来月からエンジニアから→Webディレクターとして転職させていただくことになりました。
主に企画の部分をまとめたいと思いこの記事を書いてみました。
1. キックオフミーティングの重要性
プロジェクトの成功を左右する最初のステップとして、キックオフミーティングは非常に重要です。発注者と受注者が一堂に会し、目指すゴール・プロジェクトの背景・主要メンバーの役割分担などを確認します。ここで全員が同じ認識を持てるかどうかによって、後のプロセスがスムーズに進むかが大きく左右されます。
目的・ゴールの共有: プロジェクトの目的やビジョンがあいまいだと、プロセス全体がブレてしまう可能性があります。
ステークホルダー間の信頼関係構築: 開始時に関係者がお互いを理解することで、後のコミュニケーションロスを低減できます。
期待値調整: 発注者が期待している成果物と、受注側で実現できる内容に差がないか、早期に検討が必要です。
2. 発注者が用意するべき当事者とヒアリングシート
キックオフミーティングをスムーズに進めるためには、発注者が以下のポイントを準備しておくと効果的です。
当事者の選定: 決裁権限や意思決定権を持つ担当者、実際の業務担当者(運用メンバーなど)を必ずミーティングに参加させましょう。
ヒアリングシート: プロジェクトの背景や期待値、要望一覧を事前にまとめ、受注者に共有します。ヒアリングシートにより、受注者側は問題点や実現方法を具体的に検討しやすくなります。
3. 受注におけるヒアリング方法
受注者として、発注者にヒアリングを行う際には、以下のアプローチが有効です。
定量的情報の把握:現在のアクセス数や売上目標など、数値で測れる情報を確実に集める。
定性的情報の把握:ユーザーが抱える課題や、クライアントがどのような価値を提供したいかなど、定性的な目標を明確にする。
課題とリソースの棚卸し:現状のシステムや運用フロー、人員体制など、抱えている課題と使えるリソースを洗い出す。
これらを踏まえて、受注者は発注者のビジネス背景を正しく理解し、最適な提案に結びつけることが肝心です。
4. 企画の発想法とアイデアを練るテクニック
プロジェクトを進めるうえでは、多様なアイデアを出して絞り込むプロセスが重要です。代表的な発想法としては以下があります。
ブレーンストーミング: とにかく量を重視してアイデアを出し合う。否定的な意見は出さず、自由な発想を歓迎。
マインドマップ: 中心にテーマを置き、関連するキーワードを枝状に広げていくことで、思考を可視化する。
SCAMPER法: Substitute(置き換え)、Combine(結合)、Adapt(応用)、Modify(修正)、Put to another use(転用)、Eliminate(除去)、Reverse/Rearrange(逆転/再配置)といった視点からアイデアを広げる。
これらの手法を活用することで、発注者の要求やターゲットユーザーが抱える課題を解決する多彩なアイデアを発想しやすくなります。
5. ユーザーファーストの本質を考える
近年のWebサイトやアプリ開発では、「ユーザーファースト」が重要視されています。これは、エンドユーザーがサービスを使う際に抱く欲求や不満、使いやすさを最優先に考えるという姿勢です。
ユーザーの課題やゴールを理解する: サイトやアプリを通じて、ユーザーは何を達成したいのか?
