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クラウドでVNCサーバ&クライアントを構成する Part 2

Last updated at Posted at 2019-06-27

前回の続き

前回から続いた内容なので、7から始まる連続した段落番号をつけている。

7. ポートフォワーディングを設定する

前回「クラウドでVNCサーバ&クライアントを構成する Part 1」は、Linuxサーバ側の設定を行った。ここからはWindowsクライアント側の設定を行う。

以下の接続形態の中で、1と2ではポートフォワーディングが必要になる。また3のときでも、通信を暗号化したいときや、途中に踏み台があるときはポートフォワーディングが必要だ。

  1. インターネット経由(踏み台なし)
  2. インターネット経由(踏み台あり)
  3. 専用線/インターネットVPN

7-1. ポートフォワーディングとは

SSHポートフォワーディングは、SSHトンネリングとも呼ばれ、特定のポートに届いたパケットを別ホストの別ポートに転送する機能である。

たとえばHTTP(80)やSQL*Net(1521)は、それぞれ決められたポートを使用する。SSHポートフォワーディングを使用すると、通常使用するポートではなく、SSH(22)の経路を利用して疎通できる。

そのためSSHしか疎通できないネットワークでも、追加でポートを開けることなしに、さまざまなアプリケーションを利用できる。

おもなメリットは以下のとおり。

  • 必要最低限のポートを開ければよい
  • 暗号化通信に対応していないソフトウェアのパケットも、SSHの機能で暗号化できる
  • パスワードログインを前提としているソフトウェアも、SSH公開鍵認証方式を利用できる
  • SSHログインしているホストよりも、さらに先のホストにも転送できる。そのため踏み台サーバが前提の環境にも対応できる

7-2. ポートフォワーディングの仕組みを理解する

ポートフォワーディングには、さまざまな方式がある。今回はローカルポートフォワーディングについて、2つの例を説明する。

ポートフォワーディング例1(ログインホストと転送先ホストが同じ場合)
一番基本的なポートフォワーディングの利用例である。
portfowarding01.png
リモートホスト上で稼働するWebサーバに接続するときは、上図のようにポートフォワーディングを設定する。

ローカルホスト上のWebブラウザのURIにhttp://localhost:80と入力する。httpリクエストはsshの22番ポートを経由してリモートホストの80番ポートに転送され、Webページを表示できる。

OpenSSHのシンタックスは以下のとおり。PuTTYやTera Termでは少し指定方法は違うが、重要なので理解しておくこと。

ssh -L [ローカルホストの待ち受けIP:]転送元ポート:転送先ホスト:転送先ポート ログインホスト

# 基本。ローカルホストの待ち受けIPは省略可能。
ssh -L 80:hostb:80 hostb

# 「転送先ホスト」は、ログインホストからの相対的な位置になる。
# この例のようにlocalhostと書いても、hostbと同じ意味になる。
ssh -L 80:localhost:80 hostb

# 転送先ポートは、転送先ホストで稼働するソフトウェアに一致させる
# 必要がある。しかしローカルホストの転送元ポートは、利用していない
# ポートならば何でもよい。
ssh -L 8080:hostb:80 hostb

ポートフォワーディング例2(ログインホストと転送先ホストが異なる場合)
応用編としては以下の構成も可能である。ログインホストと転送先ホストが異なる例だ。
portfowarding02-2.png
この方式で直接ログインするのは、中間にあるログインホスト(Host B)なので、踏み台サーバのある環境に似ている。

たとえば転送先ホスト(Host C)でOracle Databaseが稼働しているとする。このとき、ローカルホスト上で稼働するOracle SQL Developerから、ログインホスト(Host B)を経由して、Oracle Databaseに接続できる。

ssh -L 1521:hostc:1521 hostb

この接続形態で重要なことが2つある。

  • 暗号化されるのは、ローカルホストとログインホストの間だけ
  • ログインホストと転送先ホストの間は、転送先ポート(通常22番以外)で通信し、暗号化されない

このような特性があるため、転送先ホスト(Host C)では、22番だけでなく「転送先ポート」も開ける必要がある。暗号化されないことについては、クラウドの中でクローズドネットワークだから問題ないだろう。

