この記事はBitVisor Advent Calendar 2021の23日目の記事です.
BitVisorに関する研究成果のうち一定以上のレベルにあるものは基本的には英語の論文で発表されると思います.よって,英語の論文だけ読んでおけば十分で,日本語の論文は読まない,という人も多いと思います.
でも私は,日本語文献には怪しげでトンガったものが多くあるので,それらを読むのは,少なくともfunではあると思っています.
BitVisorに関する日本語の論文の多くは情報処理学会から出版されています.もちろん電子情報通信学会や日本ソフトウェア科学会などの他の学会からも出版されています.
今回は情報処理学会から2021年に出版されたBitVisor関連論文を調べてみました.ここでは「関連論文」は,「情報処理学会の電子図書館でBitVisorという単語で検索して出てくる論文」という意味です.こんな感じで検索できます.
同じ論文の重複出現を削ると,計10本かな.BitVisor関連論文はまだまだ出続けています.
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Windowsにおけるスレッド挿入の起点ファイル情報伝播による長期証拠保全
田中 大樹,川古谷 裕平,岩村 誠,鄭 俊俊,毛利 公一.
情報処理学会論文誌 62(12). -
マルウェア解析のための高速かつ安全なVMI機構
森 瑞穂,味曽野 雅史,八巻 隼人,三輪 忍,本多 弘樹,品川 高廣.
コンピュータシステム・シンポジウム論文集. -
深層学習によるディスクアクセスパターンを用いたランサムウェア検知システム
程田 凌羽,平野 学,小林 良太郎.
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集. -
SleepHop: 動的バイナリ計装によるマルウェアのタイミング攻撃の無効化
鈴木 克弥,大山 恵弘.
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集. -
AMD SEVを用いてメモリが暗号化されたVMに対するIDSオフロード
能野 智玄,光来 健一.
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)2021-OS-153. -
動的解析システムのネットワーク接続の有無によるマルウェア検知精度の比較
梶原 友希,鄭 俊俊,毛利 公一.
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)2021-CSEC-92. -
ストレージアクセスパターンを用いた機械学習によるランサムウェア判別システムの精度向上に関する考察
程田 凌羽,平野 学,小林 良太郎.
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)2021-CSEC-92. -
準パススルー型ハイパーバイザによるメモリデータ収集機能の性能改善と評価
大森 貴通,水野 広基,牧原 京佑,平野 学,小林 良太郎.
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)2021-CSEC-92. -
Unikernelを用いたコンテナのためのハイパーバイザによる軽量高セキュアな実行基盤の検討
肥沼 健,並木 美太郎.
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)2021-OS-151. -
Lua言語処理系を組み込んだハイパーバイザによる柔軟で高セキュアなSDN基盤
尾内 智哉,並木 美太郎.
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)2021-OS-151.
BitVisorについてはさらっと触れているだけでほとんど関連していない論文もヒットしていますが,大半はBitVisorにかなり関連した論文のように思えます.どれもおもしろそうなタイトルなので,いずれヒマをみて読みたいなと思っています.「論文読む時間なんて,まったく取れないよ!」という人は,アブストラクトだけでもざっと眺めてみると,もし運や相性がよければ,「世の中にはおもしろいことやっている人がいるな,ぶっ飛んだやつがいるな」と心が和むかもしれません.