リテールビジネスで役立つ機械学習
リテールビジネスでは様々な要因から、売上や顧客数が変化します。エクセルで集計するなどの、分析の手法を利用し、日々変化する天候などの要因を加味しながら、予測を立てていくことは容易ではありません。例えば、小売業での発注や在庫の管理は利益に直結しています。ここで、過剰発注や廃棄による損失の影響はとても大きいといえます。ここで、機械学習を取り入れることによって、エクセル集計などでは得られない新しい情報や、より高精度な情報、そして、経営判断のサポートデータになるような情報を探すことができます。
今回は、そんなリテールビジネスに機械学習を取り入れる際に、重要なデータには、どのようなものがあるのかをまとめていきます。
前回までに紹介したこと
ここまでで機械学習について、大まかな概要と分類、そして、データセットについての、概要をまとめてきました。今回はデータセットについて深堀を行います。その中でも私たちが展開しようとしている、リテールビジネスが扱うデータセットとその関係から、まとめていきます。
本記事の概要
集めたデータの特徴を捉え、分析や予測を行う機械学習において、一番重要なものがデータセットだといわれることもあります。そんな中で、今回はリテールビジネスに機械学習を取り入れる際に、必要なデータとそしてリテール業界のなかで、そのデータが何に使用されるのかを簡単にまとめてみました。
集めるべきデータ
リテールビジネスに機械学習を利用する際には、様々な種類のデータを集める必要があります。購買方法が多様化している現状で、店舗、ECサイト、SNSなど様々なプラットフォームでの消費者行動に関わるデータを収集しなければなりません。近年、収集できるデータの量も膨大になってきているため、どのようなデータがあり、そして、機械学習に利用できるデータにはどのようなものがあるのかを理解する必要があります。ここではその中でもよく利用されているデータについて、いくつか紹介します。
これらを目的に沿って、組み合わせて機械学習に使用することで、より高精度の分析・予測を実現でき、経営判断に利用できます。
顧客データ
顧客データは商品を購入した顧客の年齢、性別、職業などのパーソナルなデータから、購買履歴、ウェブサイトでの閲覧履歴、フィードバックや評価を行った履歴などです。
顧客データを収集することは、個々の趣味、嗜好に合わせたプロモーションが可能になります。
これにより、リピーターの増加に大きな影響を及ぼし、利益の向上を見込むことができます。
また、ニーズに合わせた商品・サービスの開発につなげることができ、ロングセラー商品へ成長する可能性が高まります。
商品データ
カテゴリーや価格、在庫状況、販売履歴など商品が持つ情報です。商品を買ってもらうためにはわかりやすく分類されている必要があります。同じカテゴリーの商品を同じ棚に陳列するなど、商品データを利用することで、ほかの商品も比較検討して、購入してくれる可能性が高まるなどの効果も期待できます。
販売データ
日時ごとの売上高、店舗ごとの売り上げデータ、支払い方法、顧客が購入した商品のカテゴリなどが含まれます。ここでは特に購買パターンの把握や在庫管理の最適化など、どのくらいの購入が期待されるかなどの把握に役立ちます。
さらに、合わせて購入されやすい商品を分析し、近くに配置するなどの戦略立案にも役立ちます。
供給チェーンデータ
在庫レベルや供給業者情報、配送時間とコストなどのデータが主に含まれます。これらのコストや発注から納品までの期間を最適化すると、仕入れコストの低下や、在庫切れや過剰在庫のリスクを抑えることができます。
市場データ
競合他社の情報、市場のトレンド、消費者行動の変化など世間的な変動をまとめたデータです。自社内で集めたデータのみでは予測できない、市場の変化をとらえると、消費者のニーズと市場のギャップや、新しいニーズの発見、業界全体の動向の把握を行うことができ、ビジネスリスクを減らすことができます。
また、競合他社との差別化要因を明確にすることで、優位性を確保することができます。
リテールビジネスにおけるデータ活用先
売上予測
売上予測を正確に行うためにはより幅広いデータを利用する必要があります。例えば、様々な観点から収集した売上高、成長率などが重要になります。過去の自社のデータのみではなく、業界全体のデータも取り入れていく必要があります。
売上予測はリテールにおいて、もっとも重要です。
わかりやすいメリットは、効率的な在庫管理や、人員配置が可能になり、利益率が上がります。ほかにも、ニーズの把握による戦略の立案、属人化の防止などの利点も得ることができます。
属人化を防止するということは、人の経験に頼った予測を行っていると、人事異動などがあった際に、予測が失敗し、売上効率が下がってしまうことがあるので、このノウハウを蓄積できるということはメリットになります。
クラスタリング
クラスタリングは様々な分野で使用されますが、クラスというグループごとに分類することを言います。リテールビジネスでは購買履歴と顧客の特性から、グループ分けを行い、グループごとに適したクーポンの発行を行うなど、顧客ごとに最適なマーケティングを行うことができます。
クラス分けの基準は、様々で、よく購入する商品ごと、商品の組み合わせごと、まとめ買いするか定期的に買うか、など分類するクラスによって、打ち出すプロモーションの効果も変化します。
協調フィルタリング
誰が、何をどれくらい購入するかを分析し、商品をレコメンドする技術のことです。この購入傾向から、未購入の商品の中から購入してくれそうな商品を「おすすめ」します。
食べ物を例にすると、[焼肉、寿司、パスタ、うどん」が好きなAさんと[焼肉、寿司、パスタ]が好きなBさんがいたときに、この差の「うどん」をBさんも好きだろうと予測して、おすすめすることを言います。
ECサイトで類似の商品といって、買ったことのない商品をおすすめされるのも、協調フィルタリングです。
こちらもプロモーションの効率の向上に役立ちます。
画像解析
画像解析で得られる情報は多く、様々な効果を得ることができます。特に顧客の行動を分析し、購買行動の分析、繁忙時間の把握、顧客の年齢や性別、家族構成などの情報の取得など、従来では得られなかった情報を収集することができより効果の高いプロモーションを打つことができます。
ダイナミックプライシング
変動料金制といい、商品やサービスの需要、市場の供給などに応じて価格を変動させる仕組みのことを言います。わかりやすいものでスポーツ観戦やテーマパークの入場料は近年値上がりしています。これも運営費の増加等を考慮したダイナミックプライシングです。
高くても買いたい人が多いのに、安く売ってしまうのは、得られるはずの利益を得ないという、もったいないことをしていることになるので、十分な市場把握をしたうえでダイナミックプライシングを導入することも大切です。
さいごに
今回はリテールビジネスにおけるデータについてをまとめました。
これからも機械学習についてまとめていきます。
ReceiptRollerでは電子レシートをはじめとし、様々なソリューションを提供していきます。
今回の機械学習のほかに、OCRについての記事も投稿していますので読んでみてください。
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参考