どうしても暗号化するならば、多段SSHしたうえでポートフォワーディングとなるが、本題ではないので触れない。

ここまで理解できれば、あとは設定するだけだ。次に利用環境に応じたポートフォワーディングの設定方法を説明する。

7-3. ポートフォワーディングを設定する

ポートフォワーディングの設定は、PuTTYとTera Termのそれぞれについて説明する。ただし踏み台サーバまでSSH鍵認証で接続できていることを前提にする。

7-3-1. PuTTYでポートフォワーディングを設定する

  1. PuTTYを起動し、ログイン先ホストに接続する設定をロードする。
    putty-vnc01.png

  2. 左のツリーから[Connection]-[Data]を選択し、[When username is not specified]が[Prompt]になっていることを確認する。そして[Auto-login username]に前回設定したVNCのユーザーを設定する。
    putty-vnc02.png

  3. 左のツリーから[SSH]-[Tunnels]を選択する。[Source port]と[Destination]に、次の書式で入力する。
    Source port:「転送元ポート」
    Destination:「転送先ホストのIPアドレス:転送先ポート」
    入力が終わったら[Add]をクリックして、テキストボックスに
    L転送元ポート 転送先ホストのIPアドレス:転送先ポート
    が追加されていることを確認する。
    putty-vnc03-2.png
    ヒント:ログインホストと転送先ホストが同じときは、転送先ホストはIPアドレスでなく、localhostでもよい。また以下のように複数設定できる
    putty-vnc03-3.PNG

  4. 左のツリーで[SSH]を選択する。この作業は必須ではないが [Don’t start a shell or command at all]にチェックを付ける。チェックすると、ログインしたセッションではコマンドが実行できなくなり、ポートフォワーディング用に実行していることを明確に区別できる。
    putty-vnc04.png

  5. 左のツリーで一番上の[Session]を選択する。この接続を区別する名前をつけて[Save]をクリックして保存する。
    putty-vnc05.png

  6. ウインドウ下の[Open]をクリックして接続を開始する。
    putty-vnc06.PNG

  7. 接続に成功すると以下のように表示される。[Don’t start a shell or command at all]にチェックを付けているときは、プロンプトは表示されず、コマンドも実行できない。
    SnapCrab_129146215211 - PuTTY_2019-6-27_19-50-34_No-00.png

  8. ポートフォワーディングが動作していることは、Windowsのnetstatコマンドで確認できる。コマンド・プロンプトから以下のように実行する。この例では、ローカルホストの5901ポートでTCP(IPv4とIPv6)を待ち受けしていることがわかる。

C:\Users\foo> netstat -ant| findstr  5901
  TCP    127.0.0.1:5901        0.0.0.0:0              LISTENING       ホスト内
  TCP    [::1]:5901            [::]:0                 LISTENING       ホスト内

注意:これでわかるのは転送元ポートがリスニングされていることだけだ。希望する先頭先ホストに転送されることまではわからない。またIPv4の同じポートをリスニングしているしている行が複数あるときは、誤動作の原因になるのでPuTTYを停止する。

9.次は「7. VNCサーバに接続する」に進む。ウィンドウをクローズすると、ポートフォワーディングも終了してしまう。このまま続けるときはクローズしないこと。

7-3-2. Tera Termでポートフォワーディングを設定する

  1. Tera Termを起動する。[新しい接続]が表示されるので[キャンセル]をクリックしてダイアログを閉じる。
    teraterm-vnc01.png

  2. [設定]メニューから[SSH転送]を選択する。

  3. [SSHポート転送]ウィンドウが表示されたら[追加]をクリックする。
    teraterm-vnc03.png

  4. 次の3箇所に入力して、[OK]をクリックする。
    ローカルポート :「転送元ポート」
    リモート側ホスト:「転送先ホストのIPアドレス」
    ポート     :「転送先ポート」
    teraterm-vnc04.png

  5. 登録が終わると、リストに表示される。PuTTYと同様に複数設定できる。
    teraterm-vnc05.png

  6. 次回起動したときも登録した設定が使えるように、[設定]メニューから[設定の保存]を選択する。

  7. 標準の設定ファイルに保存して問題ないときは[保存]をクリックする。
    teraterm-vnc07-1.PNG

  8. ポートフォワーディングの設定が終わったので、[設定]メニューから[SSH認証]を選択する。必要な項目を設定してログインする。
    teraterm-vnc08.png

