第三次AIブームと世間で言われる様になって数年が経つこのご時世。資格試験にもこの分野の知識を問う物が最近実施されています。過去記事で取り上げたAIE主催のAI実装検定A級、JDLA(日本ディープラーニング協会)主催のG検定、E資格です。先日2020年第2回のG検定が受験料半額で実施されたため、受験してみたところ、無事合格しました。そこで記憶が薄れないうちに勉強方法などをdumpしておこうと思います。
想定する読者
本記事は以下の様な方のG検定対策の参考になるのではないかと想定しています。
- 現段階でAIについて知識がそこそこ有ると自信の有る方(以下の用語の意味がある程度分かっている)
- 用語例: Deep Learning, CNN, RNN, DQN, GAN, Adversarial Example, シンギュラリティ,...
- 分厚い問題集を買ってそれを読んで0から勉強するのは苦痛だという方
今回上記の方を対象とした記事を執筆しようと思った理由は主に2点有ります。まず第1に筆者は受験を決心した時点である程度AIについての知識が有ったことと、第2に全く知識0からG検定を受検する方の為の記事は既に沢山投稿されている為、記事の差別化が必要だと思ったため敢えて想定する読者層を絞ってみました。
G検定とは?
JDLA Deep Learning for GENERAL(通称:G検定)は日本ディープラーニング協会(JDLA)によって実施されている資格試験です。試験の目的としてJDLAの公式サイトではディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。
と有ります。
試験概要
- 出題範囲: シラバスより出題
- 出題形式: 多肢選択方式(220問程度1)
- 受験方法: オンライン受験(自宅受験)
→ 試験中書籍やネットを調べることは認められています。 - 受験料2: (一般)¥12,000. (学生)¥5,000.
- 合格点: 非公開
- 合格率: 下図参照
(https://www.jdla.org/news/20200716001/より)
平均7割弱ぐらいで推移しており、資格試験としては易しい部類に入ると思われます。参考までにIPAの基本情報技術者試験や応用情報技術者試験が合格率20%代、電気主任技術者試験が数%であることを考えるとかなり合格率の高い資格試験と言えます。G検定・E資格合格者限定のコミュニティーに合格後参加出来る様です。
- 参考: 公式ページ
- 参考: JDLA試験実施レポート2020/4版
試験対策
試験対策に用いた書籍・教材
まずは筆者が試験対策で用いた教材を紹介したいと思います。筆者は市販の所謂対策テキストの様な書籍は購入しませんでした。0から読んで勉強するのはしんどいなと思ったのと、市場の評価が芳しくない3対策テキストが多い様に思えたからです。
G検定模擬試験(Study-AI)
Study-AIが期間限定で公開しているG検定の模擬試験です。以下のURLからまずアカウントを作り、ログインすると対策教材と共に利用可能です。但し、期間限定公開である為、今後配信停止となる可能性が有ります。
筆者は現状を把握する為に、まずこの模擬試験を何も調べずに解いてみて間違えた問題から分かっていない部分の把握を行いました。
AI白書2020
情報処理技術者試験でお馴染みのIPAが発行しているAI技術の国内外の動向や法律、専門用語の詳しい解説が掲載されている読み物です。筆者は技術用語についての解説は一通り目を通して漏れている知識のインプットを行いました。問題は多肢選択問題ですが、AI白書を読んで普遍的な知識を固めておくことで試験中にネット検索する場合も最低限で済みます。選択肢全部をネット検索していてはそれだけ時間ロスが発生し時間が足りなくなります。但し、全ページ読むのは正直大変なので専門用語の解説部分を重点的に目を通すという選択と集中が必要だと(筆者は)思います。筆者は試験日当日までに全部を読むことは出来ませんでした。今後E資格の対策も兼ねて読めなかった所も目を通そうと思っています。
詳解!実践で理解するG検定 Web模試
G検定のWeb模試をこの本の著者が公開しています。書籍を購入するとアクセスキーが入手出来る為、そのアクセスキーを用いて模試のページにログインするとG検定の模試を受けることができ、合否判定も自動で行われます。不正解問題の一覧を印刷することも楽に出来る為、最後の総仕上げ・確認への利用に最適です。筆者は最終確認に1回目は何も調べずに挑戦し、2回目は本番を意識して調べながらやってみるという解き方で利用しました。書籍自体は模試問題の解説集です。
対策と勉強時間
試験対策としては、まずStudy-AIの模試を何も調べずに解き、現状を把握した後、AI白書の主に1章、2章を読み足りない専門用語の知識をインプットした後、Web模試を2回解きました。最後に模試で間違えた問題の解説を読んで試験当日を迎えました。勉強時間は断続的に勉強していたのでおおよその時間とはなりますが、固めてやった場合2週間程有れば出来そうな分量という認識です。(あくまで筆者の個人的意見です)
試験を受けての感想
Deep Learningの適切な活用が出来る人材の育成を目的に創設された資格ということも有り、代表的なCNNやRNNに関連する問題は多数出題されました。また、自動運転車や著作権問題などホットな時事問題・法律問題に関する出題も多く日頃から情報収集しているか、またいかに短時間で効率良く調査出来るかなども問われているという印象を受けました。
まとめ
第三次AIブームの時代に相応しいG検定に合格したので色々まとめてみました。今回の試験はコロナの影響による在宅学習を支援する目的で受験料が半額だったのは大変ありがたいことでした。AI実装検定 A級、G検定と合格したので、次はいよいよE資格に挑戦しようと思っています。この記事へのご意見、質問等はコメントにて頂けると幸いです。
追記(2020/8/17追記)
8月11日に合格証が届きました。末尾にはJDLA理事長の松尾豊先生の署名が有ります。今後同協会主催のE資格も取得したいと思います。
追記2(2021/10/30追記)
Open Badgeという物が追加されました。ブロックチェーン技術を応用して偽造を困難にした新しい合格証明とのことです。
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2020#2は200問でした。 ↩
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但し、2020#2は受験料半額でした。今回申込者が急増している要因の1つだと思います。 ↩
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Amazonで対策テキストの購入者レビューを見ると「全然試験問題と違う」「この本だけでは受からなかった」等々のコメントが多数見受けられますが、この試験が扱っている分野が変化の激しい分野であるということと、試験形式の性質上(ネット検索を試験中行っても良い)これは仕方が無いのかなとは思います。テキストの範囲からしか出ない問題にするのであれば、ネット検索は恐らく禁止になるでしょうから試験範囲を丸暗記して臨むことになるでしょう。それはそれで試験の目的が達成されるのかという疑問が有ります。。。 ↩