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Lie代数こんにちは

Last updated at Posted at 2019-09-17

Introduction

この記事はTexの練習とQiitaでどのくらい数学の記事がかけるのかのお試しのための記事です。Lie代数については自分で勉強した内容をまとめました。
教科書は特にもちいてないのですが、参考文献を最後に挙げておきます。(ただしよんでないので良いか否かはわかりません)
また著者はLie代数はまったく専門ではないので数学的質問はある程度までしかお答えできないかもしれません、しかし質問や誤りや、改善などがある場合は気軽にコメントお願いします。

Lie代数入門

$K$を$\mathbb R$か$\mathbb C$かまたは任意の標数$0$の体であると仮定します。

定義:Lie代数

$\mathfrak g$ ,$[,]$ がLie代数であるとは以下の条件が満たされているときのことを言う。
・$\mathfrak g$が有限次元ベクトル空間である。
・$[,]:\mathfrak g \times \mathfrak g \rightarrow \mathfrak g $が以下の条件を満たすもののことを言う。
$[,]は成分ごとに双線形である$
$[x,x]=0(x\in \mathfrak g)$
$[x,[y,z]]+[y,[z,x]]+[z,[x,y]]=0(ヤコビ律、結合法則の類似物)$

定義:Lie代数の構造定数

Lie代数の構造定数とは以下の手続きで得ることのできる立方体型の行列のことを言う。
$v_1〜v_nを \mathfrak g$のベクトル空間としての基底であるとする。このとき

$[v_i,v_j]=\sum_{k=1}^n {c^k_{ij}} v_k$

と表したときの係数を$i,j,k$ごとに並べた行列$(c^k_{ij})_{i,j,k=1〜n}$のことをLie代数の構造定数という。
ただしあまりLie代数の場合は基底をとって表現してもかならずしも有用とは限らない。

定義:部分Lie代数とLie代数のイデアル

$\mathfrak h \subset \mathfrak g$が$\mathfrak g$の部分Lie代数$\overset{\mathrm{def}}{=}$
$\mathfrak h$ が$\mathfrak g$の部分ベクトル空間であり、ブラケット積に関して閉じている集合のことである。

$\mathfrak h \subset \mathfrak g$がLie代数$\mathfrak g$のイデアル$\overset{\mathrm{def}}{=}$
$\mathfrak g$の部分ベクトル空間であり、$[\mathfrak g,\mathfrak h] \subset \mathfrak h$ を満たす集合のことである。

例:可換なLie代数

$Vをベクトル空間として、任意のv,w \in V に対してブラケット積を[v,w]=0と定義する。$
するとこのブラケット積はLie代数の定義をみたしており、$(V,[,])はLie代数になる。$
このようにブラケット積が常に$0$になるLie代数のことを「可換Lie代数」という。

例:結合的代数

$(A.*)をK上の結合的代数であるとする。$このとき$[x,y]=x*y-y*xと定義する$
すると$(A.[,])$はLie代数になる。もし具体的にイメージできなかったら$n \times n$行列全体のなす環をイメージすると良い。行列全体の集合には和も積も入っているが、積は可換ではない。しかしこの演算は結合的代数である。

部分Lie代数の例

$\mathfrak gl や \mathfrak sl$と部分Lie代数の例

\mathfrak gl = \Bigl\{ X \in M_n(K)|det(X)\neq 0 \Bigr\}

\mathfrak sl = \Bigl\{X \in M_n(K)|Tr(X) = 0 \Bigr\}

と定義する。このとき$\mathfrak sl \subset \mathfrak gl であり \mathfrak sl$は部分Lie代数になっている。

定義:Lie代数の同型

$\mathfrak g と\mathfrak g^{'} $がLie代数として同型であるとは線形写像$φ:\mathfrak g \rightarrow \mathfrak g^{'}$が同型写像であって$φ([x,y])=[φ(x),φ(y)]$となり、写像とブラケット積が交換することとする。

 

Remark;Lie代数の分類について

Lie代数$\mathfrak g$が

$A_n$ 型 $\Leftrightarrow$ $\mathfrak g \cong \mathfrak sl_n$
$B_n$ 型 $\Leftrightarrow \mathfrak g \cong \mathfrak so_n$
$C_n$ 型 $\Leftrightarrow \mathfrak g \cong \mathfrak sp_n$
$D_n$ 型 $\Leftrightarrow \mathfrak g \cong \mathfrak so_n$
これらを「古典型」Lie代数

