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Reteアルゴリズムについて学んだことメモ

Last updated at Posted at 2023-11-25

本記事では、Reteアルゴリズムについて調べたことをまとめていきます。

Reteアルゴリズムとは

計算機科学者であるCharles L. Forgy氏が考案したパターンマッチングアルゴリズムです。
以下の手続きを効率的に行うことができます。

  • Inputデータが特定の規則(ルール)に合致しているかの照合
  • ルール条件に合致するデータに対して、ルールで定められた処理の実行

過去に記事で紹介しているDroolsをはじめ、多くのルールエンジンの基盤となっているアルゴリズムです。

処理の流れ

Reteアルゴリズムの処理の中には、主に以下のような要素が登場します。

要素 説明
working memory(WM) ルールへのInputデータや、ルールによって生成されたデータが保管される場所
rete network ルールの条件をもとに作成されるネットワーク
後述するrete node, type nodeなどから構成される
rete node root nodeとも称される
アルゴリズムにおいて、一番最初にデータが渡されるnode
type node rete nodeの次にデータが渡されるnode
データの型に応じてどのtype nodeに送信されるかが決定される
alpha node データの属性値を何らかの定数値と照合するnode
条件に合致するデータのみを次のnodeに送信する
beta node 二つのデータの属性値を照合するnode
条件に合致するデータのみを次のnodeに送信する
terminal node すべてのbeta nodeの条件に合致するデータが最終的に送信されるnode
ここに到達したデータはルールのすべての条件を満たしたことになる
agenda terminal nodeに送られたデータと、データが満たすルールの情報が保管される場所
agenda上の(データ・ルール)の組み合わせに対して、順次ルールで定義したアクションが実行される

具体例を交えて、データとルール条件との照合がどのように行われるかみていきます。
題材としては、顧客と注文データをもとに、クレジットカードのポイントが付与される簡単なルールを取り上げます。

ルール名 顧客 注文.顧客名 注文.決済方式 ポイント
カード払いであれば10ポイント付与 ==顧客.名前 =="カード払い" 10 pt

上記決定表では、注文が顧客に紐づくもので、決済方式がカード払いだった場合、10ポイントを付与するルールとなっています。
このルールは、以下のようなrete networkで表現されます。

rete.png

  1. WMに保存された「注文」と「顧客」データがrete nodeに送信されます

  2. 注文データは注文用のtype node(画像左側)に、顧客データは顧客用のtype node(画像右側)に渡されます

  3. alpha nodeに到達した注文データに対して、決済方式の条件をみたしているかチェックします
    カード払いでないデータは、次のnodeに渡されることはありません

  4. alpha nodeの条件をみたした注文データと、顧客データはbeta nodeに到達します
    ここで、注文データが顧客に紐づくものであることをチェックします

  5. beta nodeのルール条件をみたす注文・顧客データは、terminal nodeに渡されます

  6. terminal node に到達した注文・顧客データと、ルールの情報がagendaに保存され、ルールのアクション(10ptのポイント生成)が実行されます

Reteネットワーク上では、以下の操作をすることで、無駄なデータ⇔ルールの照合が発生しにくくなっています。
(A) データ型に応じたtype nodeへのデータ振り分け
(B) 各nodeにおける、ルール条件によるチェックと、後続のnodeへの送信判断

Droolsでの利用

Droolsでは、Reteアルゴリズムの性能を改善したPhreakアルゴリズムというものが利用されているようです。
今後こちらについても紹介できたらと思います。

※ 実装されているのは、おそらくこのあたりかと

参考

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