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【OCI クラウド移行ガイド】 Amazon Redshift から OCI Autonomous Data Warehouse へ移行してみた

Last updated at Posted at 2024-08-31

OCIクラウド移行ガイドとは

オンプレミスやAWSなど、複数のプラットフォームからOracle Cloud Infrastructureへの移行プロジェクトに取り組んでいるクラウドエンジニア(@araidon,@kazunishi,@yama6,@tktk2712,@ritokuna)による、OCI移行手順をまとめたシリーズ記事です。
各回、サンプルワークロードから対象サービスを取り上げ、移行手順をガイドいたします。
まとめ記事は以下になります。

移行するサービス:Amazon Redshift

今回、移行対象とするのはAmazon Redshiftです。
SQL DeveloperのAmazon Redshift移行アシスタントを用いて、Amazon RedshiftをAutonomous Data Warehouseに移行する手順を解説します。
SQL Developerでは、Amazon Redshift以外にも、MySQL Database、Microsoft SQL Server、Sybase Adaptive Server、IBM DB2、TeradataなどのOracle Databaseエンジン以外のソースDBから、Autonomous Databaseにスキーマ・オブジェクトおよびデータをコピーする機能が用意されています。

RedshiftのDBエンジンはPostgreSQLベース、Autonomous Data WarehouseはOracle Databaseですが、Amazon Redshift移行アシスタントによって自動的にDDL文を生成し、いい感じにデータ変換を行ってくれます。

移行方式

OCI Compute VM上のSQL DeveloperからAmazon Redshift,Autonomous Data Warehouseの双方に接続し、SQL DeveloperのAmazon Redshift移行アシスタント機能を使用して移行します。

image.png

前提条件

今回はデータの移行検証を目的としているため、リソースは全てパブリックアクセスすることを前提としています。本番環境の移行時には、リソースのプライベート接続考慮、両クラウド間の閉域接続を推奨いたします。AWS-OCI間のVPN接続については下記記事をご参照ください。

【OCI クラウド移行ガイド】 AWSとOCIをVPNで接続してみた
https://qiita.com/yama6/items/c188de191269cb604341

  • Redshift,Autonomous Data Warehouseに接続するための、Windows Server 2019のComputeVMがパブリックサブネット上に構築されていること
    Windows Server 2019の構築については、下記記事を参考にさせていただきました。

  • Redshiftへのパブリックアクセスを許容するVPCリソースが設定されていること
    Redshiftのパブリックアクセス設定については、下記記事を参考にさせていただきました。

移行手順

  1. ComputeにSQL Developerインストール
  2. Amazon Redshift JDBC ドライバー設定
  3. Redshift 作成
  4. 接続確認 SQL Developer→Redshift
  5. ADW 作成
  6. 接続確認 SQL Developer→ADW
  7. データインポート用のS3作成
  8. RedshiftからS3へのデータアンロードユーザ作成
  9. 移行アシスタント機能実行
  10. 移行結果確認

1. ComputeにSQL Developerインストール

Compute VMにRDP接続後、ブラウザから下記ページにアクセスします。

image.png

Windows 64-bit with JDK 11 included をダウンロードします。
image.png

※ダウンロード時に、「現在のセキュリティ設定では、このファイルをダウンロードできません。 」と表示されるので、下記手順でファイルのダウンロードを有効化してください。
[インターネット オプション] > [セキュリティ] タブ > [レベルのカスタマイズ] ボタン > [セキュリティ設定] ダイアログの「ファイルのダウンロード」 > 「有効にする」

