はじめに
ラズパイをはじめとする安価なマイコンボードの普及に伴い、一般の方もレベル変換ICを使用する機会が増えていると思います。
過去に失敗した経験から基礎的な事項についてまとめます。
レベル変換ICの種類
レベル変換ICといっても内部回路の違いにより様々な種類があります。
大きくは以下の違い。
・バッファタイプ/BUSSWタイプ
・方向制御端子(Direction)の有無
TXSシリーズ(BUSSWタイプ,方向制御端子なし)の動作解説
ざっくり動作を説明すると、信号のTr/Tf時のみPx/NxのFETが動作しその後、信号がHの時はRpux(4kΩ Pull up)で論理を保持、Lの時はRpux(40kΩ Pull down)とR1+R2(300Ω pull down)で論理を保持する。このようにTr/Tf時のみバッファが動作する回路構造をセミバッファタイプと言うらしい。(通常のバッファはPx/Nxのどちらか一方が常にONしているのでそこが異なる)
つまり急に信号の方向が変化してもTr/Tf時のみドライブしている為信号がぶつからないという事だと思う。
動作不良となるケース
この部品が動作不良となるケースを考える。部品仕様の以下2つに着目する
・Px/Nxの動作時間が30ns
・Rpubの抵抗値が4/40kΩ
Px/Nxの動作時間が30ns
Px/Nxの動作時間が30nsという事は30ns以内に所望の電圧へスイングできければならないという事です。
つまり時定数と動作周波数の関係に注意する必要があります。ノイズ対策としてコンデンサが接続されている場合は注意が必要です。
Px/RxがタイムアウトするとRPUBと容量の時定数によってオープンドレイン波形のように充電されます。
信号周波数が高速な場合、信号が電源電圧まで上昇しない/0Vまで落ちないことになります。
Rpubの抵抗値が4/40kΩ
Px/Nxが動作終了した後はRpubによりH,Lを保持する。
つまり線路上Pullup/down抵抗がRpubに対して無視できない抵抗値であれば電圧が分圧,Lレベルが浮いてしまう事になる。
参考文献
この記事は以下の情報を参考にして執筆しました。
-TXS0108E-Q1データシート
-Effects of External Pullup and Pulldown Resistors on TXS and TXB Devices
-A Guide to Voltage Translation With TXS-Type Translators
-Factors Affecting VOL for TXS and LSF Auto-bidirectional
Translation Devices