文化庁から、生成AIを絡めた一般人向けの著作権セミナーが開かれていたので参加してみました。
※筆者は、AIの学習済みモデル開発をしたり、何か創作をするような立場でもない一般人です。
また、著作権の存在こそ知っているものの、詳細に把握しているわけではないため、誤った解釈をしている場合があります。
講演資料及び動画
https://www.youtube.com/watch?v=eYkwTKfxyGY
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/93903601.html
感想
※いろんな人に見てほしいセミナーだと思っているので、セミナーの内容については掘り下げません。上のURLからご自身で視聴してください。
- 生成AIの利用等に関係なく、著作権に詳しくない人は教育目的で視聴しておいた方が良いと感じた。
- 情報発信がしやすくなった時代なので、ささいなコンテンツ発信という行動から著作権という法律と触れ合う機会は間違いなく増えているはずなのに、著作権って結局なにする法律なの?という理解が無いケースは少なくないはず。
- 昨今成長目まぐるしいAIに向けて、ここ1年以内に何か新しい法律が定められてそれを紹介する!みたいなことはない。
- いままで発信し続けていることの整理をして、分かりやすく発信しているセミナー。
- 生成AIを利用する人も、AI開発に用いるデータセットに含まれる著作物を作成する人も、求めているのは法律に反するかの線引きが事前にできるガイドラインとかルールブックみたいなものでは?と思う。
- ただし、法律に基づいて線引き(司法判断)をするのはあくまで裁判所。行政機関である文化庁としては、そのラインは曖昧にしておいて、悪いことができないように抑止するようなスタンスを取るべきだと思うので文化庁にそれを求めても仕方がない気がする…。
- そういった判断を前例に基づいて的確にできるようにするには、裁判所の判例が増えていく必要がある?
- 著作権侵害の判断点となる類似性における「ありふれた表現であるか?」という部分は、今後の生成AIの発達次第では、今私たちが感じている「ありふれた表現」という概念が変わるということが起きそうな気がした。
- 例:「とてもきれいな絵だけど、AIが生成しそうな絵だね」など。
見ながらとっていたメモ(読まなくてOK)
メモ
- 著作権侵害には、類似性があり、依拠性があるか?という判断
- 類似性
- 共通した部分が、表現なのか?アイディアや事実なのか?
- 創作性がある表現なのか、ありふれた表現なのか?
- 依拠性
- 依拠:既存著作物に触れた(見る知る聞く)うえで、自己の作品にそれを取り入れていること
- 制作時に既存著作物の表現を知っているか
- 既存著作物と同一しているか
- 後発作品の制作経緯
- 依拠せず制作したことを合理的に説明できるか
- 説明を求められるのは、著作権侵害の被疑者側
- 類似性
- AIと著作権は段階をおいて判断
- AIの開発や学習段階
- 学習データを収集し、データセットを作る
- 学習プログラムを利用し、学習済みモデルを制作する
- 複製、譲渡&公衆送信
- データセットのスクレイピング収集
- 学習データセットの公開
- 権利制限規定整備により、著作権法第三十条の四導入
- AIの開発や学習段階
(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
- 「享受」が目的でないなら著作権の権利制限規定に沿った利用となる
- AIの学習用データセット作成のための収集や作成、学習済みモデルの開発など
- 不当に利益を害する場合は適用外。
- 将来の潜在的販路を阻害するか?という点から、最終的には司法判断。
- 生成、利用段階
- 人が絵を描いたりするケースと同じで、類似性と依拠性の判断をする
- AIだから俺のせいではない、という言い逃れができない
- 私的使用の複製に該当する、生成は権利制限規定に該当して許諾なく実施可能
- 公表、販売などをする場合は、利用許諾が必要。
- 議論は、「依拠性」
- 著作物が学習に使われているか?
- 生成物が元の表現と類似しているなら推定できるのでは?
- 独自創作であるといえないなら依拠性があるといえるのでは?
- ここは最終は司法判断
- 検討事項
- 既存著作物認識していて、類似物を生成した時
- i2iで入力しているとき
- 集中学習させたAIを使っている(LoRAなど?)時と、そうでない時で、依拠性の考えが変わるか
- 人が絵を描いたりするケースと同じで、類似性と依拠性の判断をする
- 利用者の対応はどうするべきか
- 利用行為が、権利制限規定に該当するかを確認する
- 既存著作物と類似性のあるものを生成していないか
- 生成物を使うなら、
- そのまま利用することを避ける
- 既存著作物とことなるものになるように大きく修正を入れる
- 利用許諾を得る
- AI性生物は著作物なのか、著作者は誰か
- コンピュータ創作物が著作物なのかの検討
- AIが自律的に生成したものは、思想や感情を創作的に表現していないと考える
- 人からプロンプト入力がない、または簡易的な入力である時
- AIを道具として利用しているか?は、創作的意図と創作的寄与があるか?が判断基準となる
- コンピュータ創作物が著作物なのかの検討