今回はDockerについてからVSCodeへの導入までを記事にしました。
Dockerの仕組み
通常、アプリケーションを動かすためには、サーバーに様々な設定を行い、環境を整える必要があります。たとえば、特定のバージョンのプログラミング言語やライブラリが必要だったり、サーバーごとに設定が異なるためにトラブルが発生したりします。しかし、Dockerを使えば、そのような環境を「コンテナ」に閉じ込め、どこでも同じ環境でアプリケーションを動かすことが可能です。
Dockerは、次のような仕組みで動作します:
Dockerイメージ:アプリケーションとその環境をまとめた「設計図」のようなもの。イメージは何度でも使い回すことができ、1度作成すればどのサーバー上でも同じ動作環境が再現されます。
Dockerコンテナ:イメージを基に実際に動作する仮想環境。コンテナはアプリケーションの実行環境を隔離して動かし、軽量で高速です。
Dockerエンジン:コンテナを管理・実行するエンジン。Dockerエンジンがコンテナを動かすための基盤となります。
Dockerの利点
1. 環境の一貫性
Dockerを使うと、開発環境と本番環境で同じ設定や依存関係を持つことができます。これにより、「開発環境では動くけど、本番環境では動かない」といった問題が解消されます。
2. 軽量で高速
従来の仮想マシン(VM)と比べて、DockerコンテナはOSのカーネルを共有するため、非常に軽量で起動も高速です。VMは完全なオペレーティングシステム全体を仮想化するのに対し、Dockerはアプリケーションの実行に必要な最小限の部分だけを仮想化します。
3. スケーラビリティ
Dockerを使えば、複数のコンテナを簡単に起動・停止・再起動でき、必要なリソースに応じてアプリケーションを柔軟にスケールさせることが可能です。
4. クラウドとの相性の良さ
Dockerはクラウド環境とも非常に相性が良く、AWSやGCP、AzureなどのクラウドサービスでもDockerを簡単に利用できます。これにより、コンテナ化したアプリケーションをクラウド上で簡単に展開することができます。
Dockerの主なコマンド
Dockerにはさまざまなコマンドがありますが、ここでは基本的なものを紹介します。
docker pull [イメージ名]
DockerHubからイメージをダウンロードします。
例: docker pull nginx
docker build [オプション] [Dockerfileの場所]
Dockerイメージを作成します。Dockerfileを基に、指定された環境をコンテナ化します。
例: docker build -t myapp .
docker run [オプション] [イメージ名]
Dockerコンテナを起動します。バックグラウンドで起動させる場合は-dオプションを使います。
例: docker run -d -p 8080:80 nginx
docker ps
現在実行中のコンテナを一覧表示します。
例: docker ps
docker stop [コンテナID]
指定したコンテナを停止します。
例: docker stop abc123
docker rm [コンテナID]
停止したコンテナを削除します。
例: docker rm abc123
Dockerの利用例
例えば、ウェブ開発者がNode.jsアプリケーションを開発しているとします。開発チームの全員が同じ環境で動作させたい場合、Dockerを使って次のような手順を踏むことができます:
Node.jsの環境を含んだDockerイメージを作成。
チームメンバー全員がそのイメージをdocker pullで取得。
どこでも同じコンテナでアプリケーションを実行できるため、動作環境の不一致が解消。
まとめ
Dockerは、アプリケーションを簡単に移動・管理できるようにする革新的なツールです。開発者にとっては、環境の一貫性を保ち、効率的にスケーラブルなアプリケーションを構築できる手段となります。仮想マシンよりも軽量で高速、そしてクラウド環境にも適しているため、現代のアプリケーション開発には欠かせない存在です。
Dockerを使いこなすことで、より柔軟で効率的な開発体験を手に入れられます。まずは基本的なコマンドから学び、実際にコンテナを作成して試してみてください。
VSCodeでDockerを使う手順
Dockerのインストール
まずは、DockerがPCにインストールされていることを確認します。まだインストールしていない場合は、公式サイト(Docker公式サイト)からダウンロードしてインストールします。
インストール後、ターミナルでdocker --versionを実行し、正しくインストールされたことを確認します。
Docker拡張機能のインストール
VSCodeの拡張機能マーケットプレイスから「Docker」拡張機能をインストールします。この拡張機能は、Dockerの操作をVSCode内で簡単に行えるようにするものです。
インストール手順:
VSCodeのサイドバーにある拡張機能アイコンをクリック。
検索バーに「Docker」と入力して、Microsoftが提供している公式拡張機能をインストール。
VSCodeでDockerを操作
拡張機能をインストールすると、VSCodeのサイドバーにDockerのアイコンが追加されます。これを使って以下の操作を簡単に行うことができます:
コンテナの作成・起動・停止: コンテナの一覧表示や、コンテナの作成、実行、停止が可能です。
Dockerイメージの管理: イメージの一覧表示、イメージの作成・削除が簡単に行えます。
Docker Compose: 複数のコンテナを一括で起動できるdocker-composeも、VSCodeから操作が可能です。
Dockerファイルの作成補助: Dockerfileを作成するときに、自動補完機能が使え、効率的に記述できます。
Dockerファイルの作成
VSCodeでは、Dockerfileを簡単に作成できます。Dockerfileを新規作成し、アプリケーションのビルド環境を記述します。VSCodeの拡張機能が自動補完を提供してくれるため、スムーズに作業が進められます。
例: Node.jsアプリケーションのDockerfile
dockerfile
ベースイメージを指定
FROM node:14
作業ディレクトリを指定
WORKDIR /usr/src/app
パッケージのインストール
COPY package*.json ./
RUN npm install
アプリケーションファイルをコピー
COPY . .
ポートを開放
EXPOSE 8080
アプリケーションを実行
CMD ["node", "app.js"]
ターミナルからDockerコマンド実行
VSCodeには統合ターミナルがあるため、直接VSCode内でdockerコマンドを実行することもできます。
例: コンテナを起動する
docker run -d -p 8080:80 myapp
Docker拡張機能の主な機能
コンテナの管理: コンテナの開始、停止、削除、ログの確認などがGUIで簡単に行えます。
イメージの管理: ローカルやリモートにあるDockerイメージをGUIで操作できます。
Docker Compose: 複数のコンテナを一括で管理できるdocker-compose.ymlファイルを使った操作が可能です。
Dockerfileのビルド: Dockerfileの作成やビルドプロセスもサポートしています。
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