この記事は技術士(Professional Engineer) Advent Calendar 2024 24日目の記事です。
概要
技術士試験についてのAdvent Calendarを発見しました。1ヶ月程前に1次試験を受験しましたが、正式な合否は来年の2月に発表とのことです。但し、解答は既に公開されているので、自己採点してみたら、どうやら合格していそうなので、この記事を投稿しました。
そもそも技術士試験について知らない方向け
実は過去に試験申し込み時に思ったことをまとめて以下の記事を投稿しました。この記事に試験の概要などもまとめています。
受験の動機
技術士試験は技術系の国家試験、国家資格の中で最高峰(にして最高難易度)の試験と言われています。今年は平成19年度に現在の技術士法が施工されて実施された技術士試験として初めて合格率が10%を下回りました。と言っても例年が簡単な訳ではなく、平均で合格率が10%前後。。。これは難関士業の国家試験の合格率に匹敵します。。。 この試験の合格には技術的な知識だけでなく、「専門的学識」「問題解決」「マネジメント」「評価」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「技術者倫理」「継続研鑽」が必要とされています。目標も締め切りも無く闇雲に勉強を続けるのはなかなか大変ですが、技術者としての自己研鑽の1つの通過点に技術士試験合格を置くことで、日々の業務での学びや、自己研鑽をする時の意識が変わるのではないかと思ったことと、将来的に今のように若さだけで何とか押し切るという戦法が通じなくなった時に使える武器を増やしておくことも目的に技術士を受験しようと考えました。
1次試験の受験対策
情報工学部門を受験しようと思っている方はIPAの高度試験、情報処理安全確保支援士試験合格者の特権専門科目免除を用いての受験がお勧めです。専門科目は午前中2時間、適正科目と基礎科目が午後からそれぞれ1時間という中々のハードスケジュールです。使える特典は最大限に用いて、減らせる試験科目はガシガシ減らしましょう!
技術試験の合格率は10%前後と述べましたが、実はそれは二次試験の合格率です。詳細は上記の過去記事に掲載していますが、技術士はいきなり1次試験、2次試験と受験することが出来ません。まずは1次試験に合格後数年の実務経験を積む必要が有ります。筆者は情報処理安全確保支援士試験に合格しているため、専門科目の免除を受けられました。よって、適正科目と基礎科目を受験しました。試験対策には以下の書籍を利用しました。
技術士教科書 技術士 第一次試験 出るとこだけ!基礎・適性科目の要点整理 第2版
1次試験の重要なテーマを見開き式で解説しており、重要度が★の数で表されており、隙間時間に勉強するのに最適なテキストでした。
技術士教科書 技術士 第一次試験問題集 基礎・適性科目パーフェクト 2023年版
過去問集で毎年改訂版が出版されています。筆者の友人が受験するならとプレゼントしてくれたのですが、過去記事で少し触れましたが、受験申し込み時期の勘違いで2023年は受験出来ず。。。 2024年の受験となりました。17回分解けると有りますが、ダウンロード期限を確認していなかったため、8年分のダウンロードは出来ませんでした。。。早めに確認しておけば良かったです。。。ただ、書籍に記載されている7年分を熟すだけでも結構な時間を要したため、ダウンロード出来ていたとしても手が付けられ無かった可能性は高いです。要点整理でザッと勉強をした後、兎に角過去問を熟すという方法で試験対策をしました。
実際に受験をしてみて
筆者は様々な資格試験をこれまで受験してきましたが、大抵の試験は試験申し込みをしても当日受験に来ない(欠席)人が数人は居て、午後Ⅱまで試験の有るIPAの高度試験にもなると最後の方は空席が目立つという光景も珍しくないのですが、流石に技術士試験を申し込むレベルの人にはそういう人は居ないみたいで、試験室は大教室にも関わらず満席でした。加えて業界での技術士の人気が受験者数にも現れており、特に建設部門の受験者はダントツに多く、複数の試験室に分かれていました。(情報工学部門は1部屋)これは筆者が7年分しか解かなかったので問題パターンを完全に把握出来ていなかったためか、はたまた過去問が多いと油断している受験者に一泡吹かせたいという作問者の意図(それとも作問者が交代した?)か分かりませんが、以下の様に、過去問では見たことが無い形式の問題が出題されていて少々焦りました。。。 加えて、基礎科目の各分野の6問から3問選んで解答する方式はマークミスをしないか正直不安でした。見直しを何度もしてマークミスをしていないか何度も確認しましたが、案の定数ヶ所マークミスをしていました。。。 間違って3問以上解答すると失格って。。。技術士はうっかり者は決してなれないという厳しい掟が有る様です。。。
