0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

AutoHotKeyでゲーマー向け人間工学的キーボードハック

Last updated at Posted at 2025-02-21

image_fx_ (2).jpg

概要

多くのゲーマーが使うWASDキー配置ですが、実際のところ D キーと間違えて、F キーを押した経験ありませんか?本記事では、そんな悩みを解決するため、CapsLockキーを押している間だけ自動でキー配置を右に一つずつシフトする、革新的なAutoHotKeyスクリプトをご紹介します。

なぜWASD配置は不便なのか?

WASD配置はゲームの標準として広く普及していますが、必ずしも人間工学に最適な配置とは言えません。

WASD配置は、タッチタイピングの基本であるホームポジションと大きく異なる配置になっています。ホームポジションでは左手人差し指が F キーに置かれるのに対し、WASD配置では同じ指が D キーを担当することになります。日常的にタイピング作業をする人ほど、無意識のうちに左手人差し指が F キーの位置に向かってしまい、意図せず D キーの代わりに F キーを押してしまうことがあります。このような muscle memory との不一致が、操作ミスやストレスの原因となっています。

ESDF配置のメリットと導入のハードル

実際、理想的なキーボード配置としては「ESDF」の方が、手の自然な位置で操作できると言われています。しかし、以下の理由からすべてのゲームでESDF配置に変更するのは難しいのが現状です。

  • 各ゲームごとにキーバインドの再設定が必要
    ゲームごとに設定が異なるため、毎回変更するのは手間がかかります。
  • キーバインド変更が不可能なゲームも存在
    一部のタイトルではカスタマイズができず、設定変更が行えません。
  • 一括での調整が困難
    キー配置を変更すると、他のキーとのバランスも変わるため、全体の再調整が必要になります。

解決策:AutoHotKeyによる一括シフト

そこで提案するのが、AutoHotKeyを利用した一括シフト方式です。

このスクリプトでは、CapsLockキーを押している間のみ、すべてのキー入力を右に一つずつシフトさせるため、普段はWASD配置を維持しつつ、必要なときだけESDF配置の快適さを実現できます。

セットアップ手順

  1. AutoHotKey公式サイトからソフトウェアをダウンロード&インストール
  2. CapsLockキーの機能を無効化(下記「CapsLockの無効化について」を参照)
  3. 下記のスクリプト全文をテキストファイルに保存し、.ahkファイルとして実行

CapsLockの無効化について

  • Google日本語入力ユーザーの場合
    設定手順はこちらをご参照ください。
  • その他のキーボードレイアウトの場合
    → 各OSの設定でCapsLockキーの機能を無効化してください。

スクリプト全文

以下が、今回ご紹介するキーボードシフト用のAutoHotKeyスクリプトです。

#HotIf GetKeyState("CapsLock", "T")
; 数字キー
$*1::Send "{Blind}0"
$*2::Send "{Blind}1"
$*3::Send "{Blind}2"
$*4::Send "{Blind}3"
$*5::Send "{Blind}4"
$*6::Send "{Blind}5"
$*7::Send "{Blind}6"
$*8::Send "{Blind}7"
$*9::Send "{Blind}8"
$*0::Send "{Blind}9"

; 上段キー
$*q::Send "{Blind}p"
$*w::Send "{Blind}q"
$*e::Send "{Blind}w"
$*r::Send "{Blind}e"
$*t::Send "{Blind}r"
$*y::Send "{Blind}t"
$*u::Send "{Blind}y"
$*i::Send "{Blind}u"
$*o::Send "{Blind}i"
$*p::Send "{Blind}o"

; 中段キー
$*a::Send "{Blind};"
$*s::Send "{Blind}a"
$*d::Send "{Blind}s"
$*f::Send "{Blind}d"
$*g::Send "{Blind}f"
$*h::Send "{Blind}g"
$*j::Send "{Blind}h"
$*k::Send "{Blind}j"
$*l::Send "{Blind}k"
$*;::Send "{Blind}l"

; 下段キー
$*z::Send "{Blind}/"
$*x::Send "{Blind}z"
$*c::Send "{Blind}x"
$*v::Send "{Blind}c"
$*b::Send "{Blind}v"
$*n::Send "{Blind}b"
$*m::Send "{Blind}n"
$*,::Send "{Blind}m"
$*.::Send "{Blind},"
$*/::Send "{Blind}."

#HotIf

AutoHotKeyコマンドの解説

1. $ 修飾子

$ 修飾子は、ホットキーの再帰呼び出しを防止するために使用されます。
たとえば、以下の例では、 d キーに $ を付けることで、aキー入力時に d キーのキーバインドが誤って連鎖的に発動するのを防いでいます。

a::Send "bcd"
$d::Send "efg"
; $がない場合、aを押すと「bcefg」と出力される

参考:$の効果検証

2. * ワイルドカード修飾子

* 修飾子を使用すると、ShiftCtrlAltなどの修飾キーが押されている状態でもホットキーが確実に発動します。

*#c::Run "calc.exe"  ; Win+C、Shift+Win+C、Ctrl+Win+Cなど、すべての組み合わせで有効

参考:Hotkeys Documentation

3. {Blind} モード

{Blind} を指定することで、既に押されている修飾キーの状態をそのまま維持しながら新たなキー入力を送信できます。

これにより、CapsLockの状態やその他の特殊キーの影響を受けずにキーシフトが可能です。

+s::Send "{Blind}abc"  ; Shiftを押しながらsを押すと「ABC」と出力される

参考:Send Documentation

4. #HotIf 条件分岐

#HotIf ディレクティブは、指定した条件が成立した場合のみホットキーを有効にします。
本スクリプトでは、GetKeyState("CapsLock", "T") により、CapsLockキーがオンの時だけシフト動作が実行されるようになっています。

#HotIf GetKeyState("CapsLock", "T")
; このセクション内のホットキーはCapsLockがオンの時のみ有効
#HotIf

参考:HotIf Documentation

5. GetKeyState() 関数

GetKeyState() 関数は、指定したキーの状態(オン/オフ)を取得します。
第二引数に "T" を指定すると、トグル状態(例:CapsLock)が取得され、戻り値はオンなら 1、オフなら 0 となります。

GetKeyState("CapsLock", "T")  ; CapsLockのトグル状態を確認

参考:GetKeyState Documentation

おすすめの使い方

  1. ゲーム起動前にスクリプトを実行
    常駐させることで、いつでも簡単に切り替えが可能です。
  2. 必要なときだけCapsLockキーを押下
    普段はWASDのまま、快適なタイミングでESDF配置に切り替えられます。

最後に

このAutoHotKeyスクリプトを使えば、普段の操作に支障をきたすことなく、従来のWASD配置を維持しながら、必要なときだけESDF配置の快適さを享受できます。長時間のプレイによる疲労を軽減し、ゲーム環境をより洗練されたものにしましょう。

参考リンク

0
0
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?