はじめに
はじめまして。
私は普段、スタートアップ企業のSES営業として、エンジニアの方のキャリアサポート/設計、案件参画までアシストするお仕事にメインで携わっています。
今回は、SES業界における案件参画プロセスの中でも、特に書類選考を突破するためのポイントについて、初学者の方に向けた解説記事を執筆いたしました。
▼私の自己紹介や会社紹介/前回の記事はこちら
※2023年のAdvent Calendarも社内で大盛りあがりでした!
SESとは
皆さん、「SES」という言葉をご存知でしょうか?
SESでの案件参画のためのステップを紹介していくにあたって、まずは「SES」という言葉についてご説明します。
SESとは、「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略称です。
エンジニアがおもにクライアント先に常駐し、クライアントが手掛けるソフトウエアやシステムの開発・保守・運用プロジェクトにて技術者の労働力を提供するサービスのことをいいます。※(1)
※(1)SESとは?SES企業のエンジニアの職種・年収・仕事内容・将来性を解説(マイナビ転職記事より引用)
本記事について
本記事は、システムエンジニアとしての初学者向けの方へ向けた内容 となります。
近年、システムエンジニアという職業が注目を浴び、初学者の方がエンジニアとしてキャリアをスタートさせるケースが増えています。
ただし、【プログラミングのスキルや知識はあるが、実務としてはこれから】という方も多く、フォローを受けながら実務経験を積める現場というのはどうしても倍率が上がりがちです。
そのような競争率の高い案件に参画するための、より効果的なアピール方法を、私の経験と考えをもとに執筆してまいります。
SESでの選考フロー
SESでの案件参画に至るまでの一般的な選考フローは、以下のように進みます。
- エントリー
- 書類選考
- 顔合わせ設定、実施
- 結果通知
本記事では 【2.書類選考】 にフォーカスして、アピールポイントや選考観点を解説していきます。
スキルシートとは
書類選考では、主に「スキルシート」と呼ばれる書類をもとに営業やプロジェクトマネージャー、募集プロジェクトに関わる様々な方により選考していきます。
スキルシートとは、主にIT業界で使われる、自身のスキルや経験をまとめた書類のことです。
採用面接で提出するような職務経歴書と似ていますが、より具体的にスキルや技術的な経験をアピールすることに特化して記載します。
具体的には、主に実務内容について下記内容を記載するケースが多いです。
- 参画期間
- 使用した技術/開発環境
- プロジェクトの規模
- プロジェクトでの役割
- 担当業務
- 自己PR
評価者が見る2つのポイント
書類選考で評価者が注目するポイントは、大きく分けて次の2点です。
1.経験
- 募集プロジェクトにおいて、応募者の経験がどのように活かせるか
- 応募者に対して、どのポジションを任せられるか
プロジェクト成功/推進のために、その方の力を借りるべきか慎重に判断していきます。
2.スキルシートの完成度
- 誤字脱字がないか/体裁が整っているか
- 得意分野がアピールされているか
- 視認性が高いか/情報が整理されわかいやすい状態か
- 同じ粒度の内容で、項目に記載できているか
- 箇条書きを適切に使用できているか
- 構造や形式が明確化されているか
- 具体的に記載できているか
- 数字を用いて伝えられているか
- 実績を具体的な名称で伝えられているか
- 具体的なエピソードが入っているか
経験した内容自体は変化させることができませんが、伝え方は変えることができます。
評価者も人間です。伝え方が適切であれば、誠実さやプロ意識が伝わります。
スキルシートを実際に作成しよう
それでは、より具体的なスキルシートのアピール方法を模索していきましょう。
こちらの章では、一般的にアピールになることや記載した方が良いこと を考えていきます。
「アピールになる」経験を記載しよう
スキルシートのフォーマットに従って、最低限の項目を埋めることができれば問題ないと考えていませんか?
これでは通る書類選考も通りません。
自身の担当作業をよく思い出して、下記のような経験がなかったか考えてみましょう。
一見ハードルが高い内容でも、実は担当していたケースもあるかもしれません。
-
ペアプロでのレビュー経験/レビュイー経験
- ペアプログラミング等でのレビュー経験があればそれも立派なレビュー経験です
- レビュイーとしての経験があれば、他者に自身のコードの説明をわかりやすく伝えられていたか、目的を擦り合わせてレビュー依頼ができていたか、という内容もアピールになります
-
新規参画者へのフォロー
- 実務としてのフォローでなくても、現場のお作法を教えた/チームの雰囲気に慣れるよう気遣いした、等の周りをみて行動のできる姿勢は評価されます
-
追加業務の対応
- 自身の作業が想定より早めに終わった際、自身から手挙げをして他の作業に着手できる積極性はどこの現場でも評価されます
-
期間に対しての作業量が適切か
- スキルシートは業務内容だけでなく、期間も同時にみられています。その期間に対しての作業量が適切か、誤解を招かないスキルシートの記載を意識しましょう。具体的には、製造メインの現場であれば、担当したステップ数や機能数、画面数を記載するのも良いですね。
-
今後どうなっていきたいかを記載できているか
- 初学者の方であれば特に、先方が期待することは「ポテンシャル」です。今後自身が何を目指すのか、モチベーションの高さを見せることができれば高評価です。
アピールになる一例は上記のみではありません。
ポイントは、【そのプロジェクトの中で評価/称賛された内容を盛り込めているか】 です。
上席の方やPMから称賛された内容をよく思い出して、スキルシートの自己PRや担当業務に盛り込んでみましょう!
