概要
ネットワークにおける暗号化技術は、データの盗聴や改ざんを防ぐために不可欠です。この記事では、VPN技術(IPsec, SSL/TLS)と、無線ネットワークの暗号化プロトコルであるWPA2、WPA3について詳しく説明します。
1. VPN(Virtual Private Network)
VPNは、安全な通信を提供するための技術で、インターネットを介してプライベートネットワークを構築します。
データが暗号化されるため、安全にデータを送受信できる
IPsec(Internet Protocol Security)
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説明: インターネットプロトコル(IP)のセキュリティを確保するためのプロトコルスイート(プロトコルのグループ) です。
ネットワーク層でデータを暗号化する技術で、トンネリングと暗号化により、セキュアな通信を実現します。 -
特徴: 高いセキュリティ性を持つため、企業のVPNで広く使用される。
SA(Security Association)と呼ばれる仮想の通信路が構築されます。 - 用途: 企業間通信やリモートアクセス。
SSL/TLS(Secure Sockets Layer / Transport Layer Security)
- 説明: SSL/TLSは、トランスポート層でデータを暗号化する技術で、主にWebブラウザで安全な通信を提供するために使われます。
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特徴: HTTPS通信の基盤として、多くのWebサイトで使用されています。
「共通鍵暗号方式」と「公開鍵暗号方式」の2種類を組み合わせた「ハイブリッド暗号方式」を使用。 - 用途: Webブラウジングやメール通信。
2. 暗号化プロトコル(WPA2, WPA3)
WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)
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説明: WPA2は、無線LANの暗号化プロトコルで、AES暗号を使用してデータを保護します。従来のWEPに比べて強力な暗号化を提供します。
認証方式ではWPA2-PersonalとWAP2-Enterpriseが用意されています。 - 特徴: 無線LANのセキュリティの標準。
- 用途: 家庭用無線LAN、オフィスネットワーク。
WPA3
- 説明: WPA3は、WPA2の後継で、さらに強力な暗号化とセキュリティ機能を備えています。より強固なパスワード認証や、個々の通信を保護する機能を提供します。
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特徴: 次世代の無線LANセキュリティ。
SAE(Simultaneous Authentication of Equals)と呼ばれる仕組みで暗号化に利用する鍵を生成する。
アクセスポイントとデバイス間の通信が傍受できない仕組み。 - 用途: 最新の無線ネットワーク環境。
総括
暗号化技術は、データ通信の安全性を確保するために不可欠です。VPN技術はリモートアクセスや企業ネットワーク間の安全な通信に使用され、WPA2/WPA3は無線LANの暗号化を強化します。用途やネットワークの特性に応じて最適な暗号化技術を選びましょう。