はじめに
サッカー通、野球通の方は選手や監督、チームをスポーツチームとして強い、プレイヤーの技術を上手い、フィジカルが強いなどと体育として評価しますが、
プロスポーツ競技は興業のため、売上を上げて利益を出していくことが大切です。
2022年度まではJクラブ個別経営情報が毎年公開されていましたので、順位と経営状況の関係について分析してみました。
引用元
Jリーグ公式サイトから引用しようと思いましたが、資料を公開しているページが見られない状況になっていたので下記の個人の方が運用しているサイトを引用します。
2022年までです。
https://cieloazul310.github.io/jclub-financial-table/
上記のリンクから以下の画像のように特定のチームの経営状況が見られるサイトに遷移できます。
今回は広島を本拠地に置くサンフレッチェ広島を対象にします。
このチームは育成に定評があり、ユースチームが大会で好成績を上げたりしています。
2007年はJ2に降格しましたが、抜群の強さを魅せ1年でJ1復帰をしました。
森保さん監督時代は5年で3度優勝しました。
近年はドイツ人のスキッぺ監督のマネージメントでベテランと若手の融合でJ1上位に位置しています。
読み取り
先ほどの画像の表のデータの読み取りをします。
1. 財務状況の推移
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営業収入:
- 年々変動しているが、総じて増加傾向が見られる。特に2012年以降は3000百万円を超えている。
- 2022年には4017百万円でピークに達している。
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営業費用:
- 営業収入に対応する形で増加しているが、営業収入に比べて費用の増加率が高い年が多い。
- 特に2022年には4603百万円と大幅に増加している。
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営業利益:
- 営業利益は年によってプラスマイナスの変動が大きい。
- 営業収入の増加にもかかわらず、営業費用の増加により赤字になる年が多い。
- 2012年から2016年は営業利益がプラスの年が多く、経常利益も安定してプラスを維持している。
2. 特別利益・損失の影響
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特別利益・損失:
- 特別利益や特別損失の発生は少なく、基本的には経常利益に大きな影響を与えていない。
3. 純利益の推移
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当期純利益:
- 営業利益が赤字の年でも、経常利益がプラスの場合には当期純利益がプラスになる年がある。
- 2012年から2016年は純利益もプラスの年が多く、経営が安定していたと考えられる。
- 2018年以降は営業利益のマイナスが続き、特に2022年は大きな赤字(-560百万円)となっている。
4. 重要な年の観察
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2012年:
- 順位1位、営業利益227百万円、経常利益225百万円、純利益223百万円と非常に好調な年。
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2015年:
- 順位1位、営業利益170百万円、純利益150百万円で財務状況も良好。
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2022年:
- 順位3位だが、営業利益は-586百万円、純利益は-560百万円と大幅な赤字。
総合的な観察
- 成績が良い年には財務パフォーマンスも良好な傾向があるが、営業費用の管理が課題となっている年が多い。
- 特別損失や特別利益が少ないため、営業収入と営業費用のバランスが財務パフォーマンスに直接影響している。
- 継続的な成績向上とともに、営業費用の最適化が重要であることが示唆される。
経営戦略の改善案
(偉そうに)経営戦略の改善案を考えてみました。
1. 費用管理と効率化の強化
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コスト削減の取り組み:
- 営業費用の詳細な内訳を分析し、コストが増加している項目(例:人件費、運営費、宣伝費など)を特定し、それらの効率化を図る。
- 具体的な目標を設定し、各部署にコスト削減の責任を持たせる。
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効率的な資源配分:
- 成績向上に直接寄与しない費用を削減し、成績向上に寄与する分野(例:選手強化、トレーニング施設の改善など)への投資を増やす。
2. 収入源の多様化
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スポンサーシップの強化:
- チームの成功やブランド力を活かし、スポンサーシップ契約の拡大を図る。
- 地域企業や国際企業とのパートナーシップを強化し、安定した収入源を確保する。
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マーチャンダイジングとファンエンゲージメントの強化:
- チームグッズや限定商品を増やし、ファンの購買意欲を刺激する。
- ファンイベントやソーシャルメディアを活用し、ファンのエンゲージメントを高める。
3. パフォーマンス向上のための投資
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トレーニング施設の充実:
- 最新のトレーニング設備を導入し、選手のパフォーマンス向上をサポートする。
- メディカルサポートの充実により、選手のケガを未然に防ぐ。
4. 財務の健全化とリスク管理
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財務目標の設定:
- 営業利益、経常利益、純利益の具体的な目標を設定し、それに基づいて年度計画を策定する。
- 毎月の予算対実績をモニタリングし、迅速な対応を可能にする。
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リスク管理の強化:
- 特別損失や予期せぬ支出に備えたリスク管理の仕組みを強化する。
- 必要に応じて、リスクマネジメントチームを設置し、継続的なリスク評価を実施する。
5. デジタル化とテクノロジー活用の推進