ダウンロード後、zipファイルを解凍し、"sqldeveloper"をクリックします。

image.png

ロード完了後、SQL Developerが起動します。
image.png

SQL Developerのインストール作業は以上になります。

2. Amazon Redshift JDBC ドライバー設定

SQL DeveloperからJDBC ドライバーでRedshiftへ接続するため、設定を進めていきます。

Amazon Redshift JDBC ドライバーのダウンロード

下記ページより、「JDBC 4.2 互換ドライバーバージョン 2.1」をWindwos Serverにダウンロードし、zipファイルを解凍します。

Amazon Redshift JDBC ドライバーのプリファレンス設定

ツール→プリファレンスを選択します。

image.png

画面左のナビゲーションペインから、「データベース」→「サード・パーティJDBCドライバ」を選択します。

image.png

エントリの追加ボタンを押下し、ダウンロード&解凍したフォルダから、"redshift-jdbc42-2.1.0.29.jar" を選択します。

image.png

エントリ登録されたことを確認したら、OKボタンを押下します。

image.png

設定確認

画面左の「接続」→「新規データベース接続」を押下します。
image.png

Amazon Redshift JDBC ドライバーを設定したことで、「データベースのタイプ」タブを選択した際に、"Amazon Redshift"が表示されるようになります。

image.png

ドライバーの設定作業は以上になります。
移行対象のRedshiftを作成し、ここから繋げられるか確認していきましょう。

3. Redshift 作成

下記手順を参考に、Redshiftを作成します。

以下、手順との変更点のみ記載します。

ノードの種類はdc2.large、ノード数は1に設定しました。

image.png

作成時にデータを入れるため、「サンプルデータをロード」にチェックを入れます。
自動的にTICKETというサンプルデータベースが作成されます。

image.png

SQL Developerからの簡易的な接続を考慮し、管理者パスワードは手動追加を選択しています。

image.png

追加設定「デフォルトを使用」のタブをオフにし、VPCの設定をします。
今回は、Redshift へのパブリック接続を許可するために「[パブリックにアクセス可能] をオンにする」にチェックを付けます。

image.png

クラスターサブネットグループは、AZが異なる3つのパブリックサブネットを登録しています。
image.png

あとは作成ボタンを押下し、Redshiftが作成されたことを確認します。

image.png

コンソール画面から、タブ「データベース」を選択し、「データベース接続」からデータベース名、ユーザ名を入力し、「接続」ボタンを押下するとスキーマ情報が確認できます。

image.png

TICKETデータベースを構成するテーブルを確認することができました。
次に、SQL Developerからも接続を確認していきましょう。

4. 接続確認 SQL Developer→Redshift

画面左の「接続」→「新規データベース接続」を押下します。
image.png

「データベースのタイプ」タブを開き、"Amazon Redshift"を選択します。

image.png

Nameにredshift(任意文字列入力)、Redshiftを作成した際に設定したユーザー名、パスワードを入力します。

image.png

Amazon Redshift JDBC URLは、Redshiftのコンソール画面から文字列を取得し、入力します。

image.png

接続ボタンを押下します。
接続に成功すると、画面左の接続ナビゲーションに、redshiftが追加されます。

image.png

接続に失敗する場合は、「[パブリックにアクセス可能] をオンにする」チェックが付いているか、Redshiftで設定したサブネットグループを構成するサブネットがインターネットゲートウェイにルートがあるか、セキュリティグループがRedshiftの接続ポート5439でインバウンドが許可されているかを確認してください。

Redshift作成時に自動ロードしたデータが格納されていることも確認できます。

image.png

移行元であるRedshiftの準備作業は完了です。
次に、移行先であるAutonomous Data Warehouseを作成していきます。

5. Autonomous Data Warehouse の作成

下記手順に従ってAutonomous Data Warehouseを作成します。

ワークロード・タイプには、分析系システムを対象とするAutonmous Data Warehouse (ADW)を選択します。

image.png

データベース・バージョンは19cを選択しました。

image.png

ネットワーク・アクセスは、「許可されたIPおよびVCN限定のセキュア・アクセス」を選択し、IPアドレスには、事前に立てたWindows ServerのComputeVMが持つパブリックIPを指定しました。

