ここ最近、関数型言語や関数型プログラミングといったキーワードをよく目にするようになりました。
関数型言語などで検索していくと、雑学のようなものが目に留まります。
その中の1つとして、「関数」の語源があります。
関数(数学)のWikiには表記の歴史が下記のように書かれております。※引用は一部抜粋
日本語としての関数はもともと「函数」(旧字体では函數)と書く。函数という語は中国語から輸入されたもの。
「函」が漢字制限による当用漢字に含まれなかったことから、1950年代以降同音の「関」へと書き換えがすすめられた。この他、「干数」案もあった。
「函数」の中国語における発音は(拼音: hánshù) であり、志賀浩二や小松勇作によればこれはfunctionの音訳であるという。
このように「関数」の字体からは、functionの本来の意味である「機能」がイメージ出来ないのは音訳だったからである。同じように幾何学(geometory)も音訳(geo(ジーホ) → キーホ → 幾何)からきている。
【追記 2017/05/27】
函数の音訳は間違い(含むの意味)というブログ「「函数」は意訳か音訳か - だめブログ」」がある。詳細はコメントにて。
【追記 2017/05/25】
幾何学の音訳は間違い(数学的対象の量一般を意味)という論文「満洲語資料からみた 「幾何」 の語源について」がある。
ここで疑問に思うのが、読み方が「ハン」ではなく「カン」になっていることである。
もう少しネットで調べていくと、日本語の歴史が見えてきます。
参照:「はひふへほ」の歴史
は行である「はひふへほ」が出来てくるのは意外にも江戸時代であり、五十音図が出来たとされる十世紀後半の平安時代には存在しなかったようである。
奈良時代のヤマト言葉には「ぱぴぷぺぽ」があり、それが平安時代までに「ふぁふぃふぅふぇふぉ」という風に変わっていき江戸時代はじめに「はひふへほ」になっていった。その証拠に沖縄には今でも「花」をパナと呼ぶ発音が残っている。
「は」行がなかったことで、中国から漢字が入った頃の「H」の発音が「K」に読み替えられた。
(日本語の「は」行と「か」行の発音を口の中の状態を比べてみるとよく似ているので、入ってきた当時の日本人にはそのように聞えたのかもしれない。)
その証拠として上海(シャンハイ)の「海」の音読みが現在も残っています。
また、写像 - 数学 | ++C++; // 未確認飛行 Cには余談に下記が書かれておりました。
余談ですが、関数という言葉は function を音訳したものです。 (中国語では「関」は「ファン」と読みます。 もともとは「函」と書いていましたが、この文字は常用漢字ではないので、次第に「関」に置き換えられるようになりました。) 古来の日本語には「h」や「f」の音はなく、は行の音は「p」の音で読まれていました。 そのため、「函」は「ハン」や「ファン」ではなく、「クワン」と読まれ、後に「カン」になったそうです。 (現在でも辞書などには「くわん」という読み方が書かれています。)
函数の「函」は古来の読み方を継承しており、「ハン」ではなく「クワン」 → 「カン」と読まれるようになったわけです。
私のいる静岡県の東部には函南町がありますが、読み方は「カンナミチョウ」です。
さて、「函数についての初出は1874年の『微積遡源』で、もともとはヨーロッパの宣教師が中国においてfunctionの訳語としてあてたもの」という記述を見つけた。その頃には既に「は」行があったはずだが、読み方は古来のまま残ったのかも知れません。
日本で「関」の音読みが「クワン」kwanから「カン」kanに変更された。「関」は北京語でguān、朝鮮語でkwanであり、「函」とは読みが異なる。
ちなみにアメリカのChina系スケート選手・ミ(ッ)シェル・クワン(Michelle Kwan)の姓は「関」Guānである。
このような経緯であるから「関数」は中国と朝鮮では採用されていない。