はじめに
この記事は
- 問題解決が苦手で仕方ない方
- 仕事の進め方で上長に指摘をもらいがちな方
- 新人エンジニア
などにお勧めです
3行で教えて
- エンジニアの業務は問題解決の連続である。
- 問題の解決のためには、正確な理想の把握と、適切な方法の選択が重要である。
- トリプルシンキングを用いれば、エンジニアの業務としての問題解決の質を向上できる。
問題解決をしよう
みなさん、問題解決は得意ですか?私は苦手です。
仕事の進め方で上長に指摘をもらいがちな方、というのは私のことです。
しかし、エンジニアの業務は問題解決の連続でもあります。
「○○といった機能の開発が必要」「××という不具合を修正してほしい」
「この社内ツール不便だから改修してほしい」「△△という運用をしたいんだけど、いい方法ない?…」……
問題解決の能力が、業務をこなす力の基礎になると言っても過言ではないでしょう。
そこで、適切な問題解決に役立つビジネススキル「トリプルシンキング」の使い方を覚えて、
問題解決能力アップ → 業務遂行力アップ と行きましょう!という記事となります。
問題解決に必要なもの
さて、問題を解決するため必要なもの、それはなんでしょう?
技術の知識でしょうか? 業務への理解? あるいは経験?
それらは助けになりますが、実は本質ではありません。
1.正確な理想(本当にやりたいこと)の把握
2.適切な解決方法の選択
実はこの2項目ができれば、おおよその問題は解決方法が導き出せます。
そして、その助けになってくれるのが「トリプルシンキング」という考え方なのです。
トリプルシンキングを使ってみよう
クリティカルシンキング:「本当にこうじゃなきゃダメですか?」
「批判的思考」ともいいます。
「このやり方で行けると思うからお願いしますね!」
…と依頼された内容、共有された要件をそのまま要件にしてしまったこと、ありませんか?
受け取った情報や既存の結論を鵜吞みにせず、
「本当にそうか?」
「考える余地はないか?」
と疑い、本質を導き出す思考がクリティカルシンキングです。
防げるリスク
エンジニアに依頼をしてくる人物は、エンジニアでないことも多いです。
エンジニアだったとしても、必ずしも要件定義が得意だとは限りません。
そういった場合でクリティカルシンキングを行わないと、以下のような事象の原因になります。
- 言われた通りにしたけど、前提が間違っており追加開発が必要になった…
- 依頼者の認識違いから、他のシステムや業務へ悪影響を与えた…
- エンジニアに依頼する人物の理解できる範囲でしか、改善や開発提案ができない…
- 論理的思考をしたつもりだったが、前提の違いで見当違いの結論を出してしまった…
ロジカルシンキング:「具体的には何ですか?」
「垂直思考」「論理的思考」と呼ぶ場合もあります。
(ラテラルシンキングを「水平思考」と呼ぶ場合は、対応させて「垂直思考」と呼ぶ場合が多いです)
問題とされる事柄は、数多くの原因からなる複雑な構造をしている場合も多いです。
「売上を上げる開発をしてほしい!」と言われたとします。
こういった場合に、抽象的だったり複層的な問題を「売上の上がる状態って具体的にどうすれば実現される?」
と掘り下げて、
例えば「ECサイトへの流入数の増加で実現 → SEO強化で実現」といった具合で具体的な内容に落とし込む、
これがロジカルシンキングです。
古くからある思考法ではありますが、トヨタで採用されているとして広まった「なぜなぜ分析」などが有名です。
防げるリスク
上述したように、複層的な問題はそのままですと具体的な対応に落とし込むのが困難です。
ロジカルシンキングを行わないと、以下のような事象の原因になります。
- 問題が大きすぎて何をすればいいか分からない…
- 具体的な対応内容が分からず、工数の見積もりができない…
- 対応するべき問題が絞り込めず、無駄な金銭・工数コストが発生…
ラテラルシンキング:「ほかの手段もあるな?」
「水平思考」と呼ぶ場合もあります。
既存の事柄を「代替できる方法がある?」「同じ結果を得られる方法も?」という観点で考えることで、
新たな解答を発見していくような考え方です。
ロジカルシンキングの例で言及した「ECサイトへの流入数の増加 → SEO強化」ですと、
「広告を強化すれば流入数が増えるのでは?」
「SNSを利用して流入数を増やす方法もあるのでは?」
といった具合に、流入数増加という結果を得るための手段は複数あります。
こういったように単一の答えにとどまらず、複数の答えを発見するのがラテラルシンキングです。
また、
売上を上げる→ECサイトへの流入数or購入単価の向上or…
ECサイトの流入数向上→SEO強化or広告orSNSor...
SEO強化→コンテンツ充実orリンク数増加orSEOワードor...
といったように、ロジカルシンキングとの併用で効果を発揮することも多いです。
このロジカルシンキングとの併用を、トーナメント表や樹形図のような形の図に起こして進めていく思考法を「ロジックツリー」と呼びます。
防げるリスク
ラテラルシンキングで複数の手段を考慮することで、それらを比較して最善のアプローチを行うことができます。
「完成はしたけど、最善じゃなかったなあ」となってしまった経験がある方は意識してみるといいかもしれませんね。
ラテラルシンキングを行わないと、以下のような事象の原因になります。
- もっと短期間で実装可能な方法があった
- もっと低コストで利用可能なプラットフォームがあった
- 開発不要で実現可能な方法があった
俺たちゃトリプルシンキング
さて、トリプルシンキングの3つの思考法についてご紹介しましたが、これらがまとめて称されるのには理由があります。
ロジカルシンキングとラテラルシンキングの例で軽く触れましたが、これらは併用することで力を発揮します。
クリティカルシンキングで本質的な問題を導き出せなければ、ロジカルシンキングでいくら掘り下げても本質的な回答は得られません。
ロジカルシンキングでいくら掘り下げても、ラテラルシンキングで対案を探さなければ非効率的なアプローチを取ってしまいかねません。
ラテラルシンキングでいくらアイデアを出しても、ロジカルシンキングでの掘り下げが足りなければ「じゃあ何をすればいいの?」というところが不明で、タスクに取り掛かることはできません。
しかしこれら3つが適切に力を合わせることで、複雑に見える問題でも、「解決のために何をすればいいのか?」という課題の設定・解決に落とし込むことができます。
トリプルシンキングを意識して業務にあたることで、問題解決能力を上げてどんどん貢献していきましょう!