はじめに
データエンジニアリングは、データがビジネスにおいて価値を生むための基盤を提供する非常に重要な分野です。
しかし、このスキルを効果的に習得するためには、実際に手を動かして学ぶことが不可欠です。
この記事では、さまざまなデータエンジニアリングスキルに焦点を当てた6つのプロジェクトを紹介します。これらのプロジェクトは、データパイプラインの構築からデータの可視化まで、幅広いスキルを網羅しており、初心者から中級者まで役立つ内容です。
1. データパイプラインの開発
データエンジニアリングの核となるスキルは、データパイプラインを設計・構築することです。
パイプラインは、さまざまなデータソースからデータを抽出し、変換して、最終的にビジネスユーザーが利用できる形にするプロセスです。
このプロジェクトを通じて、ETL(Extract, Transform, Load)の全体像を理解し、データの流れを支える技術を習得します。
プロジェクト例
リンク: Reddit Data Pipeline Engineering | AWS End to End Data Engineering
使用技術: Reddit API、Apache Airflow、Amazon S3、Amazon Redshift など
このプロジェクトでは、Redditのデータを抽出し、AWSの各サービスを使用してデータパイプラインを構築する方法を学べます。データパイプラインの基本的な構造と機能を理解するのに最適です。
使用している技術
- Reddit API
- Apache Airflow & Celery
- PostgreSQL
- Amazon S3
- AWS Glue
- Amazon Athena
- Amazon Redshift
2. データ変換プロジェクト
データの変換とは、データを分析や処理に適したフォーマットに変更する作業です。データのクレンジングや標準化も含まれ、ビジネスインテリジェンスに不可欠です。このプロジェクトでは、実際にPythonを使用してデータ変換のスキルを学びます。
プロジェクト例
リンク: Chama Data Transformation by StrataScratch
使用技術: Python、Pandas
複数のCSVファイルからデータを抽出し、指定されたルールに従って変換を行う課題を通して、データ変換の基礎を理解できます。特にPandasを使ったデータ操作に慣れていないエンジニアにとっては、実践的な学びの場となります。
使用している技術
- Python
- Pandas
3. データレイクの実装
ビッグデータを扱うには、データレイクを適切に構築・管理するスキルが必要です。データレイクは、大量の構造化データや非構造化データをそのまま保存するためのリポジトリです。このプロジェクトでは、Azureを使ってデータレイクを構築し、大規模データの処理に挑戦します。
プロジェクト例
リンク: An end to end Azure Data Engineering project using sales data
使用技術: Azure Data Factory、Azure Databricks、Apache Spark、Delta Lake など
Azureのツール群を用いたデータレイクの構築と運用を学ぶことができ、特にビッグデータを効率的に取り扱うための技術が身につきます。
使用している技術
- Azure Data Factory
- Azure Databricks
- Apache Spark
- Azure Databricks SQL Analytics
- Azure Data Lake Storage
- Delta Lake
4. データウェアハウスの構築
データレイクに蓄積されたデータを構造化し、より効率的にデータ管理を行うためには、データウェアハウスが役立ちます。このプロジェクトを通じて、データモデリングやデータウェアハウスの運用方法を学びます。
プロジェクト例
リンク: Data-Engineering-Project-over-AWS
使用技術: Amazon Redshift、AWS Step Functions、Amazon QuickSight など
NYCのタクシーデータを使用して、Redshiftを活用したデータウェアハウスの構築を体験できます。データのモデリングと最適なクエリパフォーマンスの実現に焦点を当てています。
使用している技術
- Amazon Redshift
- AWS Step Functions
- AWS Glue
- AWS Secrets Manager
- Amazon QuickSight
5. リアルタイムデータ処理
ビジネスのリアルタイム意思決定を支えるためには、リアルタイムでデータを処理できる能力が求められます。このプロジェクトでは、KafkaやSparkを使ってリアルタイムデータストリーミングのスキルを磨きます。
プロジェクト例
リンク: Realtime Data Streaming | End To End Data Engineering Project
使用技術: Apache Kafka、Apache Spark、Docker、PostgreSQL など
リアルタイムデータの処理方法や、データの同期、コンテナ化など、分散処理の技術を学ぶことができます。
使用している技術
- Apache Airflow
- Python
- Apache Kafka
- Apache Zookeeper
- Apache Spark
- Apache Cassandra
- PostgreSQL
- Docker
6. データ可視化の実践
データパイプラインの状況や、ビジネスユーザーが活用するためのデータの可視化スキルも、データエンジニアにとって重要です。このプロジェクトでは、Looker Studioを使ってダッシュボードを作成し、データの視覚化を学びます。
プロジェクト例
リンク: End to End Project Data Engineering — From Raw to Data Visualization
使用技術: MySQL、Google Cloud BigQuery、Looker Studio など
データの可視化を通じて、ビジネスインサイトを引き出すためのスキルを養い、特にビジネスユーザー向けのダッシュボード作成に重点を置いています。
使用している技術
- MySQL
- Airflow
- Google Cloud BigQuery
- dbt
- Looker Studio
おわりに
データエンジニアリングは非常に幅広い分野であり、単に1つのスキルを身に付けるだけでは不十分です。この記事で紹介した6つのプロジェクトは、データパイプラインの構築からリアルタイムデータ処理、データ可視化まで、幅広いスキルを習得するための総合的なアプローチを提供しています。各プロジェクトに取り組むことで、理論と実践の両方をバランスよく学び、実際の現場で役立つスキルを身に付けられるでしょう。
参考文献