Power Apps、Power Automate の従量課金制プラン(Pay-as-you-go plan)、2023年12月時点の設定メモです。
この記事は、
Power Apps Advent Calendar 2023
と、
Power Automate Advent Calendar 2023
にダブルで参加しています。
※記事投稿時点で Automate パート2 もカレンダーが空いていたのでダブルでエントリー!
従量課金制プランとは
公式の概要、冒頭に記載があります。
従量制課金制は、ライセンス契約や事前購入なしでアプリを構築して共有できる、Azure サブスクリプションを使用した Power Apps と Power Automate の新しい支払い方法です。
・日本語(ja-jp)
・英語(en-us)
詳細な説明や価格は公式ページをご確認いただくとして。間違いを恐れずにヒトコトで表現すると「Power Apps for 365、Power Automate for 365 以外に有償ライセンスを購入・適用していなくても Azure サブスクリプションから月額で利用ユーザー毎の料金を支払うことで有償ライセンス相当の利用を可能にする支払方法」です。
英語では「Pay-as-you-go plan」と表記され、頭文字をとって「PAYG」と略して表記される場面があります。略称もあわせて覚えておくのが良いと思います。
参考までに 2021年11月時点の設定方法など歴史を学びたい方は Hiro さんがまとめてくれていますのでソチラをどうぞ。毎度感謝やで Hiro さん!
PAYG の何が嬉しいのか?
Hiro さんの記事にもありますが、例えば「年に数回程度しかアプリ(またはフロー)を利用しないユーザーが居る」とします。四半期毎に何かの業務を補助する仕組みを回す、みたいなイメージです。そのユーザーは常時アプリやフローでプレミアムコネクターや Dataverse を利用しない前提です。年に数回程度利用する仕組みはプレミアムコネクターや Dataverse が必要で、有償ライセンスが必須である、とします。
このような場合、該当ユーザーへ常に有償ライセンスを付与しておくのはモッタイナイですよね。
そこで従量課金制プラン(PAYG)の出番です。以降(個人的に読みやすいかな?と思うので) PAYG と表記していきます。
PAYG であれば「該当ユーザーがアプリなどを利用した月のみ課金が発生する」という状態となるため、常時 有償ライセンスを付与しておく必要がありません。また、管理者が「該当ユーザーが操作する度にライセンス付与をする」といった手間も運用を考える場面も省けます。しかも、Azure サブスクリプションで課金されるのでライセンス追加の手配なども不要。管理者にも利用者にも嬉しい仕組みです。
ここらへん含めた情報は、黄色のひよこサン こと 吉田 さんの記事が詳しいのであわせてご確認ください。
PAYG を設定してみる 2023年版
記事作成時点(2023年12月)時点の PAYG 設定です。
前提条件
Power Platform 管理センターを操作する際の Microsoft Entra-ID (旧称 Azure Active Directory・略称 ME-ID)と、PAYG で支払処理をしたい Azure サブスクリプションの Microsoft Entra-ID が同じである必要があります。(Microsoft Entra-ID は 以降、ME-ID を表記します。)
Microsoft 365 へサインインした状態で、Azure(portal.azure.com)へアクセスした際に「同一の ME-ID 情報が閲覧できる状態」であることが前提となります。ピンとこない方はライセンスリセラーかサポート、あるいは”その道のプロ”へお問い合わせください。
PAYG 設定手順のメモ
今回の例では”既定の環境”以外の Power Platform 環境がない状態で続けます。
1.Azure リソースグループの準備
PAYG 設定をするリソースグループを作成してください。作成手順は公式サイトをご確認されたしです。
2.請求ポリシーの作成
Power Platform 管理センター(admin.powerplatform.microsoft.com)で「請求ポリシー」を作成します。
請求ポリシーの[名前]はわかりやすいモノにしておきましょう。
「Azure に請求する」の[リソースグループ]で手順 1.で準備したリソースグループを指定します。
※このタイミングで、前述の「同一 ME-ID 状態になっている Azure サブスクリプション」になってない場合、選択肢に表示されません。つまり、NGパターンになっていると PAYG 設定できない、ということです。
「環境の追加」で既存の環境を指定できます。今回の例では”規定の環境”しか無いので後続で環境を追加するため、何もせず「次へ」をクリックしています。
「レビュー」で設定した内容を確認できます。[請求ポリシーの作成]をクリックすると作成されます。
3.Power Platform 環境の作成 PAYG をそえて
Power Platform 管理センターの「環境」から新規で実稼働環境を作成してみます。環境作成の際に[請求ポリシー]で先ほど準備したポリシーを選択します。
請求ポリシーの有無ぐらいで、ほかはサンドボックス等の環境作成と手順は変わりありません。これで、PAYG が有効な環境が作成できました。
この記事の冒頭あたりで紹介した Hiro さんの記事から比較すると、管理センターでほぼ完結するようになっているのが把握できます。Power Platform の管理面が進化してきたなぁ、とあらためて実感しますね。
結び
Microsoft 365 に、Power Apps や Power Automate の Premium ライセンスを必要ユーザー数ぶん手配してあれやこれや、etc、etc… そんな管理者の手間が発生している場面は比較的多く見聞きします。ライセンスが無償であれば悩む必要はないかもしれませんが、実際はランニングコストとなります。なので、必要な量で、必要な範囲のお支払いにしたい気持ち理解できます。
利用者の特性、利用シーン(タイミングや回数)、作成・利用するアプリやフローの特性などで最適解となるライセンスの組み合わせが取れると良いですよね。
従量課金制プラン = Pay-as-you-go plan = PAYG も 1つ の選択肢として覚えておくと幸せになる可能性があります。
仮に、組織内で結論が出せない等の場合はプロにご相談いただくのもアリです。記事内でも案内した「同一の ME-ID でないと設定できない」等は Microsoft さんのサポートに相談しないといけない場面も発生する可能性がありますし、知識がないとナカナカたいへんかもしれません。当方もそんなお仕事してきてますので、ご相談いただければご用件にあわせて一緒に最適解を検討できます。ご用命の際は何らかの手段でご連絡賜れれば幸いです。
管理者も利用者も、そのタイミングでベストな選択肢をチョイスして幸せになりますように。
利用する仕組みと、利用シーンにあわせた最適解でいきましょう!
それでは、皆さま。素晴らしい Power Platform Life を!