行動を変えるには価値観をかえるしかない
行動を変えたいがうまくいっていない、という話を頻繁に聞きますよね。
しかし、実際に行動が変わった割合はどのくらいいるのか。そして一時的に行動が変わっても結局元の行動に戻ってしまった割合はどのくらいいるのか。ほとんどの方は一時的には行動を変えてみるものの結局は元に戻ってしまったのではないでしょうか。
我々はなぜ行動を変えることができないのか。この問いに答えるのがこの記事の趣旨です。
結論を先に言うと、行動を変えるには、思考を変えないといけません。そして思考を変えるには価値観を変えるしかありません。
つまりは、行動を変えるには価値観を変えるしかありません。
多くの方がここを誤解されているのだと私は思います。
行動を変えるために一時的に思考を変えても、価値観が変わっていないので思考が元の状態に戻り、行動が元に戻ってしまうのです。
では価値観という抽象的な概念を詳しく紐解いていきましょう。
価値観とはなんなの?
価値観とか言うけど、めちゃめちゃ抽象的過ぎて訳がわからんのだけど・・という意見は同意します。価値観とか言われても「?」でしょう。なんとなくぼんやりと自分の生きる指標のような考えを持つ方が多いのではないでしょうか。
価値観とは**「自分の人生において大切にしている事の順序」**と定義します。
あなたは今ここに存在して生きています。あなたが今まで生きてきて何が重要で大切にしてきているのか。そのランキングを価値観と言っています。
私の場合で言うと、自分の人生において何を大切にしているかというと、
**「自分が自分であること」「健康」「家族」「時間」「好奇心」です。**これは一番前から順序付けされています。ピラミッドの土台が「自分が自分であること」。その上が「健康」、次に「家族」・・・と層が上にいきます。
私はこの大切にしていることは直ぐに頭から出てきますし、この大切にしていることに従って、仮想世界である頭の中で思考し、現実世界の行動に落としています。
要は、上述したように価値観→思考→行動という流れで行動に移しています。つまりは私のピラミッドを構成する価値観以外の思考は刺激を与えないとできないし、行動はなかなか変えられないのです。
まずはこの流れと価値観は自分の人生において大切にしていることの順序ということを頭に入れてください。
価値観を変えるとはどういうこと
価値観が変わるとはどういうことか説明していきます。
価値観を変えるとは、「今までしていた思考や行動をしようと思わなくなるということ」です。
そうしようと思っていたことがある時そうしようと思わなくなる。
そして、そうしようと思ってなかったことが、そうしようと思うようになるということ。
つまりは我慢してしないようにするのではなくて、我慢しなくてもそれができるようになるということです。
これはその人の価値観が完全に切り替わっている状況といえるでしょう。
価値観が変わるということの具体例
一例を挙げると、今までテレビを見るのが好きだった人がテレビを嫌いになるということです。
テレビを毎日2時間見ると(休日は4時間)とすると1ヶ月80時間、一年で960時間テレビに消費します。起きている時間が17時間として1ヶ月480時間、2ヶ月で960時間とすると、その人にとっての1年は12ヶ月ではなく、10ヶ月になります。
上述した「時間」が無駄に消費されていることに気づいた時に、あなたはこれではマズいと思考したとします。その時にあなたはどのような行動をするでしょうか。
おそらく大好きなテレビを見るのをやめて、暫くは相対的に増えた時間を他のことに費やすことになるでしょう。ここまでは良いですよね。
しかし、あなたは暫くしたらいつの間にかまたテレビを付け始めて、テレビを見るようになってしまうのです。結局は元のテレビを見る生活に戻ってしまったのです。
これは何が問題なのでしょうか。
これは、あなたの「時間」の価値観の大切さが、あなたの「娯楽」の価値観の大切さより低いことが原因です。
価値観を変えるには、あなたの「時間」の価値観の大切さが、「娯楽」の価値観の大切さを上回るようにしなければなりません。
そうしないと、テレビを見ることが時間の無駄だから、テレビ(娯楽)は見ないという思考を自動的に行うことができないのです。
結果的に大好きなテレビを見たいという思考が自動的に実行されて、行動が元に戻るのです。
価値観を変える方法はあるの?
