証券の不正取引で気になったので、時事ネタ追いかけるついでにお勉強。
参考文献:「情報処理安全確保支援士教科書 令和6年度」瀬戸美月/齋藤健一
認証とは
人や物の正当性を確認すること。
二者間認証と三者間認証がある。
※認証が成功したユーザに対して、どのようなアクセス権を与えるか判断するのは「認可」という。
本人認証
一般的な「人の認証」のこと。パスワードログインなどが含まれる。
認証の3要素
- 記憶要素
- ある情報を持っていることによる認証。パスワードなど。
- 所持要素
- ある物を持っていることによる認証。ICカード認証、スマホSMS、秘密鍵など。
- 生体要素
- 身体的特徴による認証。いわゆる生体認証。顔認証、指紋認証など。
- 記憶要素の場合、一般には「本人しか知らない情報」を使う。誕生日や語呂合わせのパスワードは、他人から推測しやすいため避けたほうが良い
- 「通っていた学校」「ペットの名前」の秘密の質問も、他人が知ることが出来るため、認証として良くないとされる
- パスワード(知識)+認証アプリ(所持)
- パスワード(知識)+顔認証(生体)
- ICカード(所持)+指紋認証(生体)
- パスワード でログインすると、Webメールにワンタイムパスワードが送られる
- メールに パスワードで ログインし、ワンタイムパスワードを取得する
- パスワードでログインする。(記憶要素の認証:本人はパスワードを知っている)
- スマホに通知が来るので「はい」を押す。(所持要素の認証:本人は本人のスマホを持っている。)
- 銀行ATM:キャッシュカード(所持要素)と暗証番号(知識要素)の 多要素認証
- 顔パス:一種の生体認証
- パスワードログイン+SMSワンタイムパスワード:知識要素と所持要素の 多要素認証
- 「ワンタイムパスワードをWebメールに送り、アプリで読む」場合:多要素認証ではない
- スマホ以外の環境からでもメールが読めてしまうので「所持要素の認証」の条件を満たさない
- ただし「ワンタイムパスワード」が悪意ある人に入手されしくいという点で、セキュリティ強化の効果はある
- 「住所氏名と生年月日を教えてください」の確認は認証か
- 住所と生年月日は公に公開されていない、かつあてずっぽうも困難なので、知識要素の認証と言える
- ただし、住所も生年月日も、本人以外に知っている人はいるため、「本人しか知らない情報」とは言い難い
- 「本人確認」くらいの強さだと思われる
※ この「認証」については、おそらくコンピュータを離れた現実でも通じると思っている。「合言葉で入場」「観覧チケットの確認」「免許証の顔写真の確認」など。
また、一般には言われている(と思う)こととして、
MFA(多要素認証)、または2要素認証
Multi Factor Authentication = 多要素認証。 2要素認証は多要素認証に含まれる。
上であげた認証の3要素のうち、2種類(以上)を使ってログインすること。
例)
2段階認証
2段階認証≠多要素認証。
「1段目の認証→2段目の認証、の順で認証を行うこと」「2回認証があること」ぐらいのことを指す。「認証の3要素」を何種類使うかについては言及していない呼称。
※ 最近読んだ文章を総合すると、少なくとも一般の語法ではどこまでを「2段階認証」と言うのかは幅がある印象。また、現在の実装は9割がた「2要素認証=2段階認証」のため、内容は2要素認証でも、口頭では「2段階認証」と呼んでいる例もある。
「2要素認証ではない2段階認証」の例としては
が挙げられる。2回パスワードを使う分、1段階認証よりは強くなるが、2要素認証の条件は満たさない。
ただ、たとえばGoogleの2段階認証では
となっている。これは2要素認証になっているが、名称は「2段階認証」となっている。
おそらく「2段階認証」の言葉ほうが、早くから使われ始めたので、こういった呼称になっているだと思う。
参考文献では「認証は1段階でも2段階でも構わない」「理想は"1段階・2要素認証"」と書いている。
Bot避け (人間か機械か)
CAPTHCAも「認証」と呼ばれるが、主には「人かBotか」を判断するために使う。
言葉にするなら「あなたは誰かとしてログインしようとしていますが、生身の人間がPCの前にいます?」ぐらいのところ。
主要なBot避けには個人の区別をする機能はなく、パスワード入力と一緒に使われることが多い。
Botやスパム対策として、サイバーセキュリティには効果がある。
たぶんこういうこと
と、理解してます。
最近気になること
「2要素でない2段階認証を『2要素認証』と言っちゃってないか?」という点です。
正直、去年まで自分も深く気にしていなかった。上記のような知識を身に着けてから、ニュースやSNSの発言が気になり始めました。
サイバー攻撃に対して本格的に対策が始まりそうな現在、「セキュリティ強化しましょう」というとき、きちんと2要素認証にしたいのか、あるいは単にワンタイムパスワードの導入だけでいいのか、あるいはBot避けがしたいのか、違いを理解して考える必要があると思いました。
おしまい。