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データ分析の強化:
- データ分析ツールを活用し、選手パフォーマンスや試合分析を高度化する。
- ファンのデータを分析し、マーケティング戦略に反映させる。
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デジタルマーケティングの強化:
- ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームを活用し、デジタルマーケティングを強化する。
- デジタルチケット販売やオンラインストアの強化を図る。
6. コミュニティと社会貢献の強化
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地域密着型の活動:
- 地元コミュニティとの関係を強化し、地域社会への貢献活動を増やす。
- 学校訪問や地域イベントへの参加を通じて、地域とのつながりを深める。
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CSR(企業の社会的責任)活動の強化:
- 環境保護活動や社会貢献プロジェクトを推進し、チームの社会的価値を高める。
おわりに
サンフレッチェ広島は2024年シーズンからホームスタジアムを市内からアクセスの悪いところから市内の中央部のアクセスの良い場所に移転しました(地元ファンの声)。
ホームスタジアムの移転や株式会社エディオンの傘下に入ること*で経営状況の好転になることが予想されます。
今回はJクラブ個別経営情報から順位と経営状況から分析をしてみました。
サッカー通の方は応援しているチームの強い弱いだけではなく、経営状況も見ながら試合を見ると、別の視点が生まれるのではないでしょうか。
サンフレ、経営がんばれ。以上
おまけ
ここからは先ほどの損益計算書以外に、賃借対照表や入場者数などのデータを含めてみていきます。
対象のデータ
- 損益計算書
- 賃借対照表
- 営業収入
- 営業費用
- 入場者数
データの読み取り
1. 財務健全化の強化
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資産・負債のバランス改善:
- 観察: 特に2022年には総資産1767百万円に対し、総負債1555百万円と負債比率が高い。純資産が減少している。
- アドバイス: 不要な資産の整理や、効率的な資本運用を進め、負債の削減を図る。短期・長期の負債比率の見直しと、資金調達戦略の再構築を行う。
-
利益剰余金の増加策:
- 観察: 利益剰余金が一貫して低迷、特に2022年には-60百万円となっている。
- アドバイス: 営業利益の改善を中心に、収益性の高い事業への投資を強化し、長期的な利益剰余金の増加を目指す。
2. 収入源の最適化と多様化
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スポンサーシップ強化:
- 観察: 営業収入の大部分がスポンサー収入に依存。
- アドバイス: スポンサー契約の条件改善や、スポンサー企業の多様化を進め、スポンサー収入の安定化を図る。
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入場料収入の改善:
- 観察: 入場者数が2019年から減少傾向、2020年以降特に顕著。
- アドバイス: 入場者数増加策として、プロモーションの強化、ファンイベントの充実、魅力的な試合体験の提供などを検討する。価格戦略の見直しや、ファミリーパッケージなどの導入も有効。
3. コスト管理と運営効率の向上
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チーム人件費の最適化:
- 観察: チーム人件費が年々増加、2022年には2320百万円と高額。
- アドバイス: 選手のパフォーマンスと給与のバランスを見直し、成果主義的な報酬体系の導入を検討する。若手選手の育成を強化し、高額な外部選手の獲得を抑制する。
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試合関連費用の効率化:
- 観察: 試合関連費用が安定的に高水準を維持。
- アドバイス: 試合運営の効率化、スタジアムのコスト削減策(エネルギー効率の改善など)を進める。
4. デジタルマーケティングとファンエンゲージメントの強化
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オンラインプレゼンスの強化:
- 観察: 物販収入が年により変動。
- アドバイス: デジタルマーケティングを強化し、オンラインショップの利便性向上や、デジタルコンテンツの充実を図る。SNSや公式アプリを活用し、ファンとの接点を増やす。
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ファンベースの拡大:
- 観察: コロナ禍の影響で入場者数が減少。
- アドバイス: リモートファンイベントの開催や、デジタルチケットの導入、ファンクラブの特典強化など、ファンエンゲージメントを高める施策を展開する。
5. 長期的な競技力強化策
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選手育成とスカウティングの充実:
- 観察: アカデミー関連収入が年々安定している。
- アドバイス: アカデミーの強化とスカウティングの効率化を図り、将来的な戦力補強と育成選手の活用を促進する。
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トレーニング施設の改善:
- 観察: 固定資産等における投資が増加している。
- アドバイス: トレーニング施設の改善とメディカルサポートの充実を図り、選手のパフォーマンス向上と怪我の予防を推進する。
6. 財務状態の詳細分析
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総資産と総負債の関係:
- 総資産は増減を繰り返していますが、特に2022年には総負債が総資産にほぼ等しい状況で、財務的に厳しい状態にあります。
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流動資産と流動負債のバランス:
- 流動資産が増加している一方で、流動負債も増加している年が多く、短期的な資金繰りの厳しさがうかがえます。
7. 収益源の詳細分析
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スポンサー収入の安定性:
