はじめに
この手順では、Cloudflare Workers上で動作するHonoアプリケーションを構築し、
Cloudflare D1データベースとDrizzle ORMを組み合わせてデータベースを管理する環境を
セットアップする方法を記載します。
(UIが日々更新されるので現時点での最新の情報を残す事が目的です。)
環境構築手順
Cloudflareアカウントの作成
まず、Cloudflareアカウントを作成します。
下記にアクセスしてアカウントを作成してください。
https://www.cloudflare.com/ja-jp/
Honoプロジェクトの作成
次に、Honoを使ってプロジェクトを初期化します。
以下のコマンドを実行してください：
今回はBunをパッケージマネージャとして使用します。
bun create hono@latest
対話形式で以下の質問に答えていきます：
Target directory: my-app（任意のディレクトリ名を指定）
Which template do you want to use?: cloudflare-workers（Cloudflare Workers向けテンプレートを選択）
Do you want to install project dependencies?: yes（依存関係をインストール）
Which package manager do you want to use?: bun（Bunをパッケージマネージャとして使用）
これでテンプレートがクローンされ、依存関係がインストールされます。
Wranglerのインストール
CloudflareのCLIツールであるWranglerをグローバルインストールします。
初回のみ以下のコマンドを実行します。
sudo bun i -g wrangler
必要なライブラリのインストール
プロジェクトに必要なライブラリを追加します。
以下のコマンドを実行してください。
bun add drizzle-orm dotenv
bun add -D drizzle-kit tsx
bun add --dev @cloudflare/workers-types
- drizzle-orm: Drizzle ORM本体
- dotenv: 環境変数の管理
- drizzle-kit と tsx: 開発ツール（マイグレーション用）
- @cloudflare/workers-types: Cloudflare Workersの型定義
Cloudflare D1データベースの作成
D1データベースを作成します。まず、WranglerでCloudflareにログインします。
wrangler login
次に、データベースを作成します（my-database-nameは任意の名前に変更可能）
bun wrangler d1 create my-database-name
成功すると、以下のような設定情報が返されます。
{
"d1_databases": [
{
"binding": "DB",
"database_name": "my-database-name",
"database_id": "***"
}
]
}
この情報をプロジェクトの wrangler.jsonc ファイルにコピーします。
具体的には、以下のように追加します（database_idは実際の値に置き換えてください）。
migrations_dirは必要に応じて追加してください
"d1_databases": [
{
"binding": "DB",
"database_name": "my-database-name",
"database_id": "***",
"migrations_dir" : "drizzle" ★追加
}
]
スキーマの作成
Drizzle ORMで使用するデータベーススキーマを定義します。
src/db/schema.ts を作成し、以下を記述します。
import { int, sqliteTable, text } from "drizzle-orm/sqlite-core";
export const usersTable = sqliteTable("users_table", {
id: int().primaryKey({ autoIncrement: true }),
name: text().notNull(),
age: int().notNull(),
email: text().notNull().unique(),
});
テーブル名、カラム名などは実際の値に置き換えてください。
Drizzle設定ファイルの作成
Drizzleの設定ファイル drizzle.config.ts を作成します。以下を記述します：
import 'dotenv/config';
import { defineConfig } from 'drizzle-kit';
export default defineConfig({
out: './drizzle',
schema: './src/db/schema.ts',
dialect: 'sqlite',
driver: 'd1-http',
dbCredentials: {
accountId: process.env.CLOUDFLARE_ACCOUNT_ID!,
databaseId: process.env.CLOUDFLARE_DATABASE_ID!,
token: process.env.CLOUDFLARE_D1_TOKEN!,
},
});
環境変数の設定
.env ファイルを作成し、Cloudflareの認証情報を記載します：
CLOUDFLARE_ACCOUNT_ID=***
CLOUDFLARE_DATABASE_ID=***
CLOUDFLARE_D1_TOKEN=***
各値の取得方法：
Cloudflareのダッシュボードから確認できます。
- CLOUDFLARE_ACCOUNT_ID: CloudflareダッシュボードのURLに含まれるID
- CLOUDFLARE_DATABASE_ID: 「Storage & Database > D1 SQL Database」で確認
- CLOUDFLARE_D1_TOKEN: 右上の「Profile > User API Tokens」から
「Create Custom Token」を作成（権限は「D1:Edit」）
マイグレーションの実行
スキーマをデータベースに適用するために、マイグレーションを行います。
以下の2つのコマンドを実行します。
# マイグレーションファイルの作成
npx drizzle-kit generate
# ローカルに作成
npx wrangler d1 migrations apply <DATABASE_NAME> --local
# リモートに作成
npx wrangler d1 migrations apply <DATABASE_NAME> --remote
- generate: マイグレーションファイルを生成
- migrate: 生成したマイグレーションを適用
ここまでで問題が無ければ、
Cloudflareのダッシュボードから「Storage & Database > D1 SQL Database」
にテーブルが作成されているはずです。