「スクラム」とは、「アジャイル」とは一体何なのか?
その謎をあきらかにすべく我々はアマゾンの奥地へと向かったーーーー
はじめに
というわけで2020年6月26日(金)・27日(土)の2日間にかけてオンラインで開催される
Scrum Fest Osaka2020に参加してきたレポ記事になります。
僕が参加した各セッションの内容についてはDay2の記事に譲るとして、
Day1ではイベント運営全体について感じたことや基調講演の内容をレポしていこうと思います。
第一印象 : Discordが、すごい
イベントはチャットツールであるDiscord上でのコミュニケーションを中心に、
各動画セッションをZoomで配信する形で運営されていました。
Discordに参加してまず目に入ってきたのはその衝撃的なチャットルーム数です。
一画面では到底収まりきらず、トータル100以上のルームが存在しているのではないでしょうか?
各ルームはいくつかのカテゴリに分けてまとめられています。
カテゴリ名は「ロビー」「メインホール」といった運営の中心となるものに加え、
「大阪」「品川」「ベトナム」など特徴的な地名が名付けられています…ベトナムってなに?
そのそれぞれの「土地」を各セッション・グループのスピーカーたちが管理しています。
例えるなら合衆国みたいな感じ? それぞれが自治権を持って運営していて、運営の過程まで参加者にわかるのがすごくいいなと思いました。
オンラインカンファレンスの運営面で学ぶべきことがすごく多くて、まさにMRYYさんの下記事の通りだなと思いました。
リモートワークを推進する人や、オンラインイベントを企画する人がScrum Fest Osakaに参加した方がいい理由
オープニング・スポンサーLT
- オープニングではアイスブレークを兼ねてDiscordの操作練習を皆で行いました。
- 300人が一斉にコメントしたりボイスチャンネル移動したり。
- 300人が一団になってベトナムカテゴリ・ダナンチャンネルへ向かうくだりでゲラゲラ笑ってました。
- そのあと「ミルクボーイでスクラム」の前説。
- 漫才に出てくるおかんが伝説の老兵と化していてゲラゲラ笑ってました。
- そのあとにスポンサーLT。
- こういうカンファレンスを「いい」と言えるセンスのある会社さんって素敵だよねと思いました。
基調講演:株式会社アトラクタ・永瀬美穂さん「今あえてのスクラム」
- 基調講演のスピーカーは株式会社アトラクタの永瀬美穂さん(@miholovesq)
- [誰に更新されているかわからない謎のWikipedia] (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E7%80%AC%E7%BE%8E%E7%A9%82)
- おっかけがいるんですかね…
- アジャイルコーチ
- 2013年に独立
- RUP開発からソフトウェア開発プロセスを知り始める
- 2000年代後半からXPやスクラムをやりだす
- アジャイルコミュニティの先達にいろいろ教えてもらった
- enPiT⇢学生のプロジェクト・ベースド・ラーニングにアジャイル導入
- Regional Scrum Gathering Tokyo(RSGT)の初回からの実行委員
- [誰に更新されているかわからない謎のWikipedia] (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E7%80%AC%E7%BE%8E%E7%A9%82)
- スクラムフェス大阪がオンライン開催になったことに関して
- RSGT2020はオフラインで"やり逃げた"
- スクラムフェス大阪に関しては、Discordもカオスでドン引きしていた(笑)
- オンライン開催になって更に**「うっ」となる**
- でも基調講演やりましょうというふうに腹をくくった
- なぜなら、苦手に挑戦すること自体に意義・価値がある
- 自称・尾藤たけしメソッド
- 劇団ひとりのコントの役で、サラリーマンがビートたけしになりきることを思い出す
- 自分ではない誰かになりきれば、なんでもできる
- スクラムマスターという仕事をしていると、恐れ・不安・不透明に慣れてきているはず
- Dave Thomas(達人プログラマー)曰く、「自分が置かれた環境で自分の経験を生かしてどう反応するかだ」
- 「うっ」と思う環境にあえて飛び込む
- 自称・尾藤たけしメソッド
-
Cynefin Framework(クネビンフレームワーク)の紹介
- 意思決定のための問題ドメイン分類
- 問題は大きく4つのドメインに分類できる
- シンプル(Simple) : 理解して、分類して、反応する
- 繁雑(Complicated):理解し、分析して、反応する
- 複雑(Complex):理解できないので探索して、理解して、反応する
- カオス(Chaos):まず行動して、理解して、反応する
- 問題は秩序系(シンプルで繁雑)と非秩序系(カオスで複雑)に分けられる
- アジャイルは非秩序系に強い
- 問題は大きく4つのドメインに分類できる
- 意思決定のための問題ドメイン分類
- ところでスクラムってなんなんでしょう?