  9. ポートフォワーディングの確認方法はPuTTYを参考にすること。

8. VNCクライアントでVNCサーバに接続する

これでの設定がすべて終わった。VNCクライアントを起動して、VNCサーバに接続する。

8-1. VNCクライアントをダウンロードする

VNCクライアントが無いときは、先にダウンロードする。VNCクライアントにはインストーラーが必要なものもあるが、配置するだけで利用できるTigerVNCを使用する。

  1. githubのTigerVNCのページを表示する。
    https://github.com/TigerVNC/tigervnc/releases

  2. ページ下のhttps://binary.com/tigervnc/stable/...をクリックする。
    tigervnc01.PNG

  3. 自分の環境に応じたバージョンをダウンロードする。ダウンロードしたファイルは適切なフォルダに配置すること。
    tigervnc02.PNG

8-2.VNCクライアントで接続する

  1. VNCクライアントを起動する。
    tigervncclinet01.PNG

  2. 初期画面が表示されるので、接続方法に応じて以下のように入力する。たとえばポートフォワードでディスプレイ番号1に接続するときはlocalhost:5901と入力して、[Connect]をクリックする。
    ポートフォワード使用:localhost:<ポートフォワードのポート番号>
    直接接続VNCサーバのIPアドレス:<VNCサーバのポート番号>
    vnc01.png

  3. 接続に成功するとVNCパスワードの入力画面が表示される。vncpasswdで設定したパスワードを入力する。
    vnc02.png

  4. このあとのステップは6系と7系では異なるので、別々に説明する。

8-3. デスクトップ環境を設定する(7系Linux OS)

はじめてログインしたユーザーは初期設定が表示される。以下の手順に従って設定すること。1度設定すれば、2回目以降は表示されない。

  1. 日本語をチェックして、右上の[次へ]をクリックする。
    vnc03.png

  2. 日本語(かな漢字)をチェックして、右上の[次へ]をクリックする。
    vnc04.png

  3. プライバシーのオン/オフを選択して、右上の[次へ]をクリックする。
    vnc05.png

  4. オンラインアカウントとの連携が必要なときは設定する。サーバ利用では通常不要なので、そのまま右上の[次へ]をクリックする。
    vnc06.png

  5. 初期設定が終わったので[Oracle Linux Serverを使い始める]をクリックする。OSユーザーが同じであれば、次回以降は表示されない。
    vnc07.png

  6. Getting Stared画面が表示される。右上の[X]をクリックして閉じる。
    vnc09.png

8-3-1. スクリーンロックを無効化する(7系Linux OS)

VNCサーバを起動したままにしておくとスクリーンロックがかかり、OSユーザーのパスワードが要求される。OSユーザーにはパスワード設定されていないので、この状況を回避するには以下の2つの対策がある。

  • スクリーンロックを無効化する
  • OSユーザーにパスワードを設定する

sshd_configを確認すると、SSHのパスワード認証は無効化されている。そのためOSユーザーにパスワードを設定しても、外部からパスワード認証でSSH接続される危険性はない。

grep ^PasswordAuthentication /etc/ssh/sshd_config
---以下画面出力---
PasswordAuthentication no

今回は「スクリーンロックを無効化する」方法を説明する。パスワードを設定する方法は「意外に複雑なパスワード生成事情とLinuxにおけるパスワード生成方法」参考にしてほしい。

  1. メニューバーから[Applications]-[System Tools]-[Settings]を選択する。
    vnc11.png

  2. 左のリストから[Privacy]を選択し、[Screen Lock]をクリックする。
    vnc12.png

  3. ダイアログが表示されるので、Automatic Screen LockをOFFに設定する。
    vnc13.PNG

  4. ウインドウを閉じると[Screen Lock]がoffになっている。
    vnc14.png

もし設定に時間がかかり、スクリーンロックされたときはVNCサーバを再起動すること。

systemctl restart vncserver-opc@:<display-number>.service

8-4. デスクトップ環境を設定する(6系Linux OS)

6系Linux OSでは、7系のような初期設定画面はない。ただし、スクリーンロックの問題はあるので無効化する。またデスクトップ環境固有のパッケージアップデートチェックが有効になっているので無効化する。

8-4-1. スクリーンロックを無効化する(6系Linux OS)

  1. ロックされていないデスクトップ画面。
    vnc60.png

  2. 以下の画面が表示されているときはスクリーンロックされている。そのときはservice vncserver restartでVNCサーバを再起動する。
    vnc61.png

  3. yum install gconf-editor -yでGNOME設定エディタをインストールする。

  4. メニューバーから[Applications]-[System Tools]-[Configuration Editor]を選択する。
    vnc62.PNG

