Power BI Premium キャパシティーライセンスについて、公式ドキュメントを確認しても自分がイマイチ読み解けなかったポイントをメモしておくネタです。当方と同様のお悩みに遭遇した方が一人でも救われますように。
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar 2023 に参加しています。
謝辞
Power BI Weekly News のアフタートーク部屋などで当方の悩みポイントに対する質問に答えて下さった 優吾さん 、石川さん、加賀田さん 誠にありがとうございます。
優吾さん&石川さんが毎週開催している Power BI Weekly News はこちら!
前提条件
この記事は 2023年12月時点の情報をもとに記載しております。一部、当方の想定・理解が含まれる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。
また、歴史の断片として記録している意図もあります。今後の仕様変更や VerUp へ対応するものではありません。予めご了承ください。
Power BI Premium の種類
Power BI Premium には「キャパシティーライセンス」と「Power BI Premium Per User (PPU)」の 2種に加えて Web サービスなどにレポートを埋め込むための Azure サブスクリプションを連携させて提供する Power BI Embedded があります。
・Power BI Premium の機能
・Power BI Premium Per User
・Power BI Embedded の分析とは
この記事は Power BI Premium キャパシティーライセンスのみ取り扱います。
何がわからんかったのか?
Power BI Premium キャパシティーライセンスの Premium キャパシティー(以降、”Premium 容量”と表記します)を割り当てられる最大のワークスペース数に上限=システム制限があるのか?です。
公式情報を探したのですが「Premium 容量を割り当てるワークスペース数に上限はありません」とも「上限は n個まで」とも、どちらも明記されていなかった・・・(少なくとも、2023年11月時点では+やまさん調べの結果では汗)。
結論:上限はありません
Premium 容量を割り当てるワークスペース数に対して「上限が書いてない」ってこたぁ、制限は無いよ?ってこと?っていう確証が持てなかった当方。前述、Power BI Weekly News のアフタートーク部屋へお邪魔して質問してみました。
Power BI MVP's 「上限は無いよ!」
┏О )) アザーーース!!
自信が持てました。
なお、当方が調べた限りでは、繰り返しになりますが公式ドキュメントに「上限がある」とも「個数制限がある」とも書いてありませんでした。もしかしたら、発見できなかっただけ・・・という可能性もございますが・・・。タイミングは 2023年11月末 時点です。今後の更新などで変更が入る可能性がありますので、必ず最新情報をご確認ください。
このような、困ったなぁとか、少し不安だなぁなどの場面で、ユーザーコミュニティで質問できるのは非常に心強いです。もちろん、ユーザーコミュニティはサポートサービスではないので必ず回答が得られるとは限りませんが、お互いに助け合い、学びあえる場があるのは嬉しいですよね!こういう場面があるからユーザーコミュニティ大好きです。
Power BI Premium キャパシティーライセンス やまさん的補足
ワークスペースに Premium 容量を割り当てて利用する Power BI Premium キャパシティーライセンスですが、テナントに紐づくライセンスになります。Microsoft 365 や、 Power Apps、Power Automate の Premium ライセンスのように「ユーザーへ割り当てるモノではない」という点がピンとこない方に遭遇します。そこらへん、個人的にメモしてみます。
キャパシティーライセンス とは
重要なので繰り返しますが Power BI Premium キャパシティーライセンスは、Microsoft 365 (Microsoft Entra ID)テナントへ紐づくライセンスです。ユーザーやグループ等にひもづける類(たぐい)ではありません。
ライセンス契約後、Premium 容量をセットアップしたのちにワークスペースへ割り当てて利用します。後半で図解しますので、前段からお付き合いください。
【2023/12/20 追記】
Power BI 王子 こと 優吾さんに補足情報を頂戴しました!感謝の極み!
https://twitter.com/yugoes1021/status/1737277012379885741
記事投稿時点で、自分は「ワークスペースへ Premium 容量を割り当てる」と思っていました。Premium 容量がワークスペースを強化するオプションパックみたいなイメージです。これ、実は勘違い。
優吾さんのご指摘どおり、公式情報を確認すると 「”Premium 容量”の領域へワークスペースを参加させる」 でした。
勘違いした状態でも運用などには問題ない可能性が高い話題です。が、提案や説明などを担当する場面がある当方のような場合は正しく理解するのは重要です。後半の図解も更新しますが、あらためて公式情報を確認しなおすと「なるほどな」となりました。
※謝辞より、ここに記載したほうが読みやすいかな?と思うのでこちらで感謝と補足をしております。
どういうタイミングで選択肢となるか?
容量だったり、自動更新タイミングが増える等 Premium 容量が必要ないくつかポイントがあるのですが、一番多いと個人的に感じているのが「ライセンス料金」、つまりランニングコストとユーザーの利用シーンの兼ね合いです。ここはよく見聞きするポイントなので細かい説明は不要かな?と思いつつ、念のため記載しておきます。
P1 ~ P5 までキャパシティーライセンスのグレードがあります。一番安い P1 でも記事投稿時点で ¥624,375/月 です。
Power BI Free(無償版、いわゆる”ぼっち BI”)では Power BI サービスへ発行したレポートを他ユーザーへ共有できません。レポートを共有するには Pro ライセンス以上が必要となります。
Power BI Pro の価格は、1ユーザーあたり ¥1,250/月 です。
例えば、1,000 ユーザーがレポートを閲覧します。ただし、その該当ユーザー全てがレポート作成を実施するコトはありません。レポート作成者は多くても 10名 以下です。みたいな状況で、1,000名全体へ Power BI Pro のライセンスを付与したら幾らになるでしょう?