$E_n$ 型 今回は省略
$F_n$ 型 今回は省略
$G_n$ 型 今回は省略
これらを「例外型」Lie代数という。

Remark:おわび

本来ならば上記の分類定理はとても素晴らしい理論なので紹介したいのですが、今回は割愛させていただきます。適宜Lie代数の参考書をみてください。

定義:単純Lie代数

Lie代数 $\mathfrak g$ が単純 $\overset{\mathrm{def}}{=}$
$\mathfrak g$ が0でないベクトル空間であり $\mathfrak g$ のイデアルは$0$と $\mathfrak g$ 以外には存在しない。
このことを単に非自明なイデアルを持たないと表現する。

定理:有限単純Lie代数の分類定理

$Kを\mathbb C もしくは標数0の任意の体とする。このとき$。
$\mathfrak g が単純 \Leftrightarrow \mathfrak g$ は$A_n,B_n,C_n,D_n,E_n,F_n,G_n$のいずれかの型にLie代数として同型

定義:Lie代数の交換子イデアル

$\mathfrak h$ と $\mathfrak r$ を $\mathfrak g$のイデアルとする。このとき

[\mathfrak h,\mathfrak r] \overset{\mathrm{def}}{=} \Bigl\{[x,y] |x \in \mathfrak h ,y \in \mathfrak r \Bigr\}

で生成される $\mathfrak g$ の線形部分空間とする。

このとき$[\mathfrak h,\mathfrak r]$ は実は$\mathfrak g $のイデアルになっている。

定義:Lie代数の導来列

$D(\mathfrak h) \overset{\mathrm{def}}{=} [\mathfrak h ,\mathfrak h]$とする。このとき以下帰納的にLie代数$\mathfrak g$に対して
$D^0(\mathfrak g) \overset{\mathrm{def}}{=}[\mathfrak g,\mathfrak g] $
$D^{n+1}(\mathfrak g) \overset{\mathrm{def}}{=} D(D^n(\mathfrak g))$
と定義する。この交換子イデアルから始まるイデアルの列をLie代数の導来列という。

定義:可解Lie代数

$\mathfrak g$が可解Lie代数であるとは、ある自然数$nが存在してD^n(\mathfrak g)=0(自明なイデアル)となることである。$

定義:Lie代数の直和

$\mathfrak g$ ,$\mathfrak g_r$ をLie代数とする。このときベクトル空間としての直和
$\bigoplus_{i = 1}^r {\mathfrak g}_i$
に対してブラケット積を以下の様に定める。

$ [(x_1,x_2,,,x_r),(y_1,y_2,,,y_r)]$ $\overset{\mathrm{def}}{=} $ $[[x_1,y_1],[x_2,y_2],,, ,[x_r,y_r] ]$ (ただしx_i,y_jはそれぞれ $\in {\mathfrak g}_i,{\mathfrak g}_j)$
するとこの直和は上記ブラケット積によってLie代数になる。これをLie代数の直和という。

定理:Lie代数の分解定理

$K$を$\mathbb C$または標数0の「代数閉体」とする。(つまり代数方程式の解をすべて含んでいる)
このとき任意のLie代数$\mathfrak g$に対して、その可換なイデアル$\mathfrak r$と半単純(後述)な部分Lie代数 $\mathfrak s$が存在していて

$\mathfrak g$ = $\mathfrak s$ $\oplus$ $\mathfrak r$

を満たしている。
ただしここで注意しておかなければ行けないのは、この「$=$」は線形空間としての「$=$」であり、Lie代数として同型というわけではない。このような$\mathfrak s$を「Levi代数」 $\mathfrak r$を「根基」と呼ぶ。また補足として、$\mathfrak r$ は$\mathfrak g$ に対して一意に定まるが、$\mathfrak s$ は 一意に定まるとは限らない

Remark:半単純Lie代数

$\mathfrak g$ が半単純
$\overset{\mathrm{def}}{=}$ $\mathfrak g$ がLie代数として「単純Lie代数の有限個の直和」と同型。

参考

リー環の話 (日評数学選書) 単行本 – 2002/6/1/佐武 一郎 (著)

物理数学III講義ノート/上田正仁(著)

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