MicrosoftがIE(Internet Explorer)を廃止して数ヶ月が経ちました.かつてWindowsのWebブラウザと言えばIEと言われていた時代が有ったことを思うとICT技術の移り変わりの速さは目を見張るものが有ります.IEが廃止されて困るのはIEでしか動作しない社内システムが正常に動作しなくなることです.社内システムは社外からアクセスされないため優先順位が極めて低くなるということと,長年に渡る運用期間に肥大化したために,手直しに膨大な時間と人的リソースが必要?とされるため誰も手を付けたくない触らぬ神に祟りなしということなのでしょう
.本来ならば今年の6月までにEdgeやGoogle Chrome対応化が完了しておくことが理想なのですが,先述の経緯で取り残されているシステムは少なくないでしょう.そこでMicrosoftは救済策を提供しています.以下がその方法です.
この方法でIEモード(IE互換モード)を用いてMicrosoft EdgeでIE専用サイトを閲覧出来ます.ところがこの方法には致命的な欠点が有ります.何と90日間しか設定が維持されず,90日が経過すると消えてしまいます.よって再設定しなければなりません.滅多に利用しないシステムならまだしも,定期的に利用するシステムとなれば死活問題です.よって,90日制限なしにIEモードを利用する方法はないものかと色々探っているとレジストリを操作することで,90日制限に悩む必要が無くなるとのこと.しかし,レジストリをマウス操作で編集するのは煩雑な上に,失敗すると最悪PCが起動しなくなります.よって今回は実験環境のVM上でPower Shellを用いてレジストリ操作を行うスクリプトを作成して,期間制限の無いIEモードを実現したいと思います.
スクリプトの実装
スクリプトはPower Shellで実装しました.実は筆者はかつてPower Shellを業務で利用して散々な思いをしたため,正直な所,Power Shellは嫌いです.一瞬Pythonで実装しようかと思ったのですが,Pythonで実装してしまうと,実行するための環境を用意するのが難しい環境では実行できないため,Windows標準のシェルであるPower Shellで実装することにしました.
copy ie_mode_list.xml c:\
reg add "HKCU\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge" /v InternetExplorerIntegrationLevel /t "REG_DWORD" /d "1" /f
reg add "HKCU\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge" /v InternetExplorerIntegrationSiteList /t "REG_SZ" /d "c:\ie_mode_list.xml" /f
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以下のサイトを参考にしてスクリプトを作成しました.大変有益な情報をアップしてくださっている方々に感謝です.
参考資料
URLリストを作成
IEモードで開くURLのリスト(XML形式)を作成します.上記スクリプトで登場しているファイル名に合わせるならば,ie_mode_list.xml
です.このリストの作成はMicrosoftの公式サイト(IEモードで開くサイトを管理するツールのドキュメント)が非常に参考になりました.
<site-list version="221017.0">
<site url="http://example.com">
<compat-mode>Default</compat-mode>
<open-in allow-redirect="true">IE11</open-in>
</site>
</site-list>
参考資料
2022/10/20追記: IEモードが不要になった時のために
IEモードが不要になった時のためのスクリプトを追加しました.
reg delete "HKCU\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge" /f
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参考資料
完成したツールを公開
完成したツールをGitHubで公開しました.友人からこのツールを欲しいと言われていたので,GitHubで公開しておけば共有もし易いなという判断です.具体的な使い方のマニュアルもREADMEとして記載しています.MITライセンスですのでIssue(バグ,要望), Pull Requestは大歓迎です.
まとめ
社内システムでIEモードで利用する必要が有るシステムが幾つか有り,加えて頻繁に利用するため,90日制限で再登録は煩わしいなと感じていた時にPower Shellで自動化出来ることを知りました.しかし,IEモードはあくまで一時的な弥縫策であるため,1日も早くEdgeかChromeに対応してくれればと願いつつ,暫くはIEモードのお世話になることとします.
Reference