VISITS Technologies Advent Calendar 2020 11日目は@woods0918が担当します。
私は今年の6月までデータサイエンティストでしたが、社内異動を希望して今年の7月よりプロダクトマネージャーとしてB2BのSaaSプロダクトに携わっています。
半年ほどの経験にはなりますが、プロダクトマネージャーの仕事を整理してみようと思います。
なお、あくまで個人の経験に基づく見解であることはご了承ください。
サマリー
プロダクトマネージャーの仕事をおおざっぱにモデル化すると、以下の1~4になると理解しています。
- プロダクトのありたい姿を描き、共感を作る。
- プロダクトの現状を正しく認識する。
- プロダクトの現状とありたい姿の差分を洗い出し、差分を埋めるためのアクションを推進する。
- プロダクトの理想像(≒ビジョン)に向けて継続的に1~3のプロセスを実行する。
1. プロダクトのありたい姿を描き、共感を作る。
まずは、プロダクトのありたい姿を描くことから始めますが、やろうとしている事が「既存の機能や取り組みを改善する」「新たな機能や取り組みを作り出す」のどちらに当たるかを意識することは大事です。
なぜならば、ありたい姿を描くアプローチ異なるためです。
既存の機能や取り組みを改善する場合、ユーザ行動ログの分析やユーザ(含 社内メンバー)からの声がそのまま起点となってありたい姿を描くことが多いと思います。
こちらのケースでは、ありたい姿は明確に見えていることが多いため、チームメンバーの共感も得やすいです。
一方で、新たな機能や取り組みを作り出す場合、ユーザ行動ログの分析やユーザからの声がそのまま起点となることは少ないです。
蓄積されたログやユーザの声を抽象化することで着想を得たり、競合の動きや世の中の流れが起点になってありたい姿を描くことが多くなります。
定量的/論理的に必要な理由を説明しきることは難しく、確信が持てない論点が残るため、最後はプロダクトマネージャーの決断が必要になってきます。
こちらのケースでは、確信が持てない論点に対して各人の意見が入り込むため、必ずしもチームメンバーの共感が得られるとは限りません。
共感が得られない場合でも、根気強くチームメンバーの納得感を醸成し、1チームでプロダクトの成長を推進できるようにすることも、プロダクトマネージャーの大切な仕事の一つだと思います。
2. プロダクトの現状を正しく認識する。
次に、プロダクトの現状を正しく認識します。プロダクトの現状とは、プロダクトの機能だけにとどまらず、他に進行中の開発やビジネスサイドでのプロダクトの扱われ方、プロモーションのされ方など、プロダクトにまつわるあらゆることが該当します。
現状を正しく認識することで、現状とありたい姿の差異を正しく洗い出せたり、アクションを決める時の制約条件を正しく理解することが出来ます。
これにより、アクションをした後の手戻りやアクションの抜け漏れを防ぐことが出来ます。
「さすがに現状は把握しているよ」と思う方も多いかもしれませんが、プロダクトを進化させていくフェーズにおいては、日々状況が変化していきます。
古い情報をもとに誤った判断をしないためにも、関係者を集めてキックオフMTGを開き、プロダクトの現状に関する共通認識をチームメンバー間で持つことをお勧めします。
3. プロダクトの現状とありたい姿の差分を洗い出し、差分を埋めるためのアクションを推進する。
ここまでで、現状とありたい姿が明らかになっている状態かと思います。
このプロセスでは現状とありたい姿の差分を洗い出し、差分を埋めるためのアクションを設定します。
まず、差分を洗い出す時の注意点ですが、1アクションで解決できるくらい細かい粒度まで分解することをおすすめします。
なぜならば、粗い粒度の差分をもとにアクションを決めようとすると、曖昧なアクションになってしまったり、総花的なアクションになってしまいます。
差分を洗い出しを細かい粒度まで分解できたら、アクションを設定していきます。
この時に重要なのは、全ての差分に対してアクションを設定するのではなく、影響の大きな差分にアクションを設定することです。
特に、スタートアップでは投下できる工数も限られているため、最もROIの高くなる差分はどこかを意識することは非常に重要です。
最後に、足並み揃えて推進するためのプロジェクトマネジメントを行います。
開発、営業・マーケティング・CS・経営企画などあらゆる関係者と足並みを揃えないと、手戻りが発生したり、リリース直前になってアクションの抜け漏れが発生したりして、最悪の場合企画倒れとなってしまう可能性もあります。
そのような事が起こらないように、プロダクトマネージャーが全体の管理を行います。
4. プロダクトの理想像(≒ビジョン)に向けて継続的に1~3のプロセスを実行する。
1~3のプロセスを一度行えば、理想のプロダクトになるかと言うと、そういう訳ではありません。
プロダクトの理想像に向けて継続的に1~3のプロセスを繰り返す必要があります。
また、冒頭の図を見ていただくとわかる通り、理想像に向かって最短距離で進む事は困難です。
プロダクトの理想像に向かっているかどうかを確認するために、毎施策ごとに振り返りを行うことが大事です。
場合によっては、失敗する施策があるかもしれません。
そのような時でも、ちゃんと振り返りを行い学びを抽出することで、次に活かすことが出来ます。
また、チームメンバーに対しても、どのような学びがあったかを説明することで、次の施策に対するモチベーションに繋げることが出来ます。
これを行わないチームは、プロダクトマネージャーに対する信頼は失墜し、1チームでプロダクトの成長を目指すことが困難になってしまうかもしれません。
終わりに
私が思うプロダクトマネージャーの仕事をつらつらと書いてきましたが、随分と抽象的且つ当たり前な話になってしまったなと反省しています。
また、書く機会があれば、今度は各プロセスの具体的な実務面をハマりどころを含めて書いてみたいなと思います。
まだまだ、ひよっこプロダクトマネージャーなので、もしご意見/ご感想があればコメントいただけますと幸いです。