  5. 左のツリーから[apps]-[panel]-[global]を選択する。disable_log_outdisable_lock_screenの2つにチェックを入れる。
    vnc63.PNG

ヒント:設定ファイルでスクリーンロックを無効化する
GUIツールで設定する方法を紹介したが、設定ファイルを使用する方法もある。エディタで以下のファイルを開き、disable_log_outdisable_lock_screenを探して以下のように変更する。変更が終わったらVNCサーバを再起動する。

vi /etc/gconf/schemas/panel-global.schemas
237行目付近をfalseからtrueに変更する
        <key>/schemas/apps/panel/global/disable_lock_screen</key>
        <applyto>/apps/panel/global/disable_lock_screen</applyto>
        <owner>panel</owner>
        <type>bool</type>
        <default>true</default>★この行
250行目付近をfalseからtrueに変更する
        <key>/schemas/apps/panel/global/disable_log_out</key>
        <applyto>/apps/panel/global/disable_log_out</applyto>
        <owner>panel</owner>
        <type>bool</type>
        <default>true</default>★この行

8-4-2. パッケージアップデートチェックを無効化する(6系Linux OS)

  1. yumの自動アップデートチェックが有効になっていると、手動のyumの妨げになるので無効化する。[System]-[Preferences]-[Software Updates]をクリックする。
    vnc64.png

  2. [Never]を選択して[Close]をクリックする。
    vnc65.PNG

8-5. VNCデスクトップ環境で英語キーボード配列になっているとき

ssh接続のときはデフォルトで日本語キーボードを利用できる。しかしVNCやVcXsrvなどのGUIクライアントでは英語配列になっていることがある。そのときの変更を紹介する。

8-5-1. RHEL7系の場合

  1. 現在の設定は以下のコマンドで確認できる。
# localectl
   System Locale: LANG=en_US.utf8
       VC Keymap: us
      X11 Layout: us

2.日本語キーボードに変更するときは次のように入力する。

localectl set-keymap jp106

3.変更後の状態を確認すると次のとおり。

# localectl
   System Locale: LANG=en_US.UTF-8
       VC Keymap: jp106
      X11 Layout: jp
       X11 Model: jp106
     X11 Options: terminate:ctrl_alt_bksp

なお、すでにVNCサーバーを起動しているときにはsystemctl restartで再起動が必要だ。

8-5-2. RHEL6系の場合

6系の場合は以下のようにファイルを変更する。

/etc/sysconfig/keyboard(修正前)
KEYTABLE="us"
MODEL="pc105+inet"
LAYOUT="us"
KEYBOARDTYPE="pc"
/etc/sysconfig/keyboard(修正後)
KEYTABLE="jp106"
MODEL="jp106"
LAYOUT="jp"
KEYBOARDTYPE="pc"

9. まとめ

  • VNCを使うと、WindowsクライアントでLinuxのフルデスクトップ環境を利用できる
  • VNCクライアント(TigerVNC)はファイルを配置するだけで使えるので、管理者権限を持っていないWindowsクライアントでも利用できる
  • ポートフォワーディングを併用すると、VNCの通信を暗号化できるだけでなく、クラウドのようなネットワークにも対応できる

9. コピペ用コマンドまとめ(7系Linux OS)

7系Linux OSでのVNCサーバの設定をまとめる。OCI以外では、opcをec2-userやazureuserなどに変更すること。

# デスクトップ環境をインストール
yum groupinstall graphical-server-environment -y

# VNCサーバをインストール
yum install tigervnc-server mesa-libEGL -y

# ユニットファイルをコピー。ファイル名やOSユーザー名は適宜変更すること
cp /usr/lib/systemd/system/vncserver@.service /etc/systemd/system/vncserver-opc@.service

# ユニットファイルを修正
sed -i -e '32,50 s/<USER>/opc/' /etc/systemd/system/vncserver-opc@.service

su - opc
vncpasswd

★ここまでが1回目のコピペ用★

# VNCサービス起動
systemctl start vncserver-opc@:1.service

# 環境に応じてファイアウォール設定
# ログインホストと転送先ホストが異なるときや、直接接続のときはポートを開ける
firewall-cmd --add-service=vnc-server --permanent --zone=public
firewall-cmd --reload

# ファイアウォールの設定確認
firewall-cmd --list-all
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