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Vector Optics Maverick Gen1のツマミ緩み修理方法と分解に関する注意点

Last updated at Posted at 2024-11-24

製品

Vector Optics製レッドドットサイト
Maverick 1x22 Gen1 : メーカーページリンク

症状

  • 光量調整、電源ON/OFF用のツマミのゆるみ
  • それに伴い、点灯中のドットの点滅、光量の不安定な変化
  • ツマミを側面から押し込むとドットが消灯

実際に分解した時の修理レポート

分解

  • 通常分解で側面パネルを外しボタン電池を取り外す。
  • ボタン電池が収まっていた部分の周りを囲むようにネジ込まれた銀色のリング状パーツを、細い棒か何かを使って引っかけて回しながら外す。
  • 銀色のリングパーツによって抑えられていた緑色の基盤パーツ(構造後述) が外せるようになる為、ピンセットか逆さまにして外す。
  • 4本のプラスネジで留められた銀色のプレートパーツがある為、精密ドライバーで外す。ネジが外れると、ツマミの本体部分と奥の灰色のプレート等の全ての固定が外れる。

ここまで分解すると凡そユーザーが分解できる限界。この時に灰色のプレートパーツはチューブ内の発光パーツにケーブルで接続されている為、無理に引っ張って断線させないように注意する

原因究明

  • ツマミが緩んでいたのは、分解時に外した4本のプラスネジが緩んでいたからだった。
  • この4本のネジはツマミの外装部分と灰色の接触プレートを同時に固定している為、使い続けてツマミが柔らかくなっていくのと同時に動作上重要な機能部分の固定も緩んでいく事になる。
  • よって、この4本のネジを丁度いい具合にキツ過ぎない程度に締めて、ツマミが固すぎないが多少固めになるように締める事で今回の症状に対する修理は完了する。
  • あとは分解手順の逆に組み立ててボタン電池を入れて問題なく点灯すれば解決。
    (緑色の基盤パーツの電源OFF部分の角度をダイヤル外装部にレーザー刻印された0の位置と合わせないと光量とダイヤル番号がズレると思います。ズレないように指で軽く押さえながら意識して固定しましょう。)

ケーススタディ

通常、上記の内容を行えば問題なく修理は完了するが、自分は組み立て後、

  • なぜか電源のオフができない。
  • ダイヤルを回しても光量の調整ができない。

という症状に発展した。

新たな症状の原因

組み立てる際、灰色のプレートから2本生えている接触用の通電パーツのうち、外側に曲がった通電部分を固定用の銀色のプレートパーツで押さえつけるように無理矢理固定してしまった為、回路の短絡現象が起きて光量調節基盤を介さずに電池の電流が直接常時サイト内に流れる状況になっていた。

↓正常に固定されている状態。灰色のプレートから伸びた接触端子が両方どこにも触れていない。

IMG_2677[1].JPG

↓接触端子ごと無理矢理銀色のプレートでネジ留めしてしまった状態。

IMG_2678[1].JPG

以上の事を解消した結果問題なく動作した。

余談1:レッドドットサイトの動作の仕組み

レッドドットサイトの仕組みというとレンズの部分に話が行きがちだが、今回はAimpoint T-1などのようなダイヤル型のサイトがどういう風に光量調整をしてるのかの大雑把な構造が学べる機会だったので、簡単にサイト内部でどのように点灯、消灯、光量調整が機能してるのかまとめてみたいと思う。

点灯/消灯

これは単純に回路が繋がっている状態か、繋がっていない状態かで発光パーツに電流が流れるかの制御をするのが最も単純な仕組みで、今回のMaverick Gen1も同様の方式だった。
ツマミの回転によって緑色の基盤パーツのうち線が繋がっていない部分が電池の電極に触れる事で電源OFFが成り立っていた。

光量調整

機構の中枢となるのはダイヤル内に入っていた緑色の円形半導体基板で、板上に実装されていた部品は以下の通りだった。
なお、今回分解したレッドドットサイトは11段階の光量調節が可能な機種だった。

  • 11個の異なる抵抗値の角形抵抗チップ(恐らく…電子工作は初心者なので…)
  • 1か所抵抗が接続されておらず意図的に断線させている箇所
  • 合計12本の線が円形の基盤上に放射状に設置されており、中心はコイン型ボタン電池のマイナス極と接触している。そこから接触している11個の線のうちのどれかに電流が流れ、その線の抵抗が強い程出力されるドットの光量が減る
  • どの線が繋がるかをダイヤルを回す事で切り替えることができる。

↓実際にダイヤル内に入っているシンプルな回路基板

内部基盤
黒い電子パーツがハンダ付けされていない部分が電源OFFになる部分です。回路を正しく固定すると、回したダイヤルと一緒にこの基盤が回転し、接触する線と抵抗値が変化して出力される光量が変化します。

以上が今回基盤を見て判明した構造でした。意外とシンプル!!

余談2:安いレッドドットがなぜ安いのかという考察

①生産コストの安い地域で生産

これは当たり前だと思うので省略。

②構造の簡略化

今回Maverick Gen1を分解して強く思ったのが、内部と外界の境界になる箇所、動作や状況によってはスキマができる事が容易に想像できる部分に防水加工が施されていない。

  • 特に今回の場合、ダイヤルの固定と回路の安定接続の要になる機構の固定が同じネジで行われている事から、強い衝撃に対しての長期的な動作安定性には確実に疑問が残る
  • また、このネジもきつく締めればいい訳ではなく、敢えて少し緩くしておかないとダイヤルの回転が行えない程固くなってしまい使用感を大きく損なってしまう為、堅牢性を追求すると長期安定性が犠牲になり、使用感を優先しすぎると機能しなくなるという点で設計段階の問題が生じている。

③内部絶縁の簡略化

②の構造の簡略化にも繋がる内容だが、今回の組み立て失敗による短絡は私の組み立てミスが原因ではあるものの、改めて内部設計を見ると

  • 強い衝撃や水分の侵入によって短絡する可能性が高い事が容易に分かる導電体パーツ同士の境界
  • 回路上の露出した通電部分

に絶縁パーツによる保護やパーティショニングが施されていない箇所が多い事に気付いた。

結論

安い光学機器は「安かろう値段相応だろう」で買う。
ちゃんとした物を使いたいならお金を貯めて信頼できる実物かノーベルアームズ製を買おう。

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