スキルシートの書き方を工夫しよう
こちらは「スキルシートの完成度」にあたる部分です。
評価されていた内容をどのようにアピールするか、自己PRの一例とともに紹介していきます。
【自己PR一例】
Javaを用いたWebアプリケーション開発において、製造〜テスト、運用保守の経験があります。
製造工程においては、3ヶ月間で約3000行のコードを書く必要があり、3名チームでそれぞれ1000行ずつ対応しました。
任された機能は比較的難易度の低いものが多かったですが、進捗を遅らせることもなく、先輩方と同じボリュームのコーディングを期間内で対応したことは、PJ内でも大変評価いただきました。
また、15分調べ考えてもわからない時には、すぐに先輩やPMに質問をするように心がけております。質問する際にも相手の時間を取りすぎないよう、質問の要点をまとめ、目的を擦り合わせた上で確認するようにした結果、後輩へ「質問の仕方を教えてあげてほしい」と指示をもらったこともあります。
業務外では、Javaの知識を体系的に深めたいと考え、Java Silverの資格を取得しました。
次回はJava Goldの取得に向けて自己研鑽に励み、まずはPJ内で自身のみで対応できることを増やしていきたいと考えております。
上記文章の解説をしていきます。
- 「3ヶ月間で約3000行のコードを書く必要があり、3名チームでそれぞれ1000行ずつ対応」
- ⇒定量的に表せています
- 「進捗を遅らせることもなく、先輩方と同じボリュームのコーディングを期間内で対応したことは、PJ内でも大変評価いただきました」
- 「15分調べ考えてもわからない時にはすぐに先輩やPMに質問をする」
- 「質問の要点をまとめ、目的を擦り合わせた上で確認するようにした結果、後輩へ「質問の仕方を教えてあげてほしい」と指示をもらったこともあります。」
- 「業務外では、Javaの知識を体系的に深めたいと考え、Java Silverの資格を取得しました。次回はJava Goldの取得に向けて自己研鑽に励み、まずはPJ内で自身のみで対応できることを増やしていきたいと考えております。」
- ⇒実際に評価された内容の具体例となっています
- ⇒その方の仕事感のわかる文章です。ただし、マイルールを詳細に書きすぎるのは柔軟性に欠けると思われかねないため適切ではありません。
- ⇒具体的なエピソードが記載できています
- ⇒具体的な自己研鑽内容まで記載できており、今後の期待感へ繋がります。
また、上記では自己PRにフォーカスして紹介していますが、ワンステップ上を目指すのであれば、「メインは保守の仕事だったけど、改修も一部対応した」という作業内容だった場合に、コーディングの経験も実務経験として記載するという方法もあります。
その経験が短かったものでも構いません。
書類選考では、経験が短いかどうかよりも、「経験自体があるか、ないか」で判断されます。
短い経験を詳細に書いてしまった場合には、スキルシートだけでスキル感を良くも悪くも把握できてしまいます。
まずは、書類選考突破のため、相手に「この案件ではどんなことを経験したんだろう」と推測させたり、「実際に会話してみたい」と思ってもらえるスキルシート作成を目指してみましょう。
経験値が低いものはあえて抽象度を上げて書き、逆に評価されていた内容は具体的に書く ことで、より魅力の伝わりやすいスキルシートになります。
また、当たり前のことではありますが、スキルシートの構造や視認性も重要です。
誤字脱字がないか、初めてその内容をみた方へ伝わる文章となっているか、項目のヌケモレがないか。
空白があるのでは、印象アップには繋がりません。
時にはフォーマットの見直しも行って、ご自身の魅力が一番伝わる方法を模索してみてください。
まとめ
ここまで、スキルシートの書き方や魅せ方について紹介してきました。
ただ、これはあくまで一般的なもので一例に過ぎず、スキルシートでのアピール方法は人それぞれです。
上記参考にしていただいたうえで、自社の営業さんやエージェントなどのプロに相談し、よりブラッシュアップされたスキルシートの完成を目指してみてください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
SESで希望の案件に参画するための最初の関門は書類選考です。
皆さんがこの記事をみて、より素敵なスキルシートを仕上げてくださったら嬉しいです。