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将来の不具合調査で楽をするために今できる最低限の実装

Last updated at Posted at 2022-12-13

言うまでもないですが、完璧なコードはありません。完璧と思ったコードに不具合があることは良くあります。そして、問題があったら調査に駆り出されるのは、実装した「あなた」か将来の保守担当者です。
将来の不具合調査を楽にするために、今できる最低限の実装をここでは紹介したいと思います。

最初の実装

ではまず、このgetCustomerというメソッドを例にしてみます。
このメソッドはcustomerIdとtenantIdを引数にしてCustomerオブジェクトを返すメソッドです。
Customerは特定のtenantに属しており、引数で渡されたtenantIdに必ず所属している必要があります。
所属が違う場合には、不正はアクセスとみなして、nullを返却します。

多分プログラミング経験が浅い方以下のように書くでしょう。

  getCustomer(customerId: string, tenantId: string): Customer | null {
    let customer = this.customerRepository.get(customerId);
    if (customer.tenantId !== tenantId) {
      return null;
    }
    return customer;
  }

レビューしてみよう

さて、このメソッドをレビュワーの視点で見てみましょう。
この場合には以下のようなケースが想定されます。あなたは以下の回答を用意できていますか?

  • customerIdがnull/undefinedのケース
  • tenantIdがnull/undefinedのケース
  • customerIdのCustomerがデータベースに存在していないケース
  • データベースが停止しているなどでコネクションが張れてないケース
  • customerがtenantIdに所属していないケース

これらの問題が本番環境で発生するたびに、あなたは調査しないといけないわけです。
もちろん、発生可能性は低いと思います。なのでこのコードでも良しとするケースが大半でしょう。
ですが、引数がブラウザなどのクライアントから渡ってくる場合には、引数が不正になる可能性は多いにあります。意外とDBを直接編集されて、Customerテーブルに変なデータが入ってくる場合もあります。
そのたびに、あなたはログを収集して、手がかりを探して、右往左往するのです。

ではどうするか?
最低限「問題が発生したときに追跡しやすくしておきましょう」です

最低限の実装をしておこう

追跡するためにはログが必要です。アプリケーションログの目的はいろいろあるのですが、一番大きい目的は「不具合調査」です。
ログを見ただけでどこがいけないのか、どこまでOKでどこからNGなのかを切り分けるのに非常に役に立ちます。

さて今回のケースでは、これくらいは実装をしておいて欲しいところです。

  getCustomerB(customerId: string, tenantId: string): Customer | null {
    if (!customerId || !tenantId) {// 引数チェック
      throw new Error(
        `Illegal customerId or tenantId, customerId=${customerId}, tenantId=${tenantId}`
      );
    }
    let customer = null;
    try {
      customer = this.customerRepository.get(customerId);
    } catch (e) {// DB コネクションチェック
      this.logger.error(`Failed to get customer customerId=${customerId}, tenantId=${tenantId}`);
      throw e;
    }
    if (!customer) {// Customer存在チェック
      this.logger.warn(`Customer does not exist customerId=${customerId}, tenantId=${tenantId}`);
      return null;
    }
    if (customer.tenantId !== tenantId) {// Tenant 所属チェック
      this.logger.warn(
        `Customer does not belongs to the tenant customerId=${customerId}, tenantId=${tenantId}, customer.tenantId=${customer.tenantId}`
      );
      return null;
    }
    return customer;
  }

まず引数のチェックは行っておきます。確実に不正な値が渡ってこないことが明らかな場合や、呼び出し元でチェックが行っているとわかっている場合には、冗長になるので不要な場合も多いです。
ここまでやっておけば、不具合調査でログを収集しても、すぐに問題箇所がわかるわけです。調査コストが下がりますね。

ここで上記ケースの場合には、nullを返すの?と思ったアナタは一歩前進していますね。
null safetyな実装というのもあるので、調べてみて下さい。世の中のエラーの大半はヌルポです。

そして大事なこと。
ログには必ずパラメーターを出力するようにしておきましょう。
これが後で自分を助けることに繋がります。

最後に、契約プログラミング、防御的プログラミングという概念もあるので、参考にしてください。
言語ごとの特徴もあるので、実装方法は異なりますが、概念は大きく変わらないと思います。

以上

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