価値観を変える方法はあります。
しかし、どのように価値観を変えるかというのは難しい問題です。何故ならば、価値観を変えるには多大な時間が必要だからです。思考を強制的に矯正する、それを行動に落とし、習慣化する。このサイクルを高速に回すことが重要です。
価値観を変えるというのは、先程の「時間」の価値観と「娯楽」の価値観で考えるならば、「時間」の価値観が「娯楽」より上にならないといけません。つまりは、相対的な関係なので「時間」の価値観が上がるか、「娯楽」の価値観が下がるかのどちらかになれば良いです。
何をすれば良いか。一例ですが、強制的に思考を変える環境を用意することです。
例えは、テレビを捨ててテレビを見れない環境にする。これを習慣化する。すごくシンプルですが、なかなか効果があります。これを何ヶ月、何年も継続してこのテレビがないという習慣と思考を当たり前にしていくのです。
いつかのタイミングでテレビを見たいという思考がなくなり、価値観の変異、つまりは、「時間」の価値観が「娯楽」の価値観を超えるフェーズになります。
価値観を変えるアプローチの罠
ここで注意しなくてはならないのは、上述のアプローチは、「娯楽」の価値観が下がるというアプローチを取ったことです。
「娯楽」の価値観が「時間」の価値観より下がる可能性はありますが、必ずしもそうではないということは注意してください。「娯楽」といっても色々あります。スマホでニュースのゴシップをみたり、スマホでYoutubeをみたり、その他多くの「娯楽」があります。今回のアプローチは「娯楽」の最上位に属するテレビを抹消しただけで、気を抜けばいくらでも「娯楽」のネタは転がっています。
加えて、必ずしも「時間」が「娯楽」より上に上がってくるとも言い切れません。他の「食事」や「健康」や「家族」が上位に上がってくる可能性もあります。それらが悪いと言うわけではなく、自分が価値観を上げたいと思っている価値観も意識して上げていくアプローチもあったほうが良いと言うことです。そうすることによって価値観を変えることの成功確率は上がると思います。
因みに「時間」という価値観を上げるためには、「好奇心」や「死」について考えていく必要が出てくるかもしれません。人の時間は有限であり必ず死を考えて生きていく必要があります。死を意識したことがない、または死を意識することを恐れて避けている人は時間の価値観を上げることができない。つまりは死と向き合うことは時間の価値観をあげることの十分条件であると考えています。
また好奇心も「時間」の価値観を上げてくれる十分条件であると思っています。時間を大切にする方は本当に多趣味です。好奇心旺盛の方々ばかりです。常にやりたいことがあるし、そのやりたいことをするために、あれやこれやと効率化や無駄の排除を徹底します。
少しは「時間」の価値観をあげることの一助になりましたでしょうか?
価値観の変化はどれくらいの期間かかるの
これはかなり複雑だと思っています。
価値観自体が変わるのは1年から数年で変わると思います。
しかし、価値観が変わったところで思考が変わると思ったらそういうわけではありません。そして行動も変わるわけではありません。
具体的に説明していきましょう。
価値観を変えるということは、今まで培ってきた思考回路をぶっ壊して、新しい思考回路を作り上げていくということです。
言うなれば、今までの人生で培ってきた価値観のハードディスクに詰まっている思考データを一度壊して、新しい思考データを作ってから新しいハードディスクに入れるといった、データの置き換え+データ移行をしなければなりません。
当然、価値観が変わるタイミングはあるのだけれど、その時に、全てがデータ移行できているわけではありません。旧データが残るところと、新データに置き換わったところの、2つが存在する状態となるので、深く新しい価値観で思考しようとすると、新旧の価値観がぶつかり合うというジレンマに陥ります。これは、時間が解決するのですが、やはり価値観が変わってから1年から数年は必要なのかなという印象があります。
そして、最後に行動ですが、こちらも1年から数年かかります。新しい思考データにデータ移行できた部分については行動できますが、旧データが残る部分は行動できません。
価値観→思考→行動の狭間には見えない摩擦があり、それぞれ数年単位で時間がかかると思ってください。
結果的には行動変容まで5年から10年程かかるのでは無いかと思います。もちろん早い人はもっと短期間で変えることができると思います。これは今の価値観と、変化後の価値観にどれくらい乖離があるかで変わってくるかと思います。
つまりは、あなたの今の大切にしていることの順序と、あなたの新しく大切にしたいことの順序にどれだけ乖離があるかによって時間のかかり具合が変わってくると言うことです。
従ってあなたがやるべきは、今のあなたが大切にしていることの順序を確認することです。そしてあなたが大切にしたい事の順序を決める事です。
トリガーは?
