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Visitorパターンについて

Last updated at Posted at 2020-03-24

はじめに

業務でVisitorパターンを実装する機会があり、はっきりと理解していなかったので、以下の書籍から学習したことをまとめたものなります。

概要

Visitorパターンはデータ構造と処理を分離することができます。

Visitorパターンでは、データを保持するクラスとアルゴリズムを実装するクラス(Visitorクラス)に分けます。

もし、アプリケーション内にデータ構造があり、いくつかのアルゴリズムがそのデータ構造にアクセスする場合には、

Visitorパターンを利用することで、データ構造はデータの保持とアクセスに集中することができます。

既存のクラスを修正することなく、機能を拡張できます。(オープン・クローズドの原則)

背景

データ構造の中に多くの要素が格納されており、その各要素に対して、何らかの処理をしたい。

この時、「処理」のコードはどこに書けばいいだろうか。
データ構造を表しているクラスの中に書く、とすると
新しい処理が必要になるたびに、データ構造のクラスを修正しなければならない。

上記の問題を解決するために、Visitorパターンが有用とされています。

特徴

Java言語で学ぶデザインパターン入門によれば、データ構造のクラスとアルゴリズムを記述するクラスには、以下に示すような関係性があります。

データ構造を保持するクラスを Visitable クラスとし、データ構造に対してアルゴリズムを記述するクラスを Visitor クラスとします。

Visitor クラスには visit(visitable) メソッドを定義します。
visit()内では、データ構造のクラスの属性や振る舞いにアクセスしながら、アルゴリズムを記述するようにします。

一方、Visitable クラスには accept(visitor) メソッドを定義します。
accept(visitor)内では、引数で渡されたVisitorオブジェクトのvisit()を呼び出します。

サンプルコード

データ構造のクラス(Visitableクラス)を記述します。
リスト型のデータを保持するクラスと辞書型のデータを保持するクラスを記述しています。
それぞれのクラスにVisitorクラスを受け入れるメソッド( accept() )を定義します。

visitable.py
class VisitableList(list):

    def accept(self, visitor):
        visitor.visit_list(self)

class VisitableDict(dict):

    def accept(self, visitor):
        visitor.visit_dict(self)

次に、アルゴリズムを記述するVisitorクラスを記述します。
以下のコードでは、先に記述したデータ構造のクラスで保持するデータを単純に標準出力するようにします。

visitor.py
class Printer(object):
    def visit_list(self, instance):
        print('リストの中身: {}'.format(instance))

    def visit_dict(self, instance):
        print('辞書の中身のキー: {}'.format(
            ', '.join(instance.keys())
        ))

次に、データ構造のクラスとVisitorクラスを以下のサンプルコードのように使用します。
データ構造のクラスのオブジェクトを生成して、
データ構造のオブジェクト.accept(Visitorオブジェクト)
のように記述します。

main.py

def main():

    vistitable_list = VisitableList([1, 2, 3, 5])
    vistitable_list.accept(Printer())
    vistitable_dict = VisitableDict({'one': 1, 'two': 2, 'three': 3})
    vistitable_dict.accept(Printer())

if __name__ == "__main__":

    main()
$ python main.py
リストの中身: [1, 2, 3, 5]
辞書の中身のキー: one, two, three

イントロスペクションの特性を利用してVisitorクラスとVisitableクラスを接続

イントロスペクションとは、対象物(今回はオブジェクト)について、その素質やカバーする範囲、
可能なことを範囲するために、調査できる機能のことを指します。

例えば、オブジェクトに対して「どのようなプロパティを持っているか」を参照や取得したりすることをイントロスペクションと呼びます。

次のコードはイントロスペクションの特性を活かして、VisitableクラスとVisitorクラスを接続するクラスを記述しています。

class Connect():
    def __init__(self, visited, vistor):
        self.__cls = visited.__class__.__name__
        self.__method_name = 'visit_%s' % self.__cls
        self.__method = getattr(vistor, self.__method_name, None)

        # visit()を実装 
        self.__method(visited)

vistied.__class.___name__ 、や getattr() がイントロスペクションにあたります。

以下のコードで、先に記述したPrinterクラスも使用して実装します。

main.py
if __name__ == "__main__":

    Connect([1, 2, 3], Printer())
$ python main.py
リストの中身: [1, 2, 3]
辞書の中身のキー: one, two, three

イントロスペクションを使用することで、Visitableクラスにaccept()を実装する必要がなくなります。

所感

Java言語で学ぶデザインパターン入門では、基本の形として、
データ構造のクラスにaccept()を、アルゴリズムを実装するクラスにはvisit()メソッドを定義します。
そして、定義したメソッド内で、互いのメソッドを呼び出すようにしています。(ダブルディスパッチと呼ばれる手法)

エキスパートPythonプログラミング 改訂2版では、Pythonでは、動的にオブジェクトの属性を参照することができ、結果的にaccept()メソッドを使用せずとも、Visitorパターンを実装できることを知れました。

いずれにしても、visit()メソッドを定義クラス(Visitor)には、データ構造のクラスの属性や振る舞いを十分に知った上で実装する必要があると思います。

参考文献

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