image.png

Autonomous Databaseの作成 ボタンを押下し、プロビジョニングの完了を確認します。

image.png

Autonomous Data Warehouseの作成作業は以上です。

6. 接続確認 SQL Developer→ADW

SQL DeveloperからAutonomous Data Warehouseへの接続を確認します。

事前準備:クラウド・ウォレットのダウンロード

SQL Developerから接続する際に、クラウド・ウォレットが必要となります。
OCIコンソール ADWの詳細画面から、「データベース接続」を押下し、Windows Server上にウォレットをダウンロードします。

image.png

SQL Developerからの接続

画面左の「接続」→「新規データベース接続」を押下します。
image.png

「データベースのタイプ」タブが "Oracle"に設定されていることを確認します。
接続タイプのタブを押下し、「クラウド・ウォレット」を選択します。
「構成ファイル」フィールドの「参照」ボタンをクリックし、事前準備でダウンロードしたクラウド・ウォレットのzipファイルを選択します。
ユーザ名、パスワードに、ADWを作成した際のユーザ名、パスワードを入力します。

image.png

接続ボタンを押下し、画面左の「接続」にADWが追加されたことを確認します。

image.png

接続に失敗する場合は、「許可されたIPおよびVCN限定のセキュア・アクセス」にて設定したIPアドレスに、SQL Developerを操作しているWindows ServerのパブリックIPが設定されているかを確認してください。

以上でADWの接続確認は完了です。いよいよ本題の、RedshiftからADWへデータベースを移行作業に移ります。

7. データインポート用のS3作成

ADWからRedshiftに直接アクセスすることはできないため、移行データを格納するためのステージング環境として、S3が必要となります。
下記の手順に従ってS3を作成します。

今回は、パブリックアクセスをONにしています。
移行アシスタント利用時にこのS3のバケット情報が必要となります。(後述)

8. RedshiftからS3へのデータアンロードユーザ作成

目的

移行アシスタントを実行すると、RedshiftがS3へデータをアンロードします。
このとき、移行アシスタントが本処理の実行権限を持つ必要があります。
移行アシスタントからS3へのデータアンロード操作実行権限はIAMユーザの資格情報を用います。
というわけで、S3アクセス権限を持つIAMユーザを作成していきます。

IAMグループの作成

下記を参考に、"adw"という名前のIAMグループを作成します。

IAMユーザの作成

下記を参考に、"adwuser"という名前のIAMユーザを作成します。

image.png

IAMグループへのユーザ追加

image.png

作成したadwグループにユーザを追加します。
最期に、「ユーザを作成」ボタンを押下します。

資格情報(アクセスキー、シークレットアクセスキー)の設定

ユーザ作成後、ユーザー一覧から"adwuser"を選択し、「セキュリティ認証情報」のタブを押下します。
「アクセスキー」フィールドの「アクセスキーを作成」ボタンを押下します。
image.png

「その他」を選択し、「次へ」ボタンを押下します。
image.png

説明タグ値には適当な文字列を入力し、「アクセスキーを作成」ボタンを押下します。
作成後表示される「アクセスキー」と「シークレットアクセスキー」をメモします。

インラインポリシーの作成

「許可」タブを押下し、「許可の追加」ボタンを押下して「インラインポリシーの追加」を選択します。

image.png

サービスの選択で"S3"を選択します。
「すべての S3 アクション (s3:*)」にチェックを入れ、「リソース」で「すべて」を選択します。
「次へ」ボタンを押下し、ポリシー名に適当な文字列を入力します。

image.png

「ポリシーの作成」ボタンを押下します。
以上でユーザ作成作業は完了です。

9. 移行アシスタント機能実行

SQL Developerに戻り、先ほど作成したユーザ権限で移行アシスタント機能を実行していきます。

移行画面の表示

ツール→移行→クラウド移行を選択します。

image.png

すると、RedshiftからAutonomous Data Warehouseへの移行画面が表示されます。

image.png

プロパティの入力と選択

項目 入力設定値
接続 redshiftを選択
選択したスキーマ 「使用可能なスキーマ」から"public"を >ボタンで選択
データを含める チェックを入れる
AWSアクセスキー 「資格情報(アクセスキー、シークレットアクセスキー)の設定」で取得したアクセスキー
AWS秘密アクセス 「資格情報(アクセスキー、シークレットアクセスキー)の設定」で取得したシークレットアクセスキー
S3バケットURI 「データインポート用のS3作成」で作成したS3のバケットURI *

