はじめに
スキルアップAIの長期インターンに参加し、修了したので内容と感想について書いていこうと思います。
スキルアップAI長期インターンとは
私が参加したインターンの正式名称は「AIエンジニアになるための長期インターンプログラム」です。スキルアップAIのHPによると、「AI領域で活躍するための長期インターンプログラム、半年でAIエンジニアの基礎スキルを身に着ける!」とあります。実際に内容としては人工知能に関する知識、それに関連する数学(確率統計、線形代数など)の知識、プログラミングの知識を全く持たない人でもAI人材を目指せるようになるようなものとなっていました。応募条件としても理系の学生のみ、などという制限はなく、人工知能に興味を持っている学生ならだれでも応募できました。私が参加したのは2023年卒、2期生のインターンです。
参加した理由
私がこの長期インターンに参加した理由を説明するためにまず、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催しているE資格という人工知能の資格について説明します。
E資格とは
ディープラーニングに関して、かなり深い内容まで出題される資格です。日本で最も難しい人工知能に関する資格試験だと言われています。JDLAが主催している試験にG検定というものがありますが、この上位資格にあたります。G検定は誰でも受けることができますが、E資格はJDLAの認定プログラムを修了した人のみ受験することができます。しかし、この認定プログラムの受講料が非常に高額です。最近は安い講座が出てきましたが、私が最初にE資格を受験しようとした数年前は相場が20万~30万円でした。大学生が払うのにはかなり厳しい額です。
E資格とインターンの関係
上述のとおり、E資格を受けるために受講しなければならない講座はどれも高額なのですが、このスキルアップAIのインターンの中には、E資格の認定プログラムの内容が含まれています。つまり、**この長期インターンを修了すればE資格の受験資格が得られます。**このE資格の受験資格の取得が私が長期インターンに参加した理由になります。
進め方
インターンに参加するとSlackに招待され、そのSlackに講義資料とその対応するプログラム、講義動画が見られるサイトへのリンクが貼られます。それらを利用して学習を進め、定期的にテストが実施され、合格すると次の講座を受けられるようになる、という流れになります。
内容
長期インターンプログラムには、スキルアップAIが開講している複数の講座が含まれています。以下がその講座になります。
- AIジェネラリスト基礎講座
- 機械学習のためのPython入門講座
- 機械学習・ディープラーニングのための基礎数学講座
- 現場で使える機械学習・データ分析講座
- 現場で使える機械学習・データ分析基礎講座
1. AIジェネラリスト基礎講座
人工知能の歴史や、仕組み、主なモデル、法律などが内容に含まれており、G検定に対応した範囲となっています。
2. 機械学習のためのPython入門講座
Pythonの基本的な文法から始まり、Numpy、Pandas、matplotlib、Seabornを学んだあとに、データの前処理の仕方、機械学習モデルの構築の仕方を実際にコードを書きながら学びます。
3. 機械学習・ディープラーニングのための基礎数学講座
確率統計、微分、線形代数の中から機械学習とディープラーニングに関係する内容を学習します。基礎的な内容のあと、勾配降下法やロジスティック回帰など、具体的な使用例について学びます。
4. 現場で使える機械学習・データ分析講座
Pythonを用いて、データ解析の際に用いる各種技法について学びます。回帰問題やモデルの評価指標、正則化、正規化など様々な分野について実際にコードを書きながら学んでいきます。
5. 現場で使える機械学習・データ分析基礎講座
ディープラーニングの仕組み(誤差逆伝播法、オプティマイザー、損失関数など)からはじまり、CNN、RNN、トランスフォーマー、強化学習などについて学んでいきます。KerasやPytorchなどのディープラーニングのライブラリは使わずに、numpyなどの基本的なライブラリのみ使用して基本的なモデルのプログラムをかけるようになることが必要です。そのほか発展的なモデルについては知識として学んでいきます。修了条件として、選択式の知識テストとスキルアップAIが作成したカタカナ文字データセットの分類問題において精度98%以上を出せるモデルを構築するプログラミングテストの2種類を合格する必要があります。1~4までの講座はそれぞれ約1ヶ月で学習をしてテストを受けますが、この講座は3か月ほどかかります。
感想
私は大学で人工知能を用いた画像解析の研究を2つ行っており、G検定についても数年前に合格済みなので、1~4までの講座はあまり難しく感じず、5の講座の勉強にほとんどの時間を費やしました。特に、最後の講座のCNNのところまでは、普段研究で使っているモデルなどについて、「こういう仕組みで動いているんだ、面白い」くらいの感じで学習できましたが、触れたことのないRNNやトランスフォーマー、強化学習の分野の勉強は大変でした。
私はE資格の受験資格、およびその勉強としてインターンに参加しましたが、とても勉強になりました。大学で行っている研究に関しても生かせる知識がたくさん得られたので参加して本当に良かったと思います。
Slackの自己紹介を見る限り、人工知能に関して研究やインターン経験があるのは数人で、ほかの人は全く知識がないようでした。そういう人はこの半年間本当に大変だったと思うし、最後の修了テストまで合格した人はすごいと思います。人工知能について知識がない人は大変だと思いますが、そのような人でも理解ができるようにかなり基本的な部分から丁寧に説明をしてくれるので、人工知能に興味がある人は参加してみることをオススメします。