2025年6月9〜12日にサンフランシスコで開催された Databricks Data + AI Summit 2025 のハイライトまとめです。
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Agent Bricks(ベータ版)
自然言語でタスクを指定するだけで、ドメイン特化型エージェントを自動生成・評価・最適化する新ツール。ガバナンスやコスト最適化機構も備え、⽣産環境で利用可能なエージェント構築を支援 -
Lakebase(一般提供開始)
サーバーレスPostgreSQL互換OLTPデータベースが、Lakehouse上でACIDと低レイテンシーを実現。構造化かつリアルタイムなトランザクション処理をData Lakeと統合 。 -
MLflow 3.0
ジェネレーティブAI向けに再設計された最新版。プロンプトやエージェントのバージョン管理・モニタリング、エージェントの外部環境での稼働観測が可能に 。 -
Lakeflow Designer(プレビュー)
アナリストがドラッグ&ドロップでETLパイプラインを構築できる、AIアシスト付きノーコードオーケストレーション環境 。 -
Unity Catalogの強化
Delta LakeとApache Icebergを統合し、フォーマットやクラウド間でのデータとガバナンスを一元管理可能に。
ビジネスメトリクスをカタログ化する「Unity Catalog Metrics」や、データ/AIアセットを発見しやすいマーケットプレイス機能が強化
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AI Functions in SQL
SQL内で大規模ジェネレーティブAIを呼び出せる関数群が高速・低コスト化し、マルチモーダル対応により文書や画像処理もSQLで完結 。 -
サーバーレスGPUコンピューティング(ベータ)
A10G、H100など選べるGPUマシンで、トレーニングや推論をインフラ管理なしで実行可能
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- 無料版Databricks Free Editionと教育投資
学習者・学生向けに初の無料エディションを展開。さらに学習コンテンツに対して1億ドル規模の投資を表明し、認知拡大を狙う 。
CEOアリ・ゴドシ(Ali Ghodsi)発言ポイント
AIはまだ完全に自動化される段階にはなく、人間による監督が不可欠-パイロットが飛行機のオートパイロットを監視するように。今後も人間が「承認」する体制が必要 。
会議では、Databricksは2025年7月までに年商37億ドルへ成長する見込みを発表。AI関連製品だけで年間3億ドルのARR(年継続収益)を達成中
全体の方向性と総評
統合されたデータ・AIプラットフォーム: LakebaseでのOLTP統合、Unity Catalogによるガバナンス、エージェント構築のAgent Bricksで、断片化されたデータ基盤を一本化。
民主化と信頼性の両立: ノーコード、Free Edition、教育投資により専門知識の壁を下げながら、MLflow 3.0でモデルやプロンプト運用の透明性・信頼性を確保。
ビジネス価値の高速化: Unity Catalog MetricsやAI関数によって、ビジネスと技術のギャップを縮め、ダッシュボードやAI活用を迅速化。
まとめ
DatabricksはData + AI Summit 2025で、従来の断片化された「OLTP vs OLAP」構造に代わる、統一されたデータ+AI基盤の姿を示しました。その中心には「人間による監督付きAI」と「誰でも使えるプラットフォーム」があり、信頼性とアクセシビリティの両立という現代のニーズに応える布石となっています。