- マネジメントのためのフレームワーク?
- スプリントを回して改善し続ける開発手法?
- 「プロセスやツールよりも個人との対話を」とマニュフェストで言っているのに、みんなプロセスの話ばかりする
- フレームワークってなんなんだろう
- 予見的プロセスと経験的プロセス
- 予見的プロセス:正しい計画を前提としてすすめる
- 経験的プロセス:経験をベースに計画を見直す
- 「スクラムは経験的プロセス制御(経験主義)の理論を基本にしている」
- と言う割に、みんな勝手に分類してない?分析してない?
- 染み付いた行動(パラダイム)の癖で予見的に動きすぎてない?
- エンジニアは「安全に倒す」というが、その「安全」の範囲が狭すぎる
-
安全にチャレンジするためのフレームワークこそがスクラムなのではないか?
- クネビンフレームワークで言う"Controlled Chaos"
- ふりかえりで「プロブレムに対するトライ」とか言ってない?
- そんなに単純に分類可能じゃない
- 単なる相関があるならトライとか言わずに今すぐやれ(笑)
-
「改善」じゃなくて「実験」してみよう
- 相関がなさそうなことをやると、因果がみつかることもある
- 染み付いた行動(パラダイム)の癖で予見的に動きすぎてない?
-
アジャイルなマインドセットで非秩序系を乗りこなそう
- 刺激になるかならないかもわからないことをブッこんでみよう
- (個人の行動特性として)冒険が苦手と思っているなら、逆の特性の人と組もう
- バディ、ペアという存在
- 違う特性の人達とチームを作る = ダイバーシティ
- クソほどムカつくけど「普通こうでしょ」がズレてる人と組むのは自分の可能性を広げる
- その代わりにクソほどムカつく(笑)
- 体験談を話せる場としてのコミュニティが必要
- でも苦労話で傷をなめ合うような世界はもうやめよう
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「実験してみた!」「大暴れしてみた!」「革命起こしたった!」、そんな話をする場にしよう
- 「話通じないんならいいでーす」と進路を変えられるくらい、先の世界をたくさん用意しておこう
-
今までの価値観とはすり合わせる必要はない
- COVID-19で、リモートワークだってやればできる、ハンコだってpdfになることがわかってしまった
- 単にいろいろな理由をつけてやろうとしなかっただけ
-
「既存の世界を良きものとしていた価値観は、新しいものを否定する」
- 既存の価値観で成功していたパターンと違うことをしてみよう
- 既存の価値観では新しいものを評価できないから
- 既存の価値観で事前に評価するのをやめて、実験して失敗して学習してみよう
- COVID-19で、リモートワークだってやればできる、ハンコだってpdfになることがわかってしまった
-
ちょっとした「うっ」は成長のチャンス
- 実験して失敗して学習しよう
- カンファレンスは実験の発表会にしよう
感想
ここからは感想というか自分語りです。
実は僕はいま会社でスクラムなんて一ミリもやっていなくて、要は完全な趣味と好奇心で参加費の18000円(僕の収入的には安くはない)を自腹切った身です。
まわりにそんなことする奴なんて当然おらず、アホちゃうか俺、とか参加する前は思っていたんですけど、1日目の時点であーこれ出てよかった奴だわ、と思いました。いや本当に。
"Don't ask for permission, beg for forgiveness. (許可を求めるな、やって謝罪しろ)"じゃないですけど、それぞれがやりたいことやればいいんですよね、多分。あとは「捨てる神あれば拾う神あり」で。
なんというかすごく勇気を貰えた基調講演でした。永瀬さんありがとうございました!
そしてDay2へ
明日は現職にも関係のあるAgile QA/Agile Testingに関係するセッションに参加してこようと思います!楽しみ!