- スポンサー収入が年間を通じて一定の水準を維持しており、安定した収益源であることがわかります。
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物販収入の変動:
- 物販収入が年によって大きく変動しており、特に2015年には大幅に増加していますが、その後は減少傾向にあります。
8. コスト構造の詳細分析
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チーム人件費のトレンド:
- チーム人件費は年々増加しており、特に2022年には2320百万円に達しています。これは営業費用の中で最も大きな割合を占めています。
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試合関連費用の割合:
- 試合関連費用は比較的安定していますが、2020年以降の減少が見られます。
9. 入場者数の詳細分析
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リーグ戦の入場者数と平均入場者数:
- リーグ戦の入場者数と平均入場者数が成績に強く依存していることがわかります。成績が良い年には入場者数が増加し、成績が悪い年やパンデミックの影響がある年には減少しています。
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年間入場者数と客単価:
- 年間入場者数が増減する一方で、客単価は一定の範囲内で推移しています。特にパンデミック時には客単価が上昇しており、少ない入場者からの収益を増やす戦略が取られた可能性があります。
10. 特定の年の詳細分析
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2012年:
- 成績1位、営業利益227百万円、当期純利益223百万円と非常に好調であり、スポンサー収入も高水準。
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2015年:
- 成績1位、営業収入3610百万円、営業利益170百万円、当期純利益150百万円と高い収益性を示しています。物販収入が特に増加しています。
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2022年:
- 成績3位であるものの、営業利益-586百万円、当期純利益-560百万円と大幅な赤字。チーム人件費や営業費用の増加が目立ち、財務状況が厳しいことが示されています。
11. 資産運用とキャッシュフローの考察
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固定資産と純資産の関係:
- 固定資産の増加に伴い、純資産が増加している年があり、固定資産への投資が長期的な資産形成に寄与していることが示されています。
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キャッシュフローの考察:
- 流動資産と流動負債のバランスを考慮すると、キャッシュフローの安定性が課題である可能性があります。特に負債の増加が現金流動性に影響を与えている可能性が高いです。
Pythonで分析案
Pythonを使用して分析する案を考えてみました。
使用するライブラリ
- Numpay
- Scikit-learn
- Prophet
NumpayとScikit-learnを使用して入場者数と客単価の分析ができそうです。
入場者数と客単価の推移を分析し、収入に対する影響を把握できるでしょう。
Prophetを使用して、季節性を考慮した営業収入や来場者数の分析ができそうです。
経営改革案
(偉そうに×2)経営戦略の改革案を考えてみました。
1. 財務健全化の強化
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資産・負債のバランス改善:
- 観察: 特に2022年には総資産1767百万円に対し、総負債1555百万円と負債比率が高い。純資産が減少している。
- アドバイス: 不要な資産の整理や、効率的な資本運用を進め、負債の削減を図る。短期・長期の負債比率の見直しと、資金調達戦略の再構築を行う。
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利益剰余金の増加策:
- 観察: 利益剰余金が一貫して低迷、特に2022年には-60百万円となっている。
- アドバイス: 営業利益の改善を中心に、収益性の高い事業への投資を強化し、長期的な利益剰余金の増加を目指す。
2. 収入源の最適化と多様化
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スポンサーシップ強化:
- 観察: 営業収入の大部分がスポンサー収入に依存。
- アドバイス: スポンサー契約の条件改善や、スポンサー企業の多様化を進め、スポンサー収入の安定化を図る。
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入場料収入の改善:
- 観察: 入場者数が2019年から減少傾向、2020年以降特に顕著。
- アドバイス: 入場者数増加策として、プロモーションの強化、ファンイベントの充実、魅力的な試合体験の提供などを検討する。価格戦略の見直しや、ファミリーパッケージなどの導入も有効。
3. コスト管理と運営効率の向上
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チーム人件費の最適化:
- 観察: チーム人件費が年々増加、2022年には2320百万円と高額。
- アドバイス: 選手のパフォーマンスと給与のバランスを見直し、成果主義的な報酬体系の導入を検討する。若手選手の育成を強化し、高額な外部選手の獲得を抑制する。
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試合関連費用の効率化:
- 観察: 試合関連費用が安定的に高水準を維持。
- アドバイス: 試合運営の効率化、スタジアムのコスト削減策(エネルギー効率の改善など)を進める。
4. デジタルマーケティングの強化
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オンラインプレゼンスの強化:
- 観察: 物販収入が年により変動。
- アドバイス: デジタルマーケティングを強化し、オンラインショップの利便性向上や、デジタルコンテンツの充実を図る。SNSや公式アプリを活用し、ファンとの接点を増やす。