今回一番のトラップはS3バケットのURI形式でした。

S3バケットURIは下記形式に従います。

S3バケットURIの形式
https://s3.リージョン名.amazonaws.com/バケット名

S3バケットURI形式について
下記ドキュメントでは、「https://s3-リージョン名.amazonaws.com/バケット名」 となっていますが、この形式で実行するとスキーマ・オブジェクトは移行できてもデータだけ移行できない結果となりました。

Autonomous DatabaseへのAmazon Redshiftの移行
https://docs.oracle.com/ja-jp/iaas/autonomous-database-serverless/doc/migrating-amazon-redshift.html#GUID-37FF7BD6-E52C-4ECB-912D-5614B62B4CCE

s3のあとの -(ハイフォン)を .(ドット)に読み替える必要があります。

image.png

「次へ」ボタンを押下します。

ターゲット情報確認

移行アシスタントを実行すると、移行のためにSQLDEV_MIGREPOSという内部ユーザが作成されます。

image.png

移行オプションで「今すぐ移行」にチェックを入れます。
「次へ」ボタンを押下します。

image.png

「終了ボタン」を押下すると、移行アシスタントが実行されます。

image.png

ポップアップにてRedshiftMigrationTaskは9段階で実行されます。
9/9が完了したら実行自体は終了です。

実行ログ確認

実行ログは、ステップ2/3で画面表示されたディレクトリにフォルダが生成され、格納されます。
"redshift_migration_reportYYYY-MM-DDTHH-MM-XX.XXXXXXXXZ" ファイルを確認します。

This is a generated Redshift Migration Report file 'redshift_migration_report'.
______________________________________________________________

______________________________________________________________
OPERATION ID      : 8
LOGFILE TABLE     : COPY$8_LOG
BADFILE TABLE     : COPY$8_BAD
SOURCE SCHEMA     : public
TARGET SCHEMA     : PUBLIC_
SOURCE TABLE      : category
TARGET TABLE      : CATEGORY
SOURCE TABLE ROWS : 11
TABLE ROWS LOADED : 11
ERROR MESSAGE     : null
STATUS            : COMPLETED
START TIME        : 2024-08-31 13:27:50.816938
END TIME          : 2024-08-31 13:27:54.874944
______________________________________________________________
…

上記のようにテーブルごとにログが出力されます。
スキーマ名を比べてみると、ソーススキーマが"public"であったことに対し、ターゲットスキーマは"PUBLIC_"に変換されていることがわかります。
SOURCE TABLE ROWSとTABLE ROWS LOADEDの行数が一致し、STATUSがCOMPLETEDになっていればツール実行は成功です。

10. 移行結果確認

Redshift,ADWそれぞれで対応するテーブルに対して、下記の同じSQLを実行します。

Redshift
select * from public.users;

image.png

ADW
select * from public_.users;

image.png

RedshiftからADWへ同じ内容のデータが移行されていることが確認できました。

おわりに

SQL DeveloperからRedshiftとADWの双方に繋いでさえしまえば、ソースとターゲットの設定だけで簡単に移行できることが実感できました。プラットフォームが異なるサービスでも、共通のViewerでデータを確認できるので便利です。
この移行アシスタントでは、他のDBエンジンからAutonomous Databaseへの移行機能も提供しています。次回以降、SQL Serverなどの移行を試してみたいと思います。

参考

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