ここで、Premium 料金を Pro のライセンス料で割ります。
¥624,375 / ¥1,250 = 499.5
上記の計算式より「Power BI Premium キャパシティーライセンスは、1か月の間に 500名以上のユーザーがレポート閲覧する場合にコストメリットが発生する」と説明されます。
前述の例で出した 1,000名のうち 990名がレポート閲覧できるだけで良いのであれば、Pro ライセンスを全員へ適用するよりも Power BI Premium キャパシティーライセンスを購入するほうがコストパフォーマンスに優れている、というワケですね。
※実際に購入を検討する際のライセンス価格等は Microsoft さん、またはライセンスリセラーへお問い合わせください。
役割とライセンスの組み合わせ
レポート作成者には、Power BI Pro ライセンスを割り当てて、該当レポートが発行されるワークスペースへ Premium 容量を適用すれば 該当レポートが発行されるワークスペースを Premium 容量へ参加させれば OK か?と問われると、Yes と断言できない可能性があります。
レポート閲覧のみできればよいユーザー = レポート閲覧者には Power BI Free のライセンスが必要です。
なぜなら、Power BI Free のライセンスを保持していないと、Power BI サービスの画面にアクセスできないんですよ。
つまり、役割 = ライセンスの組み合わせは・・・
レポート作成者 = Power BI Pro 以上
レポート閲覧者 = Power BI Free 以上
該当ワークスペース = Premium 容量
となります。
詳しくは公式ページをご確認ください、ですが、簡単にまとめると下表です。
Power BI Free | Power BI Pro | Premium Per Capacity | |
---|---|---|---|
ライセンスの種類 | ユーザーライセンス | ユーザーライセンス | Premiumライセンス |
レポート・セマンティックモデルの作成 | 〇 ※マイワークスペースのみ |
〇 | × ※要ユーザーライセンス |
レポート・セマンティックモデルの公開(発行) | 〇 ※マイワークスペースのみ |
〇 | × ※要ユーザーライセンス |
レポート・セマンティックモデルの共同編集作業 | × | 〇 | × ※要ユーザーライセンス |
Free(無償)ユーザーのコンテンツ閲覧 | × | × | 〇 |
最大ストレージ容量 | 10GB | 10GB | 100TB |
セマンティックモデル サイズ制限 | 1GB | 1GB | 25 ~ 100GB ※Power BI Desktop から公開(発行)する際のアップロード上限は 10GB |
自動更新 | 最大 8回/日 | 最大 8回/日 | 最大 48回/日 |
Premium 容量とワークスペースの関係性
イメージにすると、こんな感じです。 ※2023/12/20 より前の認識 → 実はコレ正確ではない
【2023/12/20 追記】
前述の追記どおり、補足を頂戴したのでイメージを更新しています。公式情報を読み解くと以下の認識になります。
Premium 容量というエリア(領域)があって、そこにワークスペースが参加する、です。
もちろん、ワークスペースや公開されたレポートに適切な権限が付与されている前提となります。ご利用の状況に応じて適宜読み替えてください。
公式情報に該当する図がありました。
上図を確認すると「Premium 容量のなかにワークスペースがある」のがわかります。この絵は何回も見ていたのですが、補足を頂戴するまで完全に勘違いしていました。”容量”って言われるとハードディスクなどの印象があるので”PC へ追加する” → つまり、ワークスペースがあってスペシャルな容量を追加するのかな?と思ってしまったんだろうな、と気づきました。Power BI Premium Capacity ライセンスの Premium 容量は「ワークスペースを招き入れる側」だったんですね。
前述の URL を読み進めるとドンピシャ(古い?w)の見出しが登場します。
Assigning workspaces to capacities
日本語ページ(ja-jp)でも「容量へのワークスペースの割り当て」って表題ですね。
つまり、優吾さんが補足してくださったとおり「プレミアム容量がわへ、ワークスペースが参加する」という表現が正しいですね。勉強になりますね!こういう学びあい最高です。感謝♪
【追記ここまで】
ワークスペース側の制限事項(2023/12/20 追記)
スイスイ こと、Eiki Sui さんがコメントしてくださっていますが、ワークスペース側に制限事項などありますので、あわせてご確認いただくとよさそうです! Sui さんありがとうございます!
まとめ
上手に利用すると、ものすごい効果を発揮する仕組みだと個人的には思っています。
- Power BI Premium キャパシティーライセンスはテナントに紐づく
- ユーザーやグループへ割り当てる類ではない
- レポート閲覧者が 500名 を超える場合にコストメリットが発生
- その他 Premium 容量が必要なパターンもあります! ← ※重要
- Premium 容量
を割り当てるに参加できるワークスペースの上限数は無い - Premium キャパシティーライセンスは複数契約可能
- 状況に応じてご検討を
「Power BI Premium は高い」と、よく言われます。
はたして、ホントに高いんでしょうか?
それは利用シーンなどの状況に応じて異なりますよね。単純な価格のみをみて高い安いを論じるのではなく「組織において、いま選択可能な最適解は何か?」を検討いただきたいな、と思います。
(´ω`)。○○(ここらへんを要件にあわせて説明できない業者も存在しますので、しかるべき相手にご相談いただきたいなぁと思ったりしないこともない)
皆さんが、そのタイミングでベストな選択で幸せになりますように。
それでは、皆さま。素晴らしい Power Platform Life を!