事情で選択できないこともある。また2は製品がマイナーで選択肢としてリスクがともなう。

Oracle Linux KVMのハード・パーティショニング対応

このような状況下でOracle Linux KVMがハード・パーティショニング・テクノロジーとして認められた。このパーティショニングは、DBのパーティショニングではなく、サーバーのCPU分割機能のことを指している。

KVMはLinux仮想化のデファクトだ。また仮想環境管理ツールのOracle Linux Virtualization Managerは、OSSのoVirtベースで将来性がある(oVirtはKVM版vCenterと考えるとわかりやすい)。Oracle VM Serverよりは、心理的な導入ハードルは低いだろう。詳しくは以下のドキュメントを読んでほしい。

なお、ハード・パーティショニングを有効にするにはOracle Linux Virtualization Managerとolvm-vmcontrolによる設定が必要だ。コアを固定するのでライブマイグレーションはできないが、その代わりライセンスの最適化が図れる。olvm-vmcontrolは「Unbreakable Linux Network」もしくはoVirtリポジトリから入手できる。またサポートが必要なときは「Oracle Linux Premier Support」が対応している。

Oracle Linux KVM補足
Oracle Linux KVMとは、Oracle LinuxにKVM系のパッケージをセットアップしたものを指し、個別の製品では無い。

Oracle Cloud InfrastructureにおけるKVM

KVMを利用するケースはオンプレミスの方が多いだろう。しかしOracle Cloud Infrastructureでも利用できる。おもなユースケースとして以下のことが考えられる。

  • オンプレミスの仮想サーバで稼働するゲストVMの移行先として
  • 仮想マシンイメージ提供のアプライアンス製品を利用するため
  • 開発環境などCPU使用率が低いサーバの集約率を上げるため。Computeでは最低1-OCPU(2CPUスレッド)がミニマムなのでVMではコスト高になる
  • Oracle製品をCompute(BM)でBYOLで使用し、ハード・パーティショニングでコア数を制限したいとき

Oracle Linux KVMの使用方法
Oracle Cloud InfrastructureでKVMを使用するときは以下の方法がある。

  • Oracle Linuxイメージでインスタンスを作成し、その後にKVMに必要なパッケージをインストールする。つまりオンプレミスと同じ方法
  • OCI Provided ImangeもしくはMarketplaceのOracle Linux KVM Imageを使用する

Oracle Linux KVM Imageでは、oci-kvmなどの独自ユーティリティや必要なパッケージやデフォルトインストールされている。ただしoci-kvmは、非Oracle Linux Virtualization Manager環境用のツールだ。

OCI環境におけるKVMは、通常より制限事項があって深いので詳しくは以下のページを参考のこと。

おわりに

Oracle Linux Blogでは「Top 5 Reasons to Build your Virtualization with Oracle Linux KVM」として次の理由を挙げている。100%の同意はできないが、最後の2つは際立つ特徴と言えるだろう。

  • Accelerated deployment with ready to go VMs with Oracle software
  • Increased performance and security
  • Simplified, easy management of the full stack
  • Improved licensing costs through hard partitioning
  • Lower licensing and support costs while increasing benefits
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