情報工学部門の試験室は満員御礼状態でしたが、午前の専門分野試験で別の分野の試験室でスマートゴーグルを身に付けていた受験者が失格になったそうです。技術の進歩で便利な物が増えるのは良いのですが、それで不正を働こうとする人が出て来るのは悲しいことです。今回の件が過失なのか、故意なのか分かりませんが、(仮に過失でも)失格になると3年間受験資格を取り消されます。受験時の持ち物には注意したいものです。
- 適正科目の場合
以下の2問の様に語群が与えられ当てはまらない1つを選ぶという形式です。条文をうろ覚えだと解答に悩みます。因みに答えはそれぞれ⑤と②です。
- 基礎科目の場合
ブリッジ回路の出題には驚きました。少なくとも過去7年間に電気回路の問題の出題は有りませんでした。基礎物理学の範囲?として出題されたのかもしれません。この問題は解き方を知っていると一瞬で答えが出ますが、知らないとΩの法則やキルヒホッフの法則を地道に適応する必要が有り、解答するのに手間取ります。因みに答えは③です。
過去問とそっくりさんの問題も。。。以下の問題は過去問で粗同じ図が用いられ、そして解答する内容(不適切な選択肢を選択)も同じ、そして選択肢の文章までそっくり。。。ということで過去問の答えを覚えていた人はそのまま。。。間違った選択肢を。。。実は数値が微妙に変更されていました。答えは⑤です。(筆者は引っ掛かりませんでした。)
過去問と比較して適正科目では重箱の隅的な条文の問題が増加していた様に思います。基礎科目では簡単に解く方法を知らなければ手間取る問題や検算に手間を要する問題が増えた様に思います。ひょっとすると1次試験は今後難化する方向?なのかもしれません。2次試験も合格率が10%を切ったという報道が出ていましたが、1次試験の結果が出る来年の2月頃に1次試験の合格率も例年と比較して下がったと出ないことを願うばかりです。。。ただ、受験部門によって1次試験の合格率にバラツキが有ります。ひょとすると適正科目、基礎科目以上に専門科目での差が出やすいのかもしれません。。。
- 引用元
まとめ
技術士1次試験を受験したので記憶が薄れてしまわないうちに記事を投稿しようと思いつつ、1ヶ月後になりました。実は筆者は電気電子部門の1次免除資格を持っているので2次試験は(情報工学部門でも)実務経験さえ積めば受験が可能にも関わらず、勘違いで今回受験申し込みをしました。。。 しかし、1次試験の試験対策をして久し振りに化学の問題や力学の問題を見て危険物取扱者試験を学生時代に受験していた頃のことを思い出しました。また、技術士法など関連法規も学ぶことが出来たので、良い経験が出来たと思います。
最後に
IT業界に身を置いてもうすぐ10年ぐらいになりますが、この業界程同じ技術者やSEを名乗ってる人達でもピンキリの落差が激しい業界も珍しいのではないかと筆者は思います。まずこの業界には業務独占資格が有りません。例えばITパスポート合格レベルのIT知識が無ければSEの業務をやってはいけないという様な法律は存在しません。よって誰でも参入できますが、それがかえって技術力格差の激しい業界にしてしまっているのではと思います。例えば医師や弁護士、公認会計士、税理士等はその資格を持たずに無資格で業務を行えば逮捕されてしまうため、国家資格を突破した人しか業務に就けません。よって最低限の知識レベルが大変高いレベルです。ところがこの業界ではそうは問屋が卸しません。中央値を知らないデータサイエンティストやURLとワイルドカードを混同しているSEが居ても1全く問題が有りません。かく言う筆者は”ピン”側の高いレベルの技術者なのかと問われると、これは返答に窮します。。。人様が筆者をどう見ているのかは分かりませんが、筆者自身が理想とする”ピン”側の技術者のレベルにはまだ全然達していないというのが正直な感想です。では理想に近付くには何が必要だろうと考えた時に、まず日々の業務から新しい知識を吸収して成長していくという方法が挙げられます。但し、業務上の習得だけでは不十分でしょう。そうなると業務以外でも自己研鑽をすることになりますが、この時漠然と◯◯について勉強すると開始しても、締切も終わりも無い勉強を根気強く続けられる程、人間は意思が強く持てません。少なくとも筆者は挫折してしまいます。。。 よって今後の自己研鑽の目標に、そして将来(今より技術士のブランド力が向上していると見込んで)差別化のために、技術系として最高峰の資格”技術士"を取りたいと思います。とりとめも無く筆を走らせてしまいましたが、数年後には2次試験の受験が控えているので今後も日々の精進を怠らずに、万全の体制で2次試験に臨める様に研鑽に努めたいです。
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筆者が実際に目撃した事例です。彼らは昨日今日仕事に着いた訳ではなく、何なら筆者よりキャリアが長い筈なのですが、こういう事例が許されるのがIT業界の懐の深さと解釈するべきなのかもしれません。。。 ↩