ARMのMCU/RTOS向け分析統合環境のアップグレード
ピーター・クラーク
2013/12/3
ARMは、DS-5ストリームライン分析ツールをエンハンスしました。
これは、RTOSやCOretex-Mシリーズで動作するコードに適用できます。
ストリームラインは、ARM DS-5統合開発環境(以降、IDE)への入門として導入されました。
この機能は、SOCに搭載するLinux/Android OS上で動作するコードの解析をサポートします。
モバイルアプリケーション向けの、Coretex-AベースのマルチコアSOCなどで
利用される傾向があります。
「ストリームラインによってソフトウエア開発者は、CPUコアの使用率、分岐率、キャッシュ性能
等を見ることができます。さらに、Linuxカーネル、Mali GPU、フレームバッファの内部を調べる
ことができます」とARMシステムデザイン部門のギルハーム・マーシャルは語りました。
「その機能は、ボトルネックがソフトウエア、GPUいずれによるものなのか、
リソースを上手に使うことによって再度最適化をどう行うかについて、ぱっとわかる
ビジュアル表現を提供します。」
ARMは、現在、マイコン開発にもその機能を拡げつつあります。
「MCUはマルチコア化が始まったばかりです。開発者は理解を助けるためのよりよいツールを
求めています。我々はストリームラインをCortex-Mクラス、特にCortex-M3 やCortex-M4ベース
のデバイスにも持ち込んでいるところです。 」とマーシャルは語りました。
ここ数ヶ月は、リアルタイムOSに対する要望を整理することに費やしているとマーシャルは
いいます。それらは、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通して
具体化されます。
「ストリームラインサポートはKeli RTXに対して用意されています。そして、オープンなAPIが、
他のRTOSでの利用できるように作成されました。ただし、FreeRTOS, エクスプレスロジック社の
ThreadX, ミクリウム社のuCOSについてはビルトインサポートを提供しています。」
とマーシャルは語りました。
ストリームラインは、ターゲットハードウエアへの接続が必要です。しかし、必ずしも
ETMトレースコアに依存しているわけではありません。
オプションとしてそれらを用いることで非浸食の解析を提供することができますが、
貴重なダイ領域を使用し、コスト面、消費電力面に敏感なMCUアプリケーションには
許容しがたいことになると、マーシャルは言います。
代わりに、RTOS/MCUアプリケーション向けに低浸食のITMインストルメンテーションコアを
利用することができます。これはCPUコアの中に置かれますが、APIの使用によって、ペリフェラル
の使用状態をキャプチャすることができます。
低消費電力設計の1つの大きな側面に、複数のスリープモードによって段階的に動作速度を
落とし、再び回復させる機能があります。正しく行われれば、この機能は低消費電力設計に
大きく貢献します。しかし、ストリームラインアナライザはCPUコアに接続し続ける必要が
ありますが、CPIの制御を失ってしまう可能性があります。
「スリープは我々が未だに取り組んでいるものの一つです」とマーシャルは言っています。
DS-5 は、コンパイラ、デバッガ、Linux版ストリームラインをフリーで利用できる
コミュニティエディションを用意しています。MCU/RTOS版の利用には、1ノードあたり
$6000掛かりますが、DS-5のプロフェッショナル版にアップグレードが必要です。
また、使用にあたっては選択したハードウエアがプローブボード上で利用可能かどうか、
開発中のカスタムICをサポート可能かどうかをARMのシステムデザイン部門に問い合わせるべきでしょう。
「モノのインターネット」がMCUの利用を加速するに連れて、
ソフトウエアの正確性と性能は、システムの鍵になりつつあります。
ARMはKeli開発ツールを通して、様々なMCUを直接サポートしますが、今日ではMPU(Cortex-A)、
グラフィクスエンジン(Mali), MCU(Cortex-M)などで構成される多数のデザインは、
互いに協調して設計されるようになっているとマーシャルは言います。
彼によると、ユーザはCortex-Mシリーズのさらに下位バージョンへもそのうち対応することを
期待してもらってもよいそうだ。
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http://electronics360.globalspec.com/article/3815/arm-upgrades-ide-analysis-for-mcus-rtos