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プライベートサブネット内のEC2 (Amazon Linux 2) 上にAWS Cloud9を構築する

Last updated at Posted at 2019-12-23

はじめに

Cloud9とは、AWSのマネジメントコンソール上(つまり、ブラウザ上)でコーディングができるソリューションです。
AWSのサーバーレスアーキテクチャとの相性もよく、AWSを利用する上では是非検討したいソリューションです。

こういったソリューションが台頭してくる要因として、クラウドを利用する上での「コーディング環境」が挙げられます。
Vimmerならどこであっても実装に困りませんが、普段ローカルPCのIDE等を利用している開発者がいざクラウドを利用しようとすると、この「コーディング環境」という壁にぶち当たることもあるのではないでしょうか?
また、Cloud9のようなクラウド上で使える魅力的なエディターがあっても、会社のプライバシーポリシー的に導入が難しかったりと次々と壁にぶち当たるのも世の常です。

本記事では、そういった点を踏まえて、できる限りセキュアにCloud9を使うための構築手順とセキュリティ要件をご紹介します。
なお、Cloud9の使い方はご紹介しませんので、ご注意ください。

対象読者

次のようなアーキテクチャでCloud9を利用したい方全員
(Cloud9サーバーはプライベートサブネットに置き、踏み台経由でしかアクセスできない)

セキュリティ要件

上の画像では少し語弊というか間違いがあり、マネジメントコンソールでCloud9を開けばローカルPCからSSHするわけではありません。
マネジメントコンソールからCloud9を開くと、AWSを経由して踏み台サーバーにSSH、踏み台サーバーがCloud9サーバーにSSHするという仕組みになっています。
したがって、踏み台サーバーはAWS側に22番TCPポートを解放しておく必要があります。
AWS Cloud9 のインバウンド SSH IP アドレスの範囲

許可するIPは、
https://ip-ranges.amazonaws.com/ip-ranges.json
こちらのjson中のregion: "ap-northeast-1"かつservice: "CLOUD9"のIPアドレスです。

Cloud9環境の構築

1. Cloud9用EC2を構築

1-1. EC2の起動

EC2の設定は次の点だけ守っていただければ、後は自由にしていただいて構いません。

設定項目 内容
AMI Amazon Linux 2
サブネット プライベートサブネット
PublicIP 無効
セキュリティグループ 踏み台サーバーに設定したセキュリテイグループからのSSH (Port:22) を許可する

1-2. Cloud9用の設定

これから、AWS Cloud9 SSH 開発環境 ホスト要件を参考に設定をしていきます。
まずは、先ほど起動したCloud9用EC2にSSHします。
SSHしたら、 yum update などの普段行う設定を実施してください。
以下は、あくまでもCloud9に必要な設定のみを記載しています。

Pythonのインストール

Python がインストールされている必要があり、バージョンが 2.7 である必要があります。

と記載されているので、Pythonのバージョンを確認します。

$ python --version
Python 2.7.16

このように2.7系であれば問題ありませんが、もし違えば2.7系を入れてください。
インストール方法は、参考にしているホスト要件内に記載されています。

Node.jsのインストール

Node.js がインストールされている必要があり、バージョンが 0.6.16 以降である必要があります。

と記載されているので、Node.jsのバージョンを確認します。

$ node --version
-bash: node: コマンドが見つかりません

2019年12月23日現在のAmazon Linux 2 AMI (ami-068a6cefc24c301d2)には、標準でNode.jsはインストールされていません。
ここでは、Node.jsのリポジトリをyumリポジトリに追加する方法でインストールを行いたいと思います。

まずは、現在設定済みのリポジトリをlistしてみます。

$ ll /etc/yum.repos.d/
合計 8
-rw-r--r-- 1 root root 985 11月  2 08:45 amzn2-core.repo
-rw-r--r-- 1 root root 943 11月 19 07:59 amzn2-extras.repo