これは本当に人それぞれだと思いますのでここで伝えることはできません。(ここから若干宗教チックなのですが)あなたの経験や気づきによって変わってきます。あなたの価値観はあなたが決めなければなりません。誰かになろうとしてしまってはいけません。あなた独自の価値観をあなたが決めるということをくれぐれも忘れないでください。
もちろんある人のこの価値観とても良いので自分に取り入れようすることは全く問題ありません。その方のある一部分の価値観を取り入れる、つまりは自分の価値観にプラスで取り込むというスタンスならOKです。その方になりたいがために全ての価値観を取り入れようとするのは危険だと思います。
あなたは哲学をするべきで、宗教をするべきではないということとです。
哲学と宗教の違い
諸説ありますが、私の場合ですと、「哲学は自分の価値観を決めること」で、「宗教は一人の神の価値観を取り入れること」と定義しています。
あなたが大切にすることの順序は、誰が決めるわけでもなく自分自身で決めるものです。これが哲学かなと思います。従ってこの記事は哲学の話をしています。自分の哲学をどのように決定するかということを述べてきました。
一方宗教は、ある神が存在し、その神の価値観、つまりは大切にしていることを自分自身に取り入れることだと思います。
価値観を変えることができることに気付くことができるか
最後に重要なことをお伝えしなければなりません。
正直なところ、90%以上の方は、**「気付き」**で失敗しています。自分の価値観を変えないといけないと意識できた時点で10%に入っていると思います。
90%以上の人は、自分は今の自分が全てであり、自分の価値観を変えることができると思うことすらないです。これは本当にもったいない事です。この「気付き」「意識」できるようにするためには、これ以上のボリュームの記事になる可能性がありますので別に記事を書こうと思います。
逆の「気付かない」を具体的な例で言います。
大人になってから何か技術を取得しようとする方がいるといます。その方の口癖は次の通りです。「大人になってから記憶力が低下したから勉強無理だわー」
ここに私は強烈に違和感を感じます。本質は次の通りだと思います。**「あなたは元々子供の頃から記憶力がなく勉強もできない。そして今もできない。」**です。子供の頃は学校という勉強する場があり、そこにいればあたかも勉強している雰囲気があったが、大人になってからは仕事もあり、娯楽もあり、勉強に割り当てる時間がないから、勉強はしたくない。というか勉強方法がわからない。
上述の例は、典型的な自分の人生の中で価値観が一度も変わってない子供のような大人です。**このような方は、価値観は一生変わることがなく、価値観を変えることができることすら「気付かない」でしょう。**この記事が気付きのきっかけになることを切実に祈ります。
子供の時の全ての価値観を変化させよと言っているわけではもちろんありません。子供の時に最上位の価値観に属していた**「好奇心」**の価値観はどうかそのままお持ちください。
まとめ
この記事は自分の行動が変えるには価値観を変えるしかないという話をしていきました。価値観とは自分の人生において大切にしている事の順序であって、この順序付けは自分で決めて自分で行ってください。順序付けが正しく行うことができれば一生ものです。変えられなかった行動は必ず変わります。この価値観の変化は時間がかかります。なりたい自分になるために自分の価値観、なりたい価値観を洗い出して、なりたい価値観に向けて日々精進できるようになっていただけたら大変嬉しく思います。
ちょっと余談ですが、価値観は抽象概念です。行動→思考→価値観の順に抽象度が高くなります。ロジカルシンキングでは具体から抽象に帰っていくという覚え方で帰納法と言いますね。
自分の価値観が把握できると、自分の行動パターンがわかります。そして相手の価値観を把握できると相手の行動パターンが大体わかります。これは価値観が抽象概念だからです。この行動パターンはビジネスでいろいろなところに応用できるので覚えておいてください。