高度試験の中で最も難しい1とされているネットワークスペシャリスト試験(以下NW試験)の受験を今年の春に予定しています.NW試験ではしばしばネットワークコマンドを答える知識問題が出題されます.コマンドの動作を説明する文章は問題文中に有り,その説明に適するコマンドを記述する形式です.知識問題は知っていれば正解できますが,逆に知らなければ何時間考えても答えは分かりません.1点でも多く取って合格を勝ち取るために,代表的なネットワークコマンドとその動作についてまとめ,試験前に再度見直せる様にしておきたいと思います.
よく出るポート番号のまとめ記事は以下
取り上げるコマンドはUbuntuで利用されているコマンドです.MacやWindowsでは一部コマンドや動作が異なりますが,試験で問われるのはLinuxのコマンドが大半です.
Ubuntuで以下のコマンドを全て試すためには,追加で幾つかのアプリケーションのインストールが必要です.
sudo apt install -y net-tools traceroute
本記事で取り上げるコマンド総覧
- arp
- ftp
- ifconfig
- netstat
- ping
- route
- ssh
- tcpdump
- telnet
- traceroute
コマンド毎の詳しい説明
arp
ARP(Address Resolution Protocol)テーブル(IPアドレスとMACアドレスの対応表)を表示します.ARPの逆の操作を行うプロトコルにRARP(Reverse ARP)が有ります.覚え方として,ARPはアルファベット順(IP→MAC),RARPは逆(MAC→ARP)と覚えておけば,間違うことが有りません.(筆者の個人的な意見です)Linuxではarpだけで動作しますが,MacとWinではarp -aと必ず-a
オプションを付けて実行します.また,hostnameを非表示にするには,-n
オプションを付けて実行します.
ftp
ファイル転送やファイルダウンロードに用いられます.同様の操作が出来るコマンドにはwgetやcurlが有りますが,ftpコマンドでは対話モードが存在し,対話的にサーバからファイルをダウンロードすたり,アップロードすることができます.
ifconfig
ネットワークインターフェース(NIC)を確認/設定するコマンドです.Linuxのディストリビューションによってはipコマンドを用いる場合も有ります.
netstat
ネットワークに関連する様々な情報,例えばネットワークインターフェースの接続情報,経路情報,ソケット情報などを表示するコマンドです.
ping
ネスペ頻出のコマンドです.穴埋めでしばしば登場します.本来は目的ホストにICMP(Internet Cotrol Message Protocol)(またはUDP)パケットが届くかどうか,どれだけ時間が掛かるかを調べる為に用いられるコマンドです.これを利用した死活監視にping監視が有ります.ネスペではICMPとセットで覚えておくのが得策です.
route
IPv4経路テーブルを手動操作するコマンドです.Linuxのディストリビューションによってはipコマンドを用いる場合も有ります.
ssh
SSH(Secure SHell)は通信を暗号化し,ネットワーク上のマシンへのログインやコマンド実行を行います.ネットワーク上のマシンとの間でファイルコピーを行うscpコマンドもsshベースのコマンドです.
tcpdump
ネットワークインタフェース上のパケットのうち,指定した条件にマッチするパケットをダンプしてトラフィックデータを調べるコマンドです.条件を指定せず,ネットワーク上の全てのパケットを取得することも可能です.
telnet
ネットワーク経由でリモートホストにログインするコマンドです.ホスト情報はホスト名指定またはIPアドレス指定のどちらでも可能です.ポート番号を明示しない場合は,デフォルトで23番ポートにポートに接続します.ポート番号を明示することで,23番意外に割り当てられたtelnetへの接続,HTTP,POP3,SMTPなどのテキストベースのプロトコルの動作確認が出来ます.
traceroute
リモートホストへのネットワーク経路を表示します.ネットワークのルーティング設定が正しく出来ているかの確認などに利用されます.通常はUDPを利用しますが,FWが有ってUDPパケットが通過できない場合にはICMPを用います.
Reference
- ステップ方式で仕組みを学ぶIPネットワーク設計演習(井上 博之著;近代科学社)
- UNIXコマンドブック 第4版(田谷 文彦他著;SB Creative)
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従来は高度試験で最難関はITストラテジストとされてきましたが,R3春試験で合格率が12%となり,近年の高度試験では例を見ない低合格率となりました. ↩