ここに、 nodesource-el7.repo という名前でリポジトリを追加します。

$ sudo vim nodesource-el7.repo

バージョンは0.6.16以上を指定されているので、基本どのバージョンでもいいですが、今回はバージョン13を指定しています。
pub_13.xの13の箇所がバージョンとなっており、12や11を入れたい場合はその数字を指定すればOKです。
また、el/7 は、Red Hat Enterprise Linux 7のことです。

nodesource-el7.repo
[nodesource]
name=Node.js Packages for Enterprise Linux 7 - $basearch
baseurl=https://rpm.nodesource.com/pub_13.x/el/7/$basearch
failovermethod=priority
enabled=1
gpgcheck=1
gpgkey=file:///etc/pki/rpm-gpg/NODESOURCE-GPG-SIGNING-KEY-EL

最終的に、こんな感じになっていればリポジトリの登録完了です。

$ ll /etc/yum.repos.d/
合計 12
-rw-r--r-- 1 root root 985 11月  2 08:45 amzn2-core.repo
-rw-r--r-- 1 root root 943 11月 19 07:59 amzn2-extras.repo
-rw-r--r-- 1 root root 235 12月 23 21:01 nodesource-el7.repo

そして、nodesource-el7.repo にgpgkeyを指定したので、これもホストにダウンロードしておく必要があります。
ダウンロードはcurlコマンドを使用して、https://rpm.nodesource.com/pub/el/ から落としてきます。

$ cd /etc/pki/rpm-gpg/
$ sudo curl -sSO https://rpm.nodesource.com/pub/el/NODESOURCE-GPG-SIGNING-KEY-EL

それでは準備が整ったので、Node.jsをインストールしましょう

$ sudo yum install nodejs

インストールが完了したら、次のコマンドでNode.jsのバージョンが返ってくれば正常にインストールできています。

$ node --version
v13.5.0

Cloud9起動元ディレクトリのパーミッションを設定

今回は、ec2-userのHOMEディレクトリを指定します。

$ sudo chmod u=rwx,g=rx,o=rx ~
$ ll /home/
合計 0
drwxr-xr-x 3 ec2-user ec2-user 111 12月 23 21:20 ec2-user

AWS Cloud9のインストール

インストーラーを使用してCloud9をインストールしますが、その前に必要なgccを先にインストールしておきます。

$ sudo yum install gcc 

gccのインストールが完了したら、crulコマンドでCloud9をインストールします(しばらく時間がかかります)。

$ curl -L https://raw.githubusercontent.com/c9/install/master/install.sh | bash

インストールの最後に :Done.が表示されればインストール完了です。

2. マネジメントコンソールからCloud9環境の作成を行う

2-1. Cloud9の画面を開く

画面を開いたらオレンジ色のボタン Create environment をクリックしましょう。

2-2. 環境名と説明を入力

入力したら、Next stepをクリックします。

2-3. SSHの設定

設定項目 指定内容
Environment type Connect and run in remote server (SSH)
SSH server connection
User Cloud9サーバーにSSHするユーザー
Host Cloud9サーバーのプライベートIP
Port SSHに使用するポート
Advanced settings
Environment path Cloud9ログイン時のディレクトリ(デフォルトはHOMEディレクトリ)
Node.js binary path Node.jsのバイナリパス
SSH jump host 踏み台サーバーへのSSH時に使用するユーザーとIP(形式はUSER@HOST:PORT)

2-4. 最終ステップ

ここまで入力が完了したら、Copy key to clipboardをクリックしSSH公開鍵をクリップボードに保存します。
その後、踏み台サーバーとCloud9サーバーの~/.ssh/authorized_keysの両方にコピーします。

さらに、SSH 環境を作成するの15番に

Netcat をインストールする必要があります

とある通り、踏み台サーバーにはNetcatをインストールしておく必要があります。
踏み台サーバーもRed Hat系の場合、次のコマンドでインストールできます。

$ sudo yum install nc

ここまで完了すると、Next stepの実行が正常に行われるはずです。
すると、確認画面が表示されるので、環境の作成をクリックします。
しばらくして、Cloud9のコンソールが開かれれば構築完了です。

まとめ

踏み台サーバーを用いてプライベートサブネット内にCloud9サーバーを構築することができました。
しかしながら、踏み台サーバーにAWSからの22番ポートアクセスを許可する必要があり、この点が会社のセキュリティポリシーに引っかかることが多いような気がします。
Lambdaとの相性も良かったりするそうですので、クラウドサービスの拡大に伴って会社のポリシーも柔軟に変わっていけると良いですね。

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