ユーザーの利用文脈を考慮: ユーザーが利用する場所や時間帯、利用デバイスの特性などを踏まえた設計が必要。
継続的なフィードバックの取り込み: サイト公開後もユーザーからのフィードバックを収集し、改良を重ねるサイクルを回す。
6. UXの設計
ユーザーファーストを実現するために、ユーザー体験(UX)をどのように設計するかがポイントになります。
ユーザーストーリーマッピング: ユーザーがサービスを使うシナリオを時系列で整理し、必要な機能を洗い出す方法。
プロトタイプの作成: ワイヤーフレームや簡易的な試作を使って、初期段階でユーザーが体験できる環境をつくり、早期に検証する。
ABテスト: 本番リリース後、複数のデザインや導線を比較してより高いコンバージョンを狙う。
7. 収益を可視化する3つの手法
Webサイトやアプリにおいて収益をどのように生み出すか、もしくは費用対効果をどう計測するかを明確にしておくことは重要です。以下の3つの手法が代表的です。
KPI設計: 売上や会員数、CVRなど、収益や成果を図るための主要指標を明確に設定する。
コンバージョントラッキング: ユーザーが行ったアクション(商品購入、資料請求、問い合わせなど)を解析ツールで追跡・可視化する。
LTV(顧客生涯価値)の算出: 単発の購入だけでなく、ユーザーとの長期的な関係性から得られる価値を把握する。
8. 収益を作り出すポイント
ビジネスモデルの明確化: 広告収入、販売収入、サブスクリプションなど、どの収益モデルを選択するかによってサイト設計も変わる。
ユーザーとの長期的な関係構築: SNSやメルマガ、コミュニティなどを活用し、リピートやクロスセルを促進。
UXと収益化のバランス: ポップアップ広告やサブスク誘導など、収益化を優先しすぎるとユーザー体験が損なわれることもあるため、適切なバランスが必要。
9. 提案書を作る際のポイント
受注者として発注者に提案書を提示する際は、以下の要素を押さえましょう。
課題の再定義: 発注者が抱える課題をまとめ、プロジェクトを通じてどのように解決するかを明確化。
具体的な施策と期待効果: デザインや機能案、集客施策などを具体的に示し、その結果見込まれる成果を数値化できると説得力が高まる。
スケジュールと体制: プロジェクトの進行計画、参加メンバー、役割分担を明記し、プロジェクトの透明性を高める。
予算と費用対効果: 費用に対して見込まれるリターンを示すことで、発注者は投資判断をしやすくなる。
10. 要件定義とは
要件定義は、プロジェクト目標を達成するために必要な機能や仕様を明確化するプロセスです。重要なポイントは以下の通りです。
機能要件: サイトやアプリに必要な機能をリストアップし、それぞれの動作条件や画面遷移を定義。
非機能要件: セキュリティ、パフォーマンス、運用性、拡張性など、機能以外で求められる要件をまとめる。
要件の優先度: すべての要件を一度に実装するのは難しいため、MVP(Minimum Viable Product)など優先度付けが必要になる。
11. サイトを構築、運用する環境の選定ポイント
サイト構築・運用環境には、自社サーバー、レンタルサーバー、クラウド(AWS、GCP、Azureなど)といった様々な選択肢があります。選定のポイントは以下の通りです。
スケーラビリティ: ユーザー数やアクセス数が増えた場合に拡張しやすいか。
コスト: 初期費用や月額費用、運用コストなどトータルで検討する。
セキュリティ要件: 業種やデータの重要度によってセキュリティレベルが変わるため、クラウドやオンプレミスのどちらが適切か検討する。
運用体制: 自社内でのサーバー管理が可能か、運用・保守をアウトソースするかなど、担当リソース次第で選定は変わる。
12. 工数の計算
プロジェクトのスケジュールを管理するうえで、工数の計算は欠かせません。
見積もり手法: 大まかな機能単位*で見積もるトップダウン方式と、タスクを細分化して積み上げるボトムアップ方式を組み合わせる。
バッファの確保: プロジェクトには想定外のトラブルがつきものなので、作業時間には余裕を持たせる。
担当者のスキルを考慮: 担当者によって作業スピードや習熟度が異なるため、実際のチーム体制を踏まえて試算する必要がある。
13. 概算見積もりの作成と工程変更への対応
要件定義を踏まえて、最終的に概算見積もりを作成します。見積もり段階では不確定要素が多い場合もあるため、工程変更や仕様変更が発生することを前提とした柔軟な契約形態を検討します。
フェーズ分割: 設計・開発・テストなどフェーズごとに見積もりを提示することで、変更点が明確になった際に調整がしやすい。
契約の種類: 成果物ベースの固定契約や、工数ベースの準委任契約など、プロジェクト特性に合った契約形式を選ぶ。
変更管理プロセス: 仕様変更が出た場合の手順や追加費用の計算方法を事前に合意しておく。
まとめ
キックオフミーティングから要件定義書の作成までの一連の流れを俯瞰すると、まずは発注者と受注者がビジョンや目標を共有することが重要です。その上で、ユーザーファーストやUX設計などの視点を常に念頭に置きつつ、プロジェクトに必要な要件を具体化します。要件定義と並行して収益モデルの検討や概算見積もりを作成することで、ビジネス面と技術面の両方で最適解を導くことが可能。
以上が「キックオフミーティングから要件定義書の作成まで」を簡単にまとめてみたになります。